
最新法律ウオッチング
高次脳機能障害者支援法|最新法律ウオッチング
NEW自治体法務
2026.04.10
この記事は4分くらいで読めます。
出典書籍:『月刊 地方財務』2026年3月号
★「最新法律ウオッチング」は「月刊 地方財務」で連載中です。本誌はこちらからチェック!

ご購読なら年間購読がお薦め!
月刊 地方財務(年間購読) 編著者名:ぎょうせい/編
詳細はこちら ≫
最新法律ウオッチング 第140回 高次脳機能障害者支援法
※2026年2月時点の内容です。
◆高次脳機能障害者支援法
2025年10月に召集された臨時国会において、高次脳機能障害者支援法が成立した。
高次脳機能障害とは、疾病の発症や事故による受傷による脳の器質的病変に起因すると認められる記憶障害、失語等の認知機能の障害をいい、2022年の調査では、その患者数は全国で約23万人と推計されている。
この障害は外形上判断しづらく、その特性の理解も進んでいないなどの理由で、患者とその家族は、日常生活や社会生活に困難を抱えているとの声がある。
このような現状を踏まえ、超党派による高次脳機能障害者の支援に関する議員連盟が設立され、関係者からのヒアリング、議員間の議論が積み重ねられた。
その結果、高次脳機能障害者の自立と社会参加のための生活全般にわたる支援を図る法案が取りまとめられ、議員立法として衆議院に提出され、衆議院と参議院で可決されて成立した。
高次脳機能障害者支援法
●基本理念
高次脳機能障害者に対する支援の基本理念として、
①意思を尊重しつつ自立と社会参加の機会が確保され、地域社会において基本的人権を享有する個人としての尊厳を保ちつつ他の人々と共生することを妨げられないこと、
②社会的障壁(高次脳機能障害がある者にとって日常生活や社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの)の除去に資すること、
③個々の高次脳機能障害者の性別、年齢、障害の状態や生活の実態に応じて、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関と民間団体相互の緊密な連携の下に、その意思決定の支援に配慮しつつ、医療機関における医療の提供から地域での生活支援を経て社会参加の支援に至るまで、切れ目ない支援が行われること、
④居住する地域にかかわらず等しく適切な支援を受けられるようにすること、
を定めた。
●国の責務等
国は、基本理念にのっとり、高次脳機能障害者に対する支援に関する施策を策定し実施する責務を有し、この責務を遂行するに当たっては、高次脳機能障害者に対する支援が体系的かつ実効的に行われることを確保する観点から、施策を総合的かつ計画的に策定し実施するため必要な措置を講ずるものとした。
また、地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、高次脳機能障害者に対する支援に関する施策を策定し実施する責務を有し、この責務を遂行するに当たっては、施策を総合的かつ計画的に策定し実施するため必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととした。
このほか、事業主による高次脳機能障害者やその家族の雇用の継続等への配慮の努力、国民による高次脳機能障害に関する理解の努力、政府や地方公共団体による支援の状況等についての公表等について定めた。
●支援に関する施策
支援に関する施策として、国や地方公共団体による地域での生活支援、教育的支援、就労の支援、権利利益の擁護、司法手続における配慮、家族等に対する支援、相談体制の整備、情報の共有の促進について定めた。
●高次脳機能障害者支援センター等
都道府県知事は、専門的な相談や支援等の業務を、指定する高次脳機能障害者支援センターに行わせたり、自ら行ったりすることができることとした。
また、都道府県は、専門的な医療機関の確保や、関係者等で構成される高次脳機能障害者支援地域協議会の設置に努めなければならないこととした。なお、都道府県が処理する事務について政令で定めるものは、指定都市が処理するものとされた。
このほか、国や地方公共団体による国民に対する普及・啓発、医療等の業務に従事する者に対する知識の普及・啓発、民間団体に対する支援、専門的知識を有する人材の確保等について定めるとともに、国による地方公共団体に対する支援、調査研究等について定めた。
●施行期日
この法律は、2026年4月1日から施行される。
国会論議
国会では、循環器病対策、がん対策等のさまざまな疾病対策基本法による支援とこの法律による支援との関係について質問があり、政府から、治療の段階ではそれぞれの疾病対策法に基づいた体制の下で支援が行われ、障害が残ったときにこの法律で支援をしていく関係になるとの説明がされた。
また、当事者同士の支え合いであるピアサポートの重要性について指摘があり、政府からは、都道府県に設置を進めている支援拠点機関でピアサポート活動等の支援にも活用できるよう研修等を行っており、支援体制の構築に努めたいとの説明がされた。
★「最新法律ウオッチング」は「月刊 地方財務」で連載中です。本誌はこちらからチェック!

ご購読なら年間購読がお薦め!
月刊 地方財務(年間購読) 編著者名:ぎょうせい/編
詳細はこちら ≫






















