自治体の防災マネジメント

鍵屋 一

自治体の防災マネジメント[58]地方創生SDGsと防災──企業版ふるさと納税を活用した地域防災の推進

地方自治

2022.01.12

※写真はイメージであり、実際の土地とは関係ありません。
本記事は、月刊『ガバナンス』2021年1月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 

 地方創生は、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保することを目指すとしている。それには、持続可能なまちづくりと地域活性化が重要になる。そうなるとSDGs(持続可能な開発目標)との親和性が高い。たしかに、地方創生SDGsのホームページを見ると「持続可能なまちづくりや地域活性化に向けて取組を推進するに当たっては、SDGsの理念に沿って進めることにより、政策全体の全体最適化、地域課題解決の加速化という相乗効果が期待でき、地方創生の取組の一層の充実・深化につなげることができるため、SDGsを原動力とした地方創生を推進します」とある。

SDGsと防災

 ところで、SDGsは防災とも呼応すると考えている。SDGsは2015年9月に採択されたが、それに先立って2015年3月に防災・減災に関する国際的な指針「仙台防災枠組2015─2030」が採択されている。SDGsの誓いである「誰一人取り残さない」は、災害時においてこそ最も重要なコンセプトだ。

 SDGsにおける防災への言及は、次のようなものがある。

 「目標1 貧困をなくそう」

 ターゲット1・5:2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人びとの強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象や、その他の経済、社会、環境的ショックや災害に晒される危険性や脆弱性を軽減する

 「目標11 住み続けられるまちづくりを」

 ターゲット11・5:2030年までに、貧困層および脆弱な立場にある人びとの保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす

 ターゲット11・b:仙台防災枠組2015─2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
 また「仙台防災枠組2015─2030」に盛り込まれた七つのターゲットには、開発と関連して以下の項目が含まれている。

 ターゲット3:2030年までに地球規模でのGDP(国内総生産)に関連し、災害を直接の原因とする経済的損失を減らす

 ターゲット4:2030年までに、保健や教育施設など重要なインフラへの損害や基本的サービスの崩壊を、レジリエンス(回復力・強靭性)の向上を通じて、実質的に減らす

 ターゲット6:2030年までに本枠組の実施に向けた国レベルの活動を補完するために、発展途上国への十分で持続可能な支援を通じた国際協力を実質的に強化する

地方創生SDGsと防災の取組み

 内閣府はSDGsの国内実施の促進と地方創生につなげることを目的に、広範なステークホルダーとのパートナーシップを深める官民連携の場として、地方創生SDGs官民連携プラットフォームを設置している。

 残念なことに、これまで地方創生やSDGsと防災の関係性があまり取り上げられていなかった。そこで、これに参加して、仲間とともに自治体と企業をつなぐ防災事業を実施することにした。題して「災害から故郷を守ろうプロジェクト〜企業版ふるさと納税を活用した地域防災整備事業〜」である。

 取組みの目的は「災害時にも誰一人取り残さない地域づくりを目指して、情報収集、避難・避難生活支援、物資の準備等を、官民が連携して地方創生に寄与する」ことにした。

 地方創生SDGsの視点として、「平時も災害時も誰一人取り残さない地域づくりが重要です。特に、災害時には正確な情報、要配慮者を中心とした安全な避難、電気やトイレ等の確保による避難生活支援が重要です。これらはSDGs3、6、7、11に該当し、企業が地域を支援する17により地方創生SDGsに貢献します」としている。

 企業版ふるさと納税を受ける自治体は行政へのSNS緊急情報サービスの導入、福祉施設での福祉防災計画の作成と電気、トイレの備蓄、地域での地区防災計画の作成を財政負担なしで進めることができる。企業はSDGs推進と地域社会貢献に企業版ふるさと納税(最大9割の税控除)で協力できる。イメージは図1のとおりである。

図1 イメージ図

出典: 内閣府「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム 官民連携事例 一覧表」を一部修正。https://future-city.go.jp/platform/download/data/case2020/057.pdf

 連携先はSDGs推進、防災対策に意欲ある自治体及び企業になる。すでに何社か関心を寄せ、約1000万円の寄付を約束してくれた企業も出てきた。

 本プロジェクトは、行政、福祉と地域への総合支援ができるパッケージとなっており、導入自治体が増えれば増えるほど、災害時の受援応援の仕組みにより、さらに連携効果を高めることができる。

図2 2030年までに目指すべきゴール

*関心のある自治体、企業の皆様からの問い合わせをお待ちしています。連絡先は(一社)福祉防災コミュニティ協会(fukubou.moushikomi@gmail.com)まで。

 

 

Profile
跡見学園女子大学教授
鍵屋 一(かぎや・はじめ)
1956年秋田県男鹿市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、東京・板橋区役所入区。法政大学大学院政治学専攻修士課程修了、京都大学博士(情報学)。防災課長、板橋福祉事務所長、福祉部長、危機管理担当部長、議会事務局長などを歴任し、2015年4月から現職。避難所役割検討委員会(座長)、(一社)福祉防災コミュニティ協会代表理事、(一社)防災教育普及協会理事なども務める。著書に『図解よくわかる自治体の地域防災・危機管理のしくみ』(学陽書房、19年6月改訂)など。

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鍵屋 一

跡見学園女子大学教授

(かぎや・はじめ) 1956年秋田県男鹿市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、東京・板橋区役所入区。法政大学大学院政治学専攻修士課程修了、京都大学博士(情報学)。防災課長、板橋福祉事務所長、福祉部長、危機管理担当部長、議会事務局長などを歴任し、2015年4月から現職。避難所役割検討委員会(座長)、(一社)福祉防災コミュニティ協会代表理事、(一社)防災教育普及協会理事 なども務める。 著書に『図解よくわかる自治体の地域防災・危機管理のしくみ』 (学陽書房、19年6月改訂)など。

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