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人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)|最新法律ウオッチング

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2025.08.07

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月刊 地方財務 2025年7月号

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最新法律ウオッチング 第136回 AI法

※2025年6月時点の内容です。

 2025年の通常国会において、AI法が成立した。

 人工知能(AI)関連技術は、その適正かつ効果的な活用によって行政事務や民間の事業活動の著しい効率化・高度化、また、新産業の創出をもたらすものとして経済社会の発展の基盤となる技術であるとともに、安全保障の観点からも重要な技術であるとされる。近年、人工知能関連技術をめぐる国際的な競争が激化する中、我が国において、人工知能関連技術の研究開発を行う能力を保持するとともに、関連産業の国際競争力を向上させるための取り組みが不可欠となっている。

 このような背景を踏まえ、政府は、人工知能関連技術の研究開発や活用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって国民生活の向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法案を国会に提出し、成立した。

AI法

人工知能関連技術の定義

 「人工知能関連技術」とは、人工的な方法により人間の認知、推論、判断に係る知的な能力を代替する機能を実現するために必要な技術と、入力された情報を当該技術を利用して処理し、その結果を出力する機能を実現するための情報処理システムに関する技術をいうこととした。

基本理念

 人工知能関連技術の研究開発や活用の推進に関する基本理念として、
①我が国において人工知能関連技術の研究開発を行う能力を保持するとともに、人工知能関連技術に関する産業の国際競争力を向上させること
②人工知能関連技術の基礎研究から活用に至るまでの各段階の関係者による取組を総合的かつ計画的に推進すること
③不正な目的や不適切な方法で行われた場合には、犯罪への利用、個人情報の漏えい、著作権の侵害その他の国民生活の平穏や国民の権利利益が害される事態を助長するおそれがあり、適正な実施を図るため、人工知能関連技術の研究開発や活用の過程の透明性の確保等の施策が講ぜられること
④我が国や国際社会の平和と発展に寄与するよう、国際的協調の下に推進し、我が国が国際協力において主導的な役割を果たすよう努めること
を定めた。

国、地方公共団体等の責務

 国は、基本理念にのっとり、人工知能関連技術の研究開発や活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施する責務を有することとした。

 地方公共団体についても、基本理念にのっとり、人工知能関連技術の研究開発や活用の推進に関し、国との適切な役割分担の下、地方公共団体が実施すべき施策として、その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、実施する責務を有することとした。

 また、研究開発機関や、人工知能関連技術を事業活動において活用しようとする者の責務について定めるほか、国民についても、人工知能関連技術に対する理解と関心を深めるとともに、国や地方公共団体が実施する施策に協力するよう努めるものとした。

国の基本的施策

 国の基本的施策として、
①研究開発の推進
②人工知能関連技術の研究開発や活用に必要な施設・設備と知的基盤の整備・共用の促進
③国際的な規範の趣旨に即した指針の整備等による適正性の確保
④人材の確保
⑤教育の振興
⑥不正な目的や不適切な方法による人工知能関連技術の研究開発や活用に伴って国民の権利利益の侵害が生じた事案の分析とそれに基づく対策の検討その他の調査・研究と、その結果に基づく指導、助言、情報の提供
⑦国際協力
について定めた。

基本計画・戦略本部

 政府は、人工知能関連技術の研究開発や活用の推進に関する基本的な計画を定めることとした。

 また、内閣に、内閣総理大臣を本部長とし、全大臣で構成する人工知能戦略本部を置くこととした。

施行期日

 この法律は、基本計画・戦略本部に関する規定を除き、公布の日(2025年6月4日)から施行された。

国会論議

 国会では、政府は世界のモデルとなるようなAI制度の構築に取り組むとしているが、この法案が世界のモデルとなる根拠について質問があった。政府からは、イノベーション促進とリスク対応の両立を図るため、体制整備や基本計画・指針の策定、調査、情報収集等から成る、規制法ではない形の法律とし、事業者の自主的取組を尊重するとともに新しい技術にも柔軟に対応できる制度となっており、AIの研究開発や活用を加速することができるバランスの取れた法制度として、有識者や諸外国からも評価されているとの説明がされた。また、AIによるリスクについては、個人情報保護法や個別の業法等で対応可能との説明がされた。

 

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