固定資産税の業務がAIで変わる 〜「固定資産税課のAIせんぱいkopo」〜

NEWキャリア

2025.08.07

★この記事は、月刊「税」2025年8月号に掲載されています。本誌はこちらからチェック!

月刊 税 2025年8月号

月刊 税 2025年8月号
特集①:令和9基準年度
   
 固定資産税評価替えの実務ポイントQ&A
特集②:固定資産税業務における業務改善のイマ
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:3,410 円(税込み)
詳細はこちら ≫

特集 固定資産税業務における業務改善のイマ【業務改善事例】

固定資産税の業務がAIで変わる
〜「固定資産税課のAIせんぱいkopo」〜


エアロトヨタ株式会社


 エアロトヨタ株式会社は令和7年7月1日付で朝日航洋から社名を変更しました。旧朝日航洋時代から、約50年にわたり取り組んできた固定資産関連業務で得られた知見を活かし、全国の自治体の事例と専門書籍データ等をワンストップで提供するサービス「固定資産税DXポータルkopo」(以下、「kopo」)の提供を令和5年10月に開始し、この7月に大幅なリニューアルを実施しました。

固定資産税業務の課題解決

 kopoは、固定資産税課が抱える「根拠探しに時間がかかる」「新任職員の育成が大変」「判断に自信が持てない」といった課題を解決します。生成AIによる対話形式の即時検索、他自治体や専門書籍等のナレッジ蓄積・共有、AIによる根拠付き回答文の自動生成等の機能により、業務負担を軽減します。

通知・判例等の情報を最短3秒で提示‼

 業務効率化に加え、「固定資産税課の知恵の資産化と活用」の実現を可能にします。50年以上にわたる自治体支援で培った知見に加え、「固定資産税実務提要」、「地方税質疑応答集」、月刊「税」の固定資産税関連記事等を網羅。また全国の調査・質問・回答も蓄積・共有される仕組みで、1万件超の資料から信頼できる根拠を最短3秒で提示し、評価の根拠探しにかかる時間を大幅に短縮します。さらに他自治体のナレッジを蓄積・共有・活用できるため、新任職員の育成や指導にも役立てられます。

kopoの主要機能

■「AIせんぱいkopo(コポ)」の4つの機能

01 固定資産税実務コンテンツを横断検索できる
  
「ナレッジデータベース」
・固定資産税実務コンテンツ書籍
・総務省通知・通達
・税務専門雑誌アーカイブ
・国内全判例データベース
・評価替え質疑応答集
・固定資産税用語集

02 学びと最新動向を届ける
  
「育成・アップデート」
・固定資産税のトレンドニュース
・研修動画ライブラリ

03 調査や文書作成を生成AIが支援する
  
「AIサポート」
・AIキーワード検索
・自動文書生成・要約
・AI対話検索※
※今年度提供予定

04 他自治体のナレッジ・傾向を活用する
  
「他自治体の事例&知見参照」
・検索ワードランキング
・自治体間Q&A・事例共有
・全国固定資産税課横断Wiki
※今年度提供予定


 主な機能は、固定資産税実務コンテンツをAIで横断検索する「ナレッジ・データベース」、トレンドニュースや研修動画を提供する「育成・アップデート」で、今年度提供予定の文書生成や対話検索を支援する「AIサポート」、他自治体のQ&A・事例を参照する「他自治体の事例&知見参照」によりさらに便利なサービスとなる予定です。

年間費用は24万円

 導入費用は、判例コンテンツの検索・閲覧機能付きで、1年間1ライセンス24万円で利用可能です。インターネットが利用できれば初期費用は0円で、1ライセンスがあれば、課内の皆様で利用いただけます。

【事例紹介】固定資産税業務における「情報検索」の効率化で、職員の知識の平準化と底上げを実現

滋賀県草津市

滋賀県草津市

面積67.82㎢、人口約14万700人。滋賀県の南に位置し、琵琶湖に面した都市。市内東部のびわこ文化公園都市区域には、立命館大学びわこ・くさつキャンパスや県立長寿社会福祉センターなどの教育・福祉・医療・文化等の施設が集積しており、西部には、琵琶湖のほとりに豊かな農地が広がり、烏丸半島には、県立琵琶湖博物館や市立水生植物公園みずの森などの環境分野の施設が集積している。交通アクセスも良く、「住みよさランキング2024」(東洋経済新報社)でも上位にランクインしている。


8階建ての市庁舎。平成4年(1992年)竣工。
8階建ての市庁舎。平成4年(1992年)竣工。

 滋賀県草津市の総務部税務課資産税係では、固定資産税関連業務における書籍や情報の検索作業を効率化する目的で、エアロトヨタ株式会社(旧:朝日航洋(株))が提供する「固定資産税DXポータルkopo」(以下、「kopo」)を令和6年度より導入。検索時間の大幅な短縮はもとより職員による専門知識の差の縮小や全体のレベルアップに成功した。kopo導入の経緯やその効果、今後の展望について駒井信也係長にお話を伺った。

固定資産税評価のクオリティーを担保する難しさ

 草津市の資産税係は現在、正規職員12名と会計年度任用職員4名が在籍し、土地家屋の評価から課税までの業務を行っている。

 実務を行ううえでの課題について、駒井係長は次のように話す。「一番の課題は、固定資産税評価のクオリティーを一定水準以上に保つことです。固定資産評価基準に基づいて評価額を算出すれば、誰が評価しても、どこの自治体の固定資産でも同じ評価額になるはずですが、実務では評価基準の解釈やマニュアルの運用に幅があり、職員によって評価にばらつきが出てしまいます。業務経験の豊富な職員と少ない職員とで知見の差が大きいことも、その一因です」

 固定資産税評価は専門性が高く、経験が何よりも物を言うが、毎年人事異動で職員が入れ替わるため、経験年数の浅い職員や初めて固定資産税評価にかかわる職員が多くなる傾向がある。結果として、知見の蓄積や共有が難しくなってしまうのだ。

 駒井係長はかつて資産税係に在籍し、家屋を4年、土地を3年経験したのち他部署へ異動、本年度10年ぶりに資産税係に戻ってきたのだが、過去に在籍していた当時から、この課題は変わっていないと言う。

 「知見を補強するために逐条解説や実務提要を調べるのですが、ここにも課題があります。膨大なページの中から目的の項目を探すのに多くの時間がかかるのです。

 『たしかこのあたりに載っていたはず』と記憶を頼りに探しても見つからなかったり、経験が浅い職員では何を手掛かりに探せばいいのか分からず、延々とページを繰ることになったりしがちです。検索作業にストレスを感じて、調べ物が後回しになってしまうこともあります」

 駒井係長は過去に資産税係に在籍した際、やってはいけないことと認識しつつ、自分で逐条解説や実務提要をスキャニングしてPDFデータ化し、検索がかけられるようにしようかと考えたこともあったそうだ。

半年間の試験導入で有用性を実感

 そんな中で、令和5年、エアロトヨタの営業担当からkopoの説明を受けた前任の担当が「これなら検索の煩わしさが軽減されて、検索時間も短縮できる」と直観し、半年間のデモ版の試験導入に踏み切った。

 実際に使ってみると、検索のしやすさは一目瞭然だった。「検索ワードを入力してクリックすれば、瞬時に結果の一覧が表示されます。今までの検索の苦労は何だったのかと思うほど簡単で、当時の職員からは『来年度以降も使いたい』との意見が多くあがったと聞いています」と駒井係長は話す。

 導入にあたっては、庁内でDXが推進されていたことでスムーズに合意形成ができ、令和6年度より正式に導入がスタートした。

滋賀県草津市税務課の駒井信也係長
滋賀県草津市税務課の駒井信也係長

kopo導入がもたらした効果

 本格導入から1年が経過し、次のような効果が確認されている。

①検索作業の効率化

 検索ワードを入力してワンクリックで結果が得られるため、検索時間が大幅に短縮された。また、実務提要だけでなく、地方税質疑応答集や月刊『税』の固定資産税関連記事なども表示されるので利便性が高い。

 駒井係長は「重い資料を取りに行かなくても自席で検索・閲覧ができる点や、使い方を教わらなくてもインターネット検索をする要領で使える点もいいですね」と評価する。

②知識の平準化及びレベルアップ

 検索作業にまつわる様々なストレスが減ったことで、積極的に調べ物ができるようになった。また、知見の共有についても、導入前は資料をコピーして回覧するなどしていたが、導入後は当該ページのURLを共有するなど簡単な作業で済むようになった。

 積極的な検索や知見の共有が可能になったことで、職員間の知識の平準化や全員のレベルアップに繫がった。ただし、新人の場合はいきなり使いこなすことは難しいと駒井係長は言う。

 「検索しやすくなったとはいえ、新人は検索ワード自体が分からなかったりするので、先輩に聞いている場面もよく見かけます。もう少し経験を積むと、自分で考えて調べられるようになると期待しています。

 ちなみに、先輩職員が新人に答える際に、自分の知識だけで答えるのではなく、その場で検索して根拠を示すという使い方もされています」

③“根拠に基づく正確な情報提供”で市民の満足度が向上

 kopoを含むDXの取り組みによって、職員の残業時間が大幅に削減した。その分、固定資産税評価の精度向上や市民の問い合わせ対応業務などにより多くの時間を使えるようになった。

 「市民から固定資産の課税について質問を受けたとき、判例などの根拠を示して納得のいく説明をすることが大事です。kopoのおかげでそれが可能になり、市民サービス向上に役立っています」

kopoはすべての自治体で役立つツール

 最後に、今後kopoに期待することを聞いた。

 「現状でも十分満足度が高いですが、他の自治体でどういう評価基準の解釈やマニュアルの運用をしているのかなどが、リアルタイムで情報共有できる仕組みがあると便利です。農地の地目の認定の考え方や非課税の解釈などはベテラン職員でも迷うことが多く、他の自治体がどうしているのか知りたいと思うことがあります。

 kopoはどんな規模の自治体でも有効活用できるツールですが、特に規模の小さな自治体ほど助かるのではないでしょうか。

 小さな町村では数名で固定資産税から住民税から、課税も徴収も行っているところがあると聞きます。固定資産の資料検索の負担が減るだけでも恩恵は小さくないと思います」

 地方税務行政DXが叫ばれているなかで、根拠や類似事例を効率的に検索できるkopoは、今まさに現場で求められているサービスであろう。

問合せ先

エアロトヨタ株式会社
自治体アセット事業部 資産R&D室
Tel:049-238-4042
E-mail:j-asset@aerotoyota.co.jp

kopo紹介webページへのQRコード

 

★この記事は、月刊「税」2025年8月号に掲載されています。本誌はこちらからチェック!

月刊 税 2025年8月号

月刊 税 2025年8月号
特集①:令和9基準年度
   
 固定資産税評価替えの実務ポイントQ&A
特集②:固定資産税業務における業務改善のイマ
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:3,410 円(税込み)
詳細はこちら ≫

 

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中