
最新法律ウオッチング
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律|最新法律ウオッチング
自治体法務
2025.12.09
この記事は4分くらいで読めます。
出典書籍:『月刊 地方財務』2025年11月号
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最新法律ウオッチング 第138回 労働施策総合推進法等の改正
※2025年10月時点の内容です。
2025年の通常国会で、労働施策総合推進法等の一部改正法が成立した。
急速な少子高齢化の進展や社会経済情勢の変化に対応していくためには、多様な労働者がその能力を十分に発揮して活躍できる就業環境を整備することが重要とされている。
こうした観点から、政府は、カスタマーハラスメント、求職者等へのセクシュアルハラスメントなどのハラスメントのない職場づくりを推進するとともに、女性の職業生活における活躍に関する取組の推進や、治療と仕事の両立支援の推進を図るため、改正法案を国会に提出し、成立した。
労働施策総合推進法等の改正
ハラスメント対策の強化
カスタマーハラスメントを防止するため、労働施策総合推進法の改正により、事業主は、職場で行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者等の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されることのないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないこととし、厚生労働大臣は、必要な指針を定めるものとした。職場での顧客等の言動に起因する問題に関する国、事業主、労働者、顧客等の責務も明確化した。
また、求職者等へのセクシュアルハラスメントを防止するため、男女雇用機会均等法の改正により、事業主は、求職活動等で行われる当該事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう、求職者等からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないこととし、厚生労働大臣は、必要な指針を定めるものとした。求職活動等での性的な言動に起因する問題に関する国、事業主、労働者の責務も明確化した。
さらに、労働施策総合推進法の改正により、国は、職場での労働者の就業環境を害する言動が行われることのない就業環境の形成に関する規範意識の醸成がなされるよう、必要な啓発活動を積極的に行わなければならないこととした。
女性活躍の推進
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の改正により、女性の職業選択に資する情報公表に関し、男女間における賃金差異の状況や管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合の公表を、常時雇用する労働者の数が100人を超える事業主等に義務付けることとした。
また、女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に留意して行われるべきであることを基本原則に明示するとともに、国が策定する女性活躍の推進に関する基本方針に職場のハラスメント防止対策を位置付けることとした。
あわせて、女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主の特例認定制度の認定基準に、求職者等へのセクシュアルハラスメント対策のために講じている措置に関する情報を公表していることを追加するほか、法律の有効期限を2036年3月31日まで10年間延長することとした。
治療と仕事の両立支援の推進
職場での治療と仕事の両立支援の推進を図るため、労働施策総合推進法の改正により、事業主は、疾病、負傷その他の理由により治療を受ける労働者について、就業によって疾病や負傷の症状が増悪すること等を防止し、その治療と就業との両立を支援するため、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととし、厚生労働大臣は、治療と就業の両立支援指針を定め、公表するものとした。
施行期日
この法律は、一部を除き、公布の日(2025年6月11日)から1年6月以内の政令で定める日から施行される。
国会論議等
国会では、フリーランスへのカスタマーハラスメント対策について議論があり、政府からは、顧客等からの言動について発注事業者に措置義務を設けることは、フリーランスが発注事業者から業務遂行上の指揮監督を受けず労働者とは働き方が違うこと等を勘案した上で、必要性や保護の内容について慎重に考えるべきだが、検討の重要性は認識しているとの説明がされた。
審議を経て、衆議院で、カスタマーハラスメントの防止に関する事業主による雇用管理上の措置の例示として、労働者の就業環境を害する顧客等からの言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置を追加するとともに、政府に、フリーランスへのカスタマーハラスメントを防止するための施策について検討を義務付ける修正が行われた。
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