月刊「ガバナンス」特集記事

ガバナンス編集部

月刊「ガバナンス」2021年1月号 特集:W/Aコロナ時代の自治体職員

NEW地方自治

2020.12.25

●特集:W/Aコロナ時代の自治体職員

2021年がスタートする。2020年はまさに新型コロナに明け暮れた1年だった。だが、世界の感染拡大は続いており、新しい年もまたwithコロナ時代の真っ只中といえる。それでも地域・自治体は前を向いて進んでいかなければならない。With/Afterコロナを見据えて、自治体職員には何が求められ、何ができるのか、現場起点で共に考えたい。

月刊「ガバナンス」2021年1月

稲継裕昭氏(早稲田大学政治経済学術院教授)

■W/Aコロナ時代の自治体職員に求められること/稲継裕昭(早稲田大学政治経済学術院教授)

すでに第4次産業革命が起こりつつあったところに新型コロナが登場した。生活様式も仕事の進め方も、従来のものとは抜本的に異なるものへと転換が進みつつある。「パラダイム・シフト」といえるかもしれない。社会全体でパラダイム・シフトが起きつつあるときに、自治体はどう対応すればいいのだろうか。不可逆的な流れであるパラダイム・シフトに対応した自治体の組織転換、組織文化の転換が必然的に求められている。

■新型コロナ禍の地域と自治体職員──現場と国際機関からの地域づくり/富野暉一郎(龍谷大学名誉教授・福知山公立大学名誉教授)

今回のパンデミックによって、地方自治体はW/Aコロナ時代の社会課題にも全力を挙げて取り組むことが求められているが、自治体の限界を考慮すると、何らかの新たなアプローチなしにこれ以上の対応を付加することは非常に困難と考えられる。現在直面している課題群の見直しと整理をし、地域社会にとって永遠の目的である、「安全で安心して住み続けることができる持続可能な地域社会」と、「そこに住む人々にとって、喜びと希望が感じられるまち」の実現に向けて、新たな地域目標を設定することが求められている。

■コロナ危機からの復興で自治体と自治体職員に何が求められるか──東日本大震災の体験を踏まえて/津軽石昭彦(関東学院大学法学部教授)

コロナ禍と東日本大震災を自治体対応の観点から比較すると、都道府県のプレゼンスが相対的に大きいこと、未曾有の被害が発生していること、自治体・医療機関における資源消耗戦であること、根拠法である災害法制と新型インフルエンザ特措法の法的構造が似ていることなど、様々な点で類似点がみられる。ここでは、震災での教訓を踏まえ、新型コロナウイルス感染症に関して自治体や自治体職員に求められる行動について考えてみたい。

〈W/Aコロナ時代、自治体職員の挑戦〉

■自治体職員が地域の未来をプロデュースする/中軽米真人(岩手県八幡平市企業立地推進係長)

■コロナ禍でも震災経験を伝え続ける~東日本大震災から10年目に向けて/鈴木由美(仙台市泉区中央市民センター企画調整係長)

■“わたしごと”公務員を目指そう~コロナ禍の女性支援で見えたこと/坂本静香(山形県若者活躍・男女共同参画課)

■「つながり」と「ファシリテート」を原動力に/篠田智仁(千葉県茂原市建築課審査指導係長)

■W/Aコロナ時代でも生き生きと仕事をし続けるために/榊田直美(千葉県くらし安全推進課)

■生活困窮者支援の現場から見た自治体の政策形成力/林 星一(神奈川県座間市生活援護課長)

■W/Aコロナ時代に立ち向かうために/石塚清香(横浜市経済局ICT専任職)

■オンライン「ABD講座」事始め/田中裕子(長野県松本市学校給食課)

■コロナ禍で考える「自治」の仕組み/山口美知子(東近江三方よし基金常務理事(東近江市企画部総合政策課主幹併任))

■デジタルとエンターテイメントの力を活用して市民生活を豊かに/長井伸晃(神戸市企画調整局つなぐラボ特命係長)

■コロナ下で入庁した新人職員の挑戦/中西咲貴(島根県人事課)

■アフターコロナから考える今/田中弘樹(愛媛県砥部町)

■「新たな日常」への変化の中で、いかに生きるか/橋口和彦(鹿児島県鹿屋市財政課)

〈W/Aコロナ時代の自治体職員への期待──飛び出した元職員から〉

■公権力を持つ公務員としてすべきことをするために/前神有里(地域活性化センター人材育成プロデューサー)

2020年は、コロナで働き方の常識を変えざるを得ない年だった。公務員の働き方もじわじわと変わってきている。働き方を変える工夫がなされる一方で、仕事や住まいを失った人たちがいる。生き辛さを抱えた人を置き去りにした地域づくりはあり得ない。この機会に全国の公務員ネットワークをフル活用して、どうすれば本来の役割を果たせるのか考える意味は大きいと思う。

■自治体のデジタル化と人事が大きく変わる時代に、求められるチャレンジ/蒲原大輔(サイボウズ㈱)

行政でも業務のデジタル化が大きなテーマになっている。今後は①アナログな業務のデジタル化②データ分析に基づく政策立案(EBPM)というステップで自治体は進化をしていくだろう。そして、この進化を支える職員に期待されることは、①業務のデジタル化を推進する力②データに基づく政策立案・事業マネジメントを行う力である。

【キャリアサポート面】

●キャリサポ特集
キャリアデザインを描くヒント

2020年は新型コロナウイルス感染症が世界を襲い、自治体は対応に追われ続けました。2021年もまだ先行きは見通せません。一方、コロナ禍で、デジタル化、働き方、人口移動、雇用、格差問題など、これまでの社会課題が一段と先鋭化・加速化した面もあります。不測の事態に対処し、変化への即応力が求められる時代。自治体職員はこれからを見据え、どんなキャリアデザインを描いていけば良いのでしょうか。年の初めにそのヒントを探ってみませんか。

■変化に即応できる自治体職員のキャリアデザイン術 ──即応力、ダンドリ力に向けた、組織の寄り添い方/山梨秀樹(静岡県藤枝市理事・人財育成センター長)

自治体経営の先進的戦略は、既にモノからヒトへと移っている。職員の人生にスポットを当て、各自の将来設計とその実現に向けた、組織的な、ぬくもりのある支援。これが時代の変化に俊敏に応え、豊かな施策を展開できる「ヒトと組織の明るい成長の段取り」と言えるのだ。

■自治体職員のモチベーションとキャリアデザイン/岡田淳志(群馬県伊勢崎市職員課長補佐兼人事係長)

モチベーションとキャリアとの関係は一見関係ないように思えるが、日々の仕事での目標を達成し続けていけば、その延長線上には自治体職員として成し遂げたいことにつながっていく。そのように考えていくとモチベーションを保つキャリアデザインの工夫を考えた場合、将来へ向かいキャリアデザインしつつも、いかにして日々の仕事の中に意味を見出し、やりがいを感じるかにかかっているといえる。

〈取材リポート〉
■ねやがわ版管理職養成課程を大学院との連携で開講/大阪府寝屋川市

大阪府寝屋川市は2020年度より、「ねやがわ版管理職養成課程」をスタートした。従来の管理職昇任試験に代わる制度で、修了生は昇任資格取得者となる。課長以上を目指すキャリアコース(2年課程)と実務のリーダーを目指す準キャリアコース(1年課程)に分かれる。関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科との連携により実施するもので、国際標準のMBAコースに基づく高度なカリキュラムが特徴だ。今年度は予想を上回る応募者があり、選考をクリアした28人が受講している。

■ワーク・ライフ・バランスや職員の専門性を制度的に支援/広島市

ワーク・ライフ・バランスを保ちつつ、自らの専門性を存分に発揮できる職場をどう作り出していけば良いのか。どの自治体も抱えるこんな課題に、広島市は2006年に策定した人材育成基本方針の改定を重ね、独自の取り組みを進めている。特徴はスペシャリスト向けのキャリアコースの設定や女性のキャリアパスの見える化など。いずれも住民サービスの向上を目的に職員のモチベーションを高める取り組みで、効果は徐々に表れ出している。

●キャリサポ連載

■管理職って面白い! 魔女のスランプ/定野 司
■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ 若手のやる気を引き出す入口&出口戦略とは?/後藤好邦

■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇
■〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな~れ!/谷口久美
■AI時代の自治体人事戦略/稲継裕昭
■働き方改革その先へ!人財を育てる“働きがい”改革/高嶋直人
■未来志向で考える自治体職員のキャリアデザイン/堤 直規
■そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室/関根健夫
■独立機動遊軍 円城寺の「先憂後楽」でいこう!/円城寺雄介
■We are ASAGOiNG ! 地域公務員ライフ/馬袋真紀
■ファシリテーションdeコミュニケーション/加留部貴行
■“三方よし”の職場づくり/堤 茂
■誰もが「自分らしく生きる」ことができる街へ/阿部のり子
■地方分権改革と自治体実務──政策法務型思考のススメ/分権型政策法務研究会
■もっと自治力を!広がる自主研修・ネットワーク/茨城自主研サミット(茨城県)

●巻頭グラビア

□シリーズ・自治の貌
   枝広直幹・広島県福山市長  「五つの挑戦」「まるごと実験都市」で市の魅力を全国、世界に発信

2022年に福山城築城400年、2025年に世界バラ会議福山大会を迎える広島県福山市。枝広直幹市長は、「中心市街地活性化・都市の魅力向上」をはじめとする「5つの挑戦」「まるごと実験都市」で福山市の魅力を全国、そして世界に発信していく。

枝広直幹・広島県福山市長(65)。ふくやま美術館の敷地に立つ「愛のアーチ」(高橋秀氏作)の前にて。20年8月に無投票で再選。「2期目は変化を確かなものにするのが責務」と話す。

●連載

□童門冬二の日本列島・諸国賢人列伝 細川幽斎(十) 天下を反省させた文化力

●取材リポート

□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
 向かい風ばかりの10年ではなかった【「福島醤油」日本一の情景(10)】
 原発事故、続く模索

激震、津波、そして原発事故。福島県南相馬市鹿島区の若松味噌醤油店は、東日本大震災で最も深刻なダメージを受けた醤油蔵の一つだろう。中心になって切り盛りしている若松真哉さん(43歳)は、消防団員として津波犠牲者の捜索に当たり、3年間の避難生活も経験した。原発事故が引き金となった地域社会崩壊では、商売が根底から覆された。それでも、前を向いて走り続けた。

□現場発!自治体の「政策開発」
 海外トップセールスで米などの特産品を売り込む
 ──DMO活動による農産物等輸出促進事業(新潟県新発田市)

県内有数の農業生産を誇る新潟県新発田市は、米などの特産品の輸出促進に力を入れている。コロナ禍前のインバウンドとの両輪によるDMO活動として始めた取り組みで、高品質な新発田産米などを売り込んで新発田の知名度を高めるのがねらいだ。市長自ら輸出先の台湾や香港、シンガポール、ニューヨークでトップセールスを行って新発田の魅力をアピール。関係機関との協議会も設立し、輸出量拡大に努めている。

□議会改革リポート【変わるか!地方議会】
 全会一致の「政策決議提案」で政策の実効性を向上
 ──岩手県奥州市議会

岩手県奥州市議会は19年に「政策立案等に関するガイドライン」を策定した。常任委員会を中心にまとめた「政策決議提案」は決議案として全会一致で可決後、議場で市長に直接、提言書を提出。議会の意思決定として重みを持たせた提案によって政策の実効性を高めている。

●Governance Topics

□創設15周年を記念し、オンラインで全国マネ友同窓会を開催/早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会

管理型から経営型への組織変革に取り組む実践研究を行い、人材マネジメントの中心となる人材を養成している早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会(人マネ部会)は11月22日、創設15周年を記念してオンラインの全国マネ友同窓会を開催した。当日は参加者や修了生(マネ友)だけでなく、一般も参加できるプログラムも実施し、広く自治体組織の変革を考えてもらう場となった。

□コロナ禍の中での地方創生に向け現場発の事例やノウハウなどを共有/シンポジウム「withコロナ時代の地方創生」

財務省東北財務局・早稲田大学マニフェスト研究所・東北まちづくりオフサイトミーティング(OM)は11月23日、オンラインシンポジウム「withコロナ時代の地方創生~自治体職員に学ぶTTP」を開催した。自治体と地域の主体との橋渡しによる地域連携・地方創生支援に取り組む東北財務局が、コロナ禍の中での地方創生を考えるシンポジウムの第2弾。今回は東北OMとの連携で各県の自治体職員が登壇し、現場の実践事例などを共有した。

●連載

□ザ・キーノート/清水真人
□自治・分権改革を追う/青山彰久
□新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之
□自治体のダウンスケーリング戦略/大杉 覚
□市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照
□“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘
□自治体の防災マネジメント/鍵屋 一
□市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹
□公務職場の人・間・模・様/金子雅臣
□生きづらさの中で/玉木達也
□議会局「軍師」論のススメ/清水克士
□「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭
□リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『村の日本近代史』荒木田 岳]

●カラーグラビア

□技・匠/大西暢夫
 こだわりと技の奥行きの結晶──灯芯草と油煙墨(奈良県安堵町・奈良市)
□わがまちの魅どころ・魅せどころ/青森県鶴田町
 湖と山と橋が織りなす鶴の郷
□山・海・暮・人/芥川 仁
 閉山後も地域に受け入れられている「幸せな鉱山」──岡山県久米郡美咲町柵原地区
□土木写真部が行く~暮らしを支える土木構造物
 若戸大橋~日本初の長大吊り橋
□人と地域をつなぐ─ご当地愛キャラ/トライくん(大阪府東大阪市)
□クローズ・アップ
 核兵器禁止条約発効へ──被爆地・広島市の思い

■DATA・BANK2021

自治体の最新動向をコンパクトに紹介!

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W/Aコロナ時代の自治体職員

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株式会社ぎょうせい

「ガバナンス」は共に地域をつくる共治のこと――これからの地方自治を創る実務情報誌『月刊 ガバナンス』は自治体職員、地方議員、首長、研究者の方などに広く愛読いただいています。自治体最新事例にアクセスできる「DATABANK」をはじめ、日頃の政策づくりや実務に役立つ情報を提供しています。2019年4月には誌面をリニューアルし、自治体新時代のキャリアづくりを強力にサポートする「キャリアサポート面」を創設しました。

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