保育者のリアルなお悩み、弁護士が解決します!

吉永公平

保育者のリアルなお悩み、弁護士が解決します! 第12回 ⑨その他~保育園と弁護士の関わり~

ぎょうせいの本

2022.08.19

連載 保育者のリアルなお悩み、弁護士が解決します!

弁護士・春日井市総務部参事
吉永公平

第12回 ⑨その他~保育園と弁護士の関わり~

ついに連載も最終回

 今回は、保育園において法律が関係する場面として第1回でご紹介した①~⑨のうち、⑨その他として、保育園と弁護士の関わりを解説します。多くの保育園では、弁護士との関わりはほとんどないと思います。「毎日関わりましょう」というわけではありませんが、この連載も弁護士との関わりの一種です。これくらいの、またはもう少し多めの関わりがあってもいいのではないでしょうか。

弁護士に相談できる体制の整備を

 この連載を通じて感じていただけたと思いますが、保育園には法律問題がたくさんあります。そのため、第2回で説明した「チーム保育園」(保育士以外の様々な職種との連携)の一環として、弁護士に相談できる体制を整備することが望ましいと思います。

 公立園の場合、筆者のような自治体の弁護士職員は、常勤・非常勤を合わせて100人以上います。1700以上ある自治体からすれば「まだまだ」という数字ですが、みなさんが思っていたよりも多い人数ではないでしょうか。みなさんが勤務する自治体に弁護士職員がいないか、ぜひ保育課に確認してみてください。

 公立園・私立園ともに、弁護士職員ではなくても、顧問弁護士はいるかもしれません。顧問弁護士がいるかどうかを保育課や本部に確認してみてください。もし顧問弁護士がいなければ、弁護士に相談できる体制の整備(顧問弁護士以外の方法もあり得ます)を保育課や本部に依頼してみてください。

 「相談できる弁護士がいる」だけでは不十分です。実際に相談してナンボです。そこでは、「この程度のことは弁護士に相談する問題ではない」という思い込みが障害となります。弁護士も一種のサービス業ですので、「相談されてナンボ」です。この連載にも登場したような「リアルなお悩み」・「ちょっとした、それでいて身近な問題」を相談して全然構いません。ぜひ気軽にご相談ください。筆者のもとにはフラッと職員が来て相談をしていきますが、これでいいのです。

 書籍も保育園の強い味方です。保育園の法律問題を解説する書籍は、実は複数あります。書店やオンラインショップで「保育 法律」などのキーワードで検索すれば、とても役に立つ書籍が見つかるはずです。拙著『ズバッと解決! 保育者のリアルなお悩み200 園児の呼び方から送迎トラブル、園内事故まで』でも、書籍を多数紹介しています。筆者が読んだ限り、多くの書籍は読みやすく仕上がっています。

弁護士の立ち位置

 保育園が保護者等への対応に苦慮している場合、「対応を弁護士に代わってもらえたら楽になるのに」と思うこともあるかもしれません。しかし、相手との交渉の際に弁護士を同席させたり、弁護士だけで対応したりすることは、日本では「相手に対する宣戦布告」と受け取られる可能性が高いです。民間企業でも同様ですが、自治体では、相手(特に住民)との信頼関係を壊さないためにも、すぐには「宣戦布告」はしないことが一般的です (ハードクレーマー等に対しては、早めに「宣戦布告」をすることもあります)。公立園のみならず、私立園でも同様に、すぐに弁護士を相手の前に出して「宣戦布告」をしない方が望ましいでしょう。この場合、弁護士は保育園にアドバイスをするという「後方支援」に回ります。

 ただし、それは相手への対応の「カタチ」の問題です。対応の「内容」については、保育園や保育課・本部と弁護士が事前に調整した上で、相手に「まっとうな正論」をぶつけるようにしています(言葉遣いには配慮します)。それは、今の、または大きく成長した(元)園児に聞かれても恥ずかしくないような「まっとうな正論」です。保育士が引き続き対応するとしても、断るべきものは断る、非を認めるべきものは認める、といったものです。

 ただし、保育園では対応しきれない事態になれば、弁護士を前面に出すことも致し方ないでしょう。そうしないと適切な保育に影響が出かねないからです。 

一番大切なのは子どもの健やかな成長

 保育士であれ弁護士であれその他の「チーム保育園」のメンバーであれ、一番大切にしているのは子どもの健やかな成長です。そのために、役割分担と連携をしながら、それぞれの立場でやるべきことを実践しています。子どもの健やかな成長のためには、法律以外にも大切なことはたくさんあります。一方で、法律も少しは大切であるということで、「子どもの健やかな成長のための法律」という意識も持っていただければ幸いです。

 12回にわたり連載をお読みくださり、どうもありがとうございました。これからもともに子どもの健やかな成長のために頑張っていきましょう。

 

[著者プロフィール]

吉永公平(よしなが・こうへい)
名古屋大学法学部卒業、名古屋大学法科大学院修了後、2012 年弁護士登録。法律事務所にて勤務した後、2014 年春日井市入庁。現在、総務部参事。職員からの法律相談や職員研修、庁内報の発行、要保護児童対策地域協議会(実務者会議)への参加等を主な業務としている。兼業として、中京大学総合政策学部(地方自治法)・名古屋学院大学法学部(情報法)・名古屋大学法学部(法曹養成演習Ⅳ実務)非常勤講師や、他の自治体や劇場での研修講師も務める。愛知県弁護士会行政連携センター運営委員会委員。1児の父として約3か月の育児休業を取得。

書籍案内

『ズバッと解決! 保育者のリアルなお悩み200 園児の呼び方から送迎トラブル、園内事故まで』
吉永公平/著
(発行年月: 2022年4月/販売価格: 2,310 円(税込み))

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吉永公平(よしなが・こうへい) 名古屋大学法学部卒業、名古屋大学法科大学院修了後、2012 年弁護士登録。法律事務所にて勤務した後、2014 年春日井市入庁。現在、総務部参事。職員からの法律相談や職員研修、庁内報の発行、要保護児童対策地域協議会(実務者会議)への参加等を主な業務としている。兼業として、中京大学総合政策学部(地方自治法)・名古屋学院大学法学部(情報法)・名古屋大学法学部(法曹養成演習Ⅳ実務)非常勤講師や、他の自治体や劇場での研修講師も務める。愛知県弁護士会行政連携センター運営委員会委員。1児の父として約3か月の育児休業を取得。

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