霞が関情報「地方財務」2020年7月号(ぎょうせい)
地方自治
2020.12.26
霞が関情報
(「地方財務」2020年7月号)
新しい農村政策の在り方で検討会(農林水産省)
農林水産省は「新しい農村政策の在り方に関する検討会」(座長・小田切徳美明治大学農学部教授)を設け、議論を進めている。中山間地域など農村で、あらゆる世代の人々が参画して地域の将来像を話し合うよう促す人材の育成などがテーマ。2020年度中に結果をまとめる見通しだ。
検討会は、学識経験者に、自治体やJAの代表、人材育成や地域づくりの専門家らで構成。検討事項として▽農村の実態・要望を把握し、課題解決につなげていく仕組みの構築▽政府全体で施策が十分に講じられていない課題への対応策を掲げた。
このうち、課題解決につなげていく仕組みでは、農村の実態や要望の調査・分析、課題解決を一貫して実践する人材を育成する仕組みの構築などを提案した。
政府で講じていない課題への対応策として、さまざまなきっかけを通じて地域への関心や関わりを持った人(関係人口)の重要性を示した。これらを段階的に深め、援農や就農につなげていくため、関係省庁で連携した支援方策の検討を促した。
政府は「食料・農業・農村基本計画」を3月末に閣議決定した。この中に「農村を支える新たな動きや活力の創出」などが組み込まれたのを受け、同省は検討を進めることにした。
気候危機対応で社会変革を(環境省)
政府は、2020年版の「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」を閣議決定した。テーマは「気候変動時代における私たちの役割」。地球温暖化に伴い、将来も豪雨災害や猛暑の影響が懸念されていると指摘し、生存基盤を揺るがす「気候危機」に直面していると強調。人間生活や経済・社会システムに起因して環境の基盤に悪影響を及ぼす危機に対応するため、社会変革が必要だと訴えた。
白書は、18年の西日本豪雨や19年の台風19号による大きな被害があったほか、同年のオーストラリアの大規模森林火災、欧州各地を襲った熱波など、国内外で地球温暖化の影響とみられる深刻な気象災害が多発していると解説した。
そこで、経済・社会システムや日常生活の在り方を大きく変える社会変革が不可欠であると説明。政府や自治体、企業などによる脱炭素型、自立分散型の社会づくりに向けた取り組みを促した。
具体的には、国内外のリゾート地や帰省先など休暇中の旅先で仕事をする「ワーケーション」といった取り組みが、仕事の中で自己実現をしながら環境保全にも寄与し、地域の活性化や地域課題解決にも貢献するとした。
小泉進次郎環境相は閣議決定に当たり「現状認識として気候変動問題が今や気候危機と捉えられていることを白書として初めて明記した」と述べ、「気候危機宣言」を出した。同相は2020年について、気候変動ではパリ協定の本格的な運用が始まる年であり、海洋プラスチックの問題に対する施策が本格展開され、生物多様性に関する21年以降の目標を議論する年だと位置付けている。
応募は4年連続マイナス(人事院)
人事院は、中央省庁の幹部職員候補となる国家公務員総合職(大学院修了・大卒程度)採用試験の2020年度の申し込み状況をまとめた。応募人数は前年度比で3.3%減の1万6730人となり、4年連続マイナスだった。女性の応募人数は、合計で6373人となり、全体の38.1%。同184人減だったものの、割合は過去最高になった。
試験区分別に見ると、法律や経済などの法文系が1万2556人で前年度に比べ2.7%減った。理工系は2993人で、同じく6.7%減。農学系は1181人で同じく0.1%減だった。
一方、一般職試験(大卒程度)を見ると、申し込みの人数は2万8521人で、前年度に比べ4.6%減った。4年連続でのマイナス。技術系の応募が伸びなかったのが要因だ。女性の応募者数は1万1035人で、前年度より286人減ったが、割合は全体の38.7%を占めており、前年度より増えて過去最高となった。
一般職の試験区分別の申し込み状況は、「行政」が2万4180人で、同じく3.6%減。「土木」や「農学」といった技術系は合計で4341人となり、同じく9.7%減だった。
新型コロナウイルス感染の拡大で延期されていた試験日程も改めて公表した。総合職の2次試験は、7月26日に筆記、8月3~11日に面接で、最終合格者の発表は8月21日。一般職の2次試験は9月9~25日で、最終合格者の発表は10月13日を予定している。