霞が関情報「地方財務」2020年6月号(ぎょうせい)
地方自治
2020.12.25
霞が関情報
(「地方財務」2020年6月号)
MaaS実証実験で公募(国土交通省)
国土交通省は、日本版の次世代交通サービス「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」の推進・支援事業の応募を始めた。
過疎地での移動手段や観光地での二次交通の確保といった地域の課題解決にも役立つとして、MaaSのモデル構築をするため、新たな実証実験とする。
5月末までとしていた申請の受け付けを、新型コロナウイルスの影響を踏まえて6月末までに延長した。
応募主体は、都道府県・市町村や、自治体と連携した民間事業者、官民の協議会。有識者による委員会の審議を経て、7月ごろに選定される見通し。選定した事業の経費に対して最大で2分の1を補助する。
MaaSは、情報通信技術(ICT)を活用し、スマートフォンのアプリなどで、複数の交通手段を使って目的地までの最適な経路を示せる仕組み。予約や決済も、まとめてすることができる。
MaaSを導入することによって、都市部の混雑が緩和されたり、公共交通機関の維持・活性化につながったりすると期待されている。住民や観光客の移動がスムーズになるため、各地でサービスが始まっている。
同省は2019年度に、事業の熟度が高く、全国の牽引役となる先駆的な取り組みをする「先行モデル」として、19事業を選定してきた。
同省は2020年度の選定の要件として▽MaaSの提供によって解決に寄与する地域の課題が明確になっている▽交通手段と観光、商業、医療、教育、子育て、防災・減災など、交通分野以外のサービスとがデータ連携によって一体的に提供される▽地域課題に関連する関係者が連携し、MaaSを推進する体制が構築される▽実証実験終了後に本格的なサービス導入に向けた計画を作ることを挙げている。
BCPやテレワーク促す(中小企業庁)
政府は、2020年版の中小企業・小規模企業白書を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染拡大について触れており、感染症を含むリスクの影響を可能な限り小さくするには、事前の備えが重要だと指摘。事業継続計画(BCP)の策定や、テレワークの導入などの取り組みを促した。
具体的な事例として、感染症BCPに基づく対応や、従業員の生活を守るための努力をしている中小企業・小規模事業者の取り組みを紹介した。感染症の影響が広がる中でも、新たな価値の創造を進める企業があることも提示した。
白書は、新型コロナウイルスの影響について言及した。全国の1050か所に設置している「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」には、3月末までに30万件近い相談が寄せられており、そのほぼすべてが資金繰りに関連していることを明らかにした。
中国の生産や貿易が減少し、それに関係する日本の中小企業にも大きな影響を与えていると説明。外国人観光客が大幅に減少し、インバウンド需要や新幹線の利用状況などが落ち込むなど、国内消費が大幅に減少していると解説した。
また、すでに、企業の売り上げの減少や、イベント・展示会の延期・中止といった影響が顕在化しているといった、民間の調査結果も示している。
国立環境研究所:5年連続で排出量減少(環境省)
環境省と国立環境研究所は、2018年度の日本の温室効果ガス排出量の確報値をまとめた。それによると、同年度の総排出量は、二酸化炭素(CO2)換算で、前年度比で3.9%減の12億4000万トンだった。2014年度以降、5年連続の減少となった。
同省は、マイナスの要因として、電力の低炭素化に伴うCO2排出量と、省エネや暖冬によるエネルギー消費量などが減少したことなどによって、エネルギー起源のCO2が減ったことを挙げている。
また、実質GDP(国内総生産)当たりの温室効果ガスの総排出量は2013年度以降、6年続けて減った。
政府は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を受け、温室効果ガスの排出量を2030年度に2013年度に比べて26%削減することを、実現可能な目標に掲げている。ただ、2018年度の総排出量は、2013年度比で12.0%減少にとどまっている。