“協創で日本創生モデルをつくろう SDGsで「グレート・リセット」”をテーマに「第3回未来まちづくりフォーラム」を開催

時事ニュース

2021.04.02

「第3回未来まちづくりフォーラム」(実行委員長:笹谷秀光・千葉商科大学基盤教育機構・教授)が2月24日、横浜市内の会場とオンラインにより、ハイブリットに進化して開催された。同フォーラムは、SDGsによる最先端の未来まちづくりについて、関係者が協働して価値を生み出すプラットフォーム。自治体や企業をはじめ、様々なアクターが集まり、「未来まちづくり」に向けた「協創力」を発揮する場となっている。第3回目を迎えた今回は、コロナ禍を契機に社会を変える「グレート・リセット(大変革)」の視点がきわめて重要で、より持続可能な経済社会システムへと変革するための優れた羅針盤がSDGsであるとのコンセプトのもと開かれた。

コロナ禍でますます重要となるSDGsの理念

 基調講演では、はじめに坂本哲志・内閣府特命担当大臣(地方創生)が挨拶した。コロナ禍が続く状況を踏まえて、「感染症対策と活力ある地域社会の両立を図り、地方創生をさらに推進していくためには、経済・社会・環境の三側面を不可分なものとして統合的に取り組むSDGsの理念がますます重要になっている」と話した。SDGsの達成と地方創生の推進には民間との連携が不可欠だとして、持続可能なまちづくりに向けて新たな連携、協業を生み出す交流の機会として、未来まちづくりフォーラムの開催に期待を寄せた。

 続いて眞鍋純・内閣府地方創生推進事務局局長が、「SDGsアクションプラン2021」の重点事項をはじめ、SDGsの理念に沿った基本的・総合的取組を推進しようとする自治体を選定するSDGs未来都市制度や地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、地方創生SDGs登録・認証制度などを紹介。人口減少や新型コロナ・ウイルス感染症が地方に大きな影響を及ぼす中、課題解決のためにSDGsを切り口とした地方創生に取り組む自治体をサポートする様々な制度をPRした。

 阿部守一・長野県知事は、「学びと自治の力による「自立・分散型社会の形成」」をテーマに、すべての政策にSDGsの目標を紐付けているSDGs未来都市としての長野県の取組みを紹介。自立・分散型社会は災害にも強く、持続可能であるとした。コロナ禍による地方回帰の流れを加速する取組みとして、リゾート地でテレワークを行う「信州リゾートテレワーク」を推進していくという。「都市部においては持続可能性が低いことを自覚して、地方の取組みにかかわってほしい。行政も市民も一緒にSDGsの取組みを進めていきたい」と話した。

協創力により日本創生SDGsモデルをつくる

 次に、「SDGsでグレートリセット~協創力で未来まちづくり~」と題して、笹谷秀光・未来まちづくりフォーラム実行委員長による講演が行われた。日本にたくさんある素晴らしいものにどう光を当てて活用するかについて、協・創・力による日本創生SDGsモデルの構築を掲げた。「協」では協働のプラットフォームをどう使うか、「創」は共通価値の創造、「力」は学びと発信力がポイントとなる。SDGsの目標11番を真ん中にして「住み続けられるまちづくりを」、発信型三方良しのSDGs化など、独自の視点で政策そのものになったSDGsについて、いかに自分事化するかが重要だとした。

 招聘講演として、村上周三・一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構理事長が「地方創生SDGsの新たな展開~ニューノーマルに向けた地域活性化の取組~」をテーマに登壇した。「地方創生SDGsと新型コロナウイルス感染症対策に関する提案書」から抜粋して、コロナ対策とSDGsを持続可能性としての課題と位置付ける両者の親和性について話した。また、同財団が2018年に発行した自治体向けのガイドライン「私たちのまちにとってのSDGs」を紹介し、自らのまちの取組みをレビューし、SDGsとの関連を紐付けるためのガイドラインの必要性を述べた。

「世界の潮流と変化への対応方法」と題して登壇した木村浩一郎・PwC Japanグループ代表は、Disruption(破壊的な変化)、Age(人口動態)など直近で対応すべき外部環境変化を挙げ、課題への対処でより影響力が大きいのは自治体だとした。変化への向き合い方として、求められる組織戦略アプローチとリーダーシップの変化について話した。今後、ローカルファーストのアプローチが求められることから、自治体の役割が一層重要になるという。リーダーシップについては、グローバルマインドを持ったローカリスト、テクノロジーに精通した人道主義者など、一見して矛盾するような力を備えた人材が必要だとした。

世界共通言語のSDGsを自分事として捉える

 続いて、パネルディスカッション「SDGsによる未来まちづくりの最前線とポストコロナ」が行われた。

 猪鼻信雄・静岡市企画局次長から、SDGs未来都市である静岡市の取組みが紹介された。同市では、静岡市創生・SDGs推進本部を立ち上げ、SDGsの推進に取り組んでいる。市民への普及啓発にも力を入れており、2018年度はSDGsウィーク(知る・理解する)、2019年度はSDGsマンス(行動する)、2020年度はSDGsシーズン(出会う・連携する)とバージョン・アップしながら実施した結果、SDGsへの認知度が2割上昇したという。「市役所だけでできることは限りがあるので、これからも市民と連携して取組みを進めていきたい」と語った。

 笠原慶久・(株)九州フィナンシャルグループ代表取締役社長/(株)肥後銀行代表取締役頭取は、近隣の地方銀行、環境省、熊本県、熊本市など多様なステークホルダーとの連携事例を発表した。また、企業のCSV=共通価値の創造について、「共通価値の創造自体を企業戦略に取り込む必要がある」と話した。同グループが第1回「ESGファイナンス・アワード」で銀賞を受賞したことに触れたほか、持続可能な地域づくりに向けた様々な情報発信の一環として、自らがインスタグラムでの情報発信をはじめたことも報告した。

 笠原氏の発言を受けて、泉谷由梨子・ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン(株)副編集長は、「頭取が発信するのはすごいですね。究極的にバズるかどうかは情熱があるかどうか。SNSが普及して読者の目がこえてきた。情熱がないとやらされ感が出てしまう」とメディアの立場から話した。SDGsを自分事として落とし込んでもらうため、SDGsカレンダーを作成して、例えば2月は「チョコレートをテーマにSDGsを考える」など、ユニークな企画を実践しているという。

 基調講演に続いてパネルディスカッションにも登壇した木村浩一郎・PwC Japanグループ代表は、「SDGsは世界共通言語であることを改めて感じた。若者の方がサステナビリティに対する意識が高い。過去の経験が今ほど役に立たない時代はない。今日のフォーラムは、新しいパートナーシップが生まれる潜在力を秘めた場である」と話した。

 ファシリテーターを務めた笹谷実行委員長は、SDGsの17の目標では足りない場合、18番目の目標をつくることが重要だとした。「これは言わば自由演技。まだ規定演技ができていない企業等が多いが、一刻も早く規定演技を終えて、自由演技ができるようにしたい」と総括した。

“SDGsメガネ”をかけて未来まちづくりを

 午後の部は特別セッションとして、自治体と民間企業が連携した取組みなど、未来に向けたまちづくりを実現する事例の発表が行われた。

「自治体DXを支える自立型都市ネットワーク」をテーマとした徳島県とNECネッツエスアイ(株)との連携の取組みや、包括連携協定を締結して「未来に向けた変革~次世代を見据えたまちづくりの推進~」に取り組む宮城県女川町とPwCコンサルティング合同会社の事例、エプソン販売(株)の再生紙をつくる製紙機「ペーパーラボ」の活用による北九州市の「紙の循環から始める地域共創プロジェクト」など、それぞれの機軸で地域活性化に挑む実践的な取組みは、SDGsを推進する多くの自治体の参考になりそうだ。

 最後に笹谷実行委員長は、「SDGsは実際に使う段階に入った。今日からメガネを“SDGsメガネ”にかけかえてほしい。そうすることでマインドが変わり、アクションにつながる。今日の学びを皆さんが実践して伝え、より良き未来のまちづくりに邁進していきましょう」と締めくくった。

 

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