霞が関情報
霞が関情報「地方財務」2021年11月号(ぎょうせい)
時事ニュース
2022.01.11
※2021年10月時点の内容です。
霞が関情報
(「地方財務」2021年11月号)
フィジカルインターネットで実現会議(経済産業省・国土交通省)
経済産業省と国土交通省は、重要な社会インフラの一つである物流サービスの効率化について検討を始めた。2040年を目標とした物流のあるべき将来像として、インターネットの考え方を物流に適用した新しい仕組みである「フィジカルインターネット」実現に向けたロードマップを策定する。
学識経験者や物流団体の代表らがメンバーの「フィジカルインターネット実現会議」を設けて意見交換しており、今年度中に取りまとめをする予定だ。会議の事務局は、経産省の物流企画室と国交省の総合政策局の物流政策課が担う。
実現会議は、業種横断的な共同輸配送プラットフォームの構築といった、フィジカルインターネットの実現に必要な要素や、そのために克服すべき課題などを主な論点に検討を進める。
両省は、電子商取引の増加や人口減少に伴う労働力不足の深刻化によって、物流での需要と供給のバランスが崩れつつあると認識。このままでは物流機能の維持が困難となり、経済全体の成長への制約となる恐れがあるとみている。
こうした状況を踏まえ、物流の効率化を徹底させるため、情報を共有して効率的な共同輸配送を実現する考え方であるフィジカルインターネットなどを主なテーマに据えて議論することにした。大規模かつ長期的、計画的にフィジカルインターネットなどの最先端の技術を取り入れた物流システムを構築していく方針だ。
任期付きの採用を簡素化(人事院)
人事院は、これまで同院の事前承認手続きが必要だった任期付き職員の採用を簡素化することを決め、各省庁に通知を出した。一定の要件を満たした場合は、各府省限りで採用できるようにする。11月1日からの実施としている。
対象は、各府省の課長補佐級以下の採用。雇う対象者の専門性などのほか△従事させる業務に、採用予定日前の3か月以内に所属していた企業に対する処分や契約に関する事務が含まれない△選考方法は公募とし、各府省の選考委員会が審査する──など公正性確保に関する要件を設けた。
この措置による効果について人事院は、任期付き職員の採用の約9割を各府省限りで行えるため、民間人材の積極的で機動的な活用が進むことが期待されるとしている。また、国際機関の勤務経験者も、この要件で各府省限りの任期付き職員として採用が可能になり、国際機関で活躍する日本人の育成も支援できるとした。
人事院は8月の「公務員人事管理に関する報告」に「本年度中に各府省限りで採用できる範囲を拡大することとする」という内容を盛り込んでいた。
マイクロチップ登録手数料を決定(環境省)
政府は、犬や猫に飼い主の情報を記録した「マイクロチップ」の装着がペットショップなどの販売業者や繁殖業者(ブリーター)に義務化されるのを前に、所有者が情報登録する際の金額を決めた。
環境省が指定した登録機関となっている公益社団法人日本獣医師会に支払う手数料の額はオンラインによる申請が300円、紙による場合は1000円とされている。装着の義務化は2022年6月に施行される。
装着の義務化は、ペットの遺棄などを防ぎ、人と動物が共生する社会を実現することが狙い。マイクロチップは識別番号によって管理されることになっており、飼い主の氏名や住所などの登録情報に結び付く仕組みとなっている。
コメ現物市場の方向性検討(農林水産省)
農林水産省は、コメの現物市場の創設に向けた議論を始めた。需給の実態を示す価格指標によって、農業者や集荷業者、卸売業者らの経営に役立つような現物市場の方向性を探ることにしている。
議論は、全国農業協同組合連合会や全国スーパーマーケット協会といった団体の関係者や有識者がメンバーの「米の現物市場検討会」で進めている。11月末までに論点整理をした上で、今年度中に意見の取りまとめをする予定だ。
コメの生産現場では、集荷業者と卸売業者などが相対で価格を決めるのが主流であり、需給実態を表わす価格指標となる十分な現物市場が存在していない。そこで、さまざまな用途の需給に応じた価格形成が必要とされている。