霞が関情報「地方財務」2020年8月号(ぎょうせい)
地方自治
2020.12.27
霞が関情報
(「地方財務」2020年8月号)
高齢者に使いやすい交通を(国土交通省)
政府は、2019年度の交通の動向と20年度の交通施策をまとめた20年版「交通政策白書」を閣議決定した。「世界に先駆けて超高齢社会の足を支える」をテーマとして掲げた。日本が、これまで経験したことのない超高齢社会を迎えるのを踏まえ、高齢者にとって使いやすい交通が維持され、無理なく移動して生きがいを持って生活できる社会の実現を要請している。
白書は、内閣府の「高齢者の日常生活に関する意識調査」(14年度)などを基に、高齢者の生活や生きがいに関するデータを示した。外出を「ほとんど毎日」や「週に4~5日」している高齢者の7割以上が生きがいを感じている一方、「週に1日程度」の外出では約半数、「月に2~3日以下」の外出では約4割にとどまっており、外出の頻度が生きがいの充足の度合いに直結していることを紹介した。
これらを踏まえ、高齢者の外出を容易にして、行きたい時に行きたい場所を訪れることができるよう支援していくのは、生きがいを高めるために重要だと強調した。
高齢者の移動を支え、外出を促す政策の動向について、白書は▽高齢者の安全運転を支える対策の推進▽地域での旅客運送サービスの確保・充実に向けた取り組み▽新たなモビリティサービスの導入に向けた取り組み▽高齢者が外出しやすい移動環境の整備──という項目ごとに説明した。
このうち、安全運転の面では、「対歩行者衝突被害軽減ブレーキ」などを備えた「安全運転サポート車(サポカー)」の普及促進を例示。新たなモビリティサービスでは、高齢化が進む中山間地域での高齢者の「生活の足」の確保策として、自動運転システムの早期実用を挙げた。スマートフォンのアプリを使った次世代交通サービス「MaaS」など新しい技術を、高齢者が使いやすいように改善する必要性も訴えた。
ハラスメント相談が30%(人事院)
人事院は、中央省庁に勤務する一般職の国家公務員(常勤・非常勤)を対象にした勤務条件などに関する苦情相談の状況をまとめた。それによると、2019年度に人事院に電話などで寄せられた苦情相談事案数(同一人物で同一内容は1事案と計算)は、前年度に比べて145件増え、1124件となった。苦情相談のうち、パワーハラスメントなどハラスメント関係が342件で最も多く、全体の30.5%を占めた。
ハラスメント関係の相談の内訳を見ると、パワハラやいじめ、いやがらせが最も多く310件だった。セクハラは29件。妊娠や出産、育児、介護に関するハラスメントが3件だった。
苦情相談に対して、多くは「事情を聴取し、アドバイスをする」ことで応じている。ただ、ハラスメント関係の相談については「申し出の内容を当局に伝え、調査結果などの報告を求める」といったケースが34件で9.9%に上っており、他の相談に比べて割合が高かった。
省庁別に見ると、法務省が222件で最も多かった。以下、「不明・その他」の202件、厚生労働省の157件、国土交通省の125件など。
パワハラに関する新たな人事院規則が6月から施行されており、パワハラの禁止や各省庁への苦情を受け付ける相談員配置の義務付けなどが定められた。併せて、国家公務員の懲戒処分の指針に、パワハラに関する規定が位置付けられた。
遊漁パンフをリニューアル(水産庁)
水産庁は、釣りのルールなどを解説したパンフレット「遊漁のルールとマナー」をリニューアルした。「遊漁に関する法令等」のほか「遊漁の基本ルールとマナー」を、イラストを交えて解説した。
釣りは、日本で代表的なレジャーであり、情操教育上の効果も期待されている。しかし、一部の釣り人がごみを放置したり、駐車違反や漁業者とのトラブルが生じていたりしている。漁港での釣りが禁止される事態も起きており、釣りそのもののイメージ悪化にもつながっているという。
同庁は、遊漁に関するルールの周知やマナーの向上を目指している。そこで、釣りの経験者だけでなく、興味を持っている人、女性や若年層にも手に取りやすいように、女子高生が主人公で、釣りがテーマのアニメ「放課後ていぼう日誌」ともタイアップ。パンフレットのイラストに登場人物を掲載して親しみやすくした。
同庁のWebサイトからダウンロードできるほか、関連のイベントや全国の釣具店などでも配布される。各都道府県の遊漁に関する問い合わせ窓口の電話番号も載せている。