3ステップで学ぶ 自治体SDGs

笹谷秀光

3ステップで学ぶ 自治体SDGs STEP② 実践に役立つメソッド 序章 なぜ今、自治体SDGsか?(抄)

ぎょうせいの本

2020.11.10

3ステップで学ぶ 自治体SDGs STEP② 実践に役立つメソッド
序章 なぜ今、自治体SDGsか?(抄)

笹谷 秀光(ささや・ひでみつ)
『3ステップで学ぶ 自治体SDGs STEP② 実践に役立つメソッド』2020年11月

SDGsの主流化

 政府はSDGsができた後、2016年に全閣僚をメンバーとする「SDGs推進本部」をつくり、関係者にSDGsの実践を呼びかけています。SDGsが自治体はもちろん、投資家、企業、取引先、消費者、大学、メディアなどの関係者に広がりつつあります。今や、SDGsは単に参照するものではなく主軸としてとらえるべきという意味で「主流化」しています。

 政府は「ジャパンSDGsアワード」の表彰を2017年度から3年間で40件近く選定しました(企業や自治体以外にも幅広い組織を対象)。

 また、内閣府・地方創生推進事務局が「SDGs未来都市」をこの3年間で93都市(大阪府と大阪市の共同提案が含まれるので94自治体)を選定しました。この政策は、自治体の間に競争原理を働かせました。なぜあの自治体がSDGs未来都市なのか、なぜ自分の自治体は選ばれないのかといった議論が沸き起こりました。選定されたのは全国で47ある都道府県のうち10、1800近くある市町村・区のうち84です。

 先進自治体は一斉にSDGsを既存の総合計画などに当てはめSDGs未来都市への応募作業に入っています。意識の高い首長は、SDGsを使った新たな行政体系の構築に興味を持ち、それを推進する部局である総合企画や戦略部局も頑張っています。

 しかし既存の制度や予算の権限を持っている各部局の責任者は、なぜ今更そのような外来の概念が必要なのかとSDGsに理解を示さず、役所の縦割り構造がSDGs推進を阻害しているのではないでしょうか。SDGs活用に関して自治体内でコンセンサスがないと、責任部局は首長からの指示と各部局との間で「サンドイッチ」になってしまうわけです。

 企業の現場でもほぼ同じような状況が生じています。

 このような状況下で、首長や責任者にはSDGsの最新の情報を、担当の職員や責任者にはどのように関係部署と連携し、関係者を説得していくのか、といったコツをお伝えするのがこの第2巻のねらいです。

SDGsとは何か

 復習しておきますと、SDGsは、「サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ」の略語で、「持続可能な開発目標」と訳されています。17目標と169のターゲット(やるべきことリスト)から構成される2030年に向けた持続可能な社会づくりの世界目標です。「持続可能性」とは、「世のため、人のため、自分のため、そして子孫のため」というイメージです。この「子孫のため」という世代軸が入っていることが非常に重要です。

 SDGsは、17の目標だけを見ているとイメージが湧きにくいので17の目標それぞれに紐付いている169のターゲットまで見る必要があります。しかし、169のターゲットは、数も多く複雑なのでかえってわかりにくくなります。

 そこで、自治体と関係がありそうな内容に焦点を当てて、ターゲットも含めて簡潔に整理してみました(表参照)。自治体に関連付けてみると相当いろいろなことが関係するのがわかると思います(詳しくは第1巻。17目標のわかりやすい説明の仕方は第4章参照)。

●執筆者Profile
笹谷 秀光(ささや・ひでみつ)
1976年東京大学法学部卒業。 77年農林省(現農林水産省)入省。 中山間地域活性化推進室長等を歴任、2005年環境省大臣官房審議官、06年農林水産省大臣官房審議官、07年関東森林管理局長を経て08年退官。同年(株)伊藤園入社。取締役、常務執行役員を経て19年4月退職。2020年4月より千葉商科大学基盤教育機構・教授。現在、社会情報大学院大学客員教授、(株)日経BPコンサルティング・シニアコンサルタント、PwC Japanグループ顧問、グレートワークス(株)顧問。日本経営倫理学会理事、グローバルビジネス学会理事、NPO法人サステナビリティ日本フォーラム理事、宮崎県小林市「こばやしPR大使」、未来まちづくりフォーラム2019・2020・2021実行委員長。著書に、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版)ほか。企業や自治体等でSDGsに関するコンサルタント、アドバイザー、講演・研修講師として幅広く活躍中。

■著者公式サイト─発信型三方良し─
 https://csrsdg.com/

■「SDGs」レポート(Facebookページ)
 https://www.facebook.com/sasaya.machiten/

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3ステップで学ぶ 自治体SDGsSTEP② 実践に役立つメソッド

2020年11月 発売

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千葉商科大学基盤教育機構・教授

1976年東京大学法学部卒業。 77年農林省(現農林水産省)入省。 中山間地域活性化推進室長等を歴任、2005年環境省大臣官房審議官、06年農林水産省大臣官房審議官、07年関東森林管理局長を経て08年退官。同年(株)伊藤園入社。取締役、常務執行役員を経て19年4月退職。2020年4月より千葉商科大学基盤教育機構・教授。現在、社会情報大学院大学客員教授、(株)日経BPコンサルティング・シニアコンサルタント、PwC Japanグループ顧問、グレートワークス(株)顧問。日本経営倫理学会理事、グローバルビジネス学会理事、NPO法人サステナビリティ日本フォーラム理事、宮崎県小林市「こばやしPR大使」、未来まちづくりフォーラム2019・2020・2021実行委員長。著書に、『Q&A SDGs経営』(日本経済新聞出版)ほか。企業や自治体等でSDGsに関するコンサルタント、アドバイザー、講演・研修講師として幅広く活躍中。

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