会議の技術 第8回 会議を楽しくする方法

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2019.08.02

こうすればうまくいく!会議の技術
事前準備からファシリテーションまで

第8回 会議を楽しくする方法

(月刊『ガバナンス』2009年11月号)

 ある日、田中君はある定例会議に出席した。いつものように時間通り始まらない。だれが議長になるか決まっているようで決まっていない。分厚い資料が配布され、上司の話がダラダラ続く。相変わらす職員から退屈な報告があり、お約束のような上司との質疑応答が行われる。

 会議の進め方も、その場の雰囲気も、十年一日のごとく変わらない。IT技術で職場の様相は一変したのに、人間がやる会議は昔から何の進歩もない。田中君は、どうすれば、もっと楽しく会議ができるのか、考え始めた。

 

レイアウトを変えてみよう

 会議室のレイアウトといえば、コの字型かロの字型と相場が決まっている。ちょっと民主的な職場だと、丸テーブルで話し合いを行う。

 これまでに、会議が始まる前に、会議室のレイアウトを変えたことがあるだろうか。きっと、すでに作られたレイアウトのまま、参加者は空いている席にバラバラ座る。

 議長らしき人か、お偉い上司が上座に座って、若手はできるだけ離れて座る。もし、会議室が教室型のレイアウトであれば、前の方はガラガラ状態になる。これはいただけない。「この会議は、みんなやる気がありません」と言っているようなものだ。

 こんな会議に出席して楽しいだろうか。きっと、お通夜のような会議が繰り広げられるにちがいない。

 たまには、会議室のレイアウトを変えてみよう。それだけで、会議が楽しくなる。会議室に入ってきた参加者が、「おっ」と意外に思い、これから何が始まるのかと、期待感が高まる。もし参加者が少ない人数ならば、トライアングル型レイアウトにしてみよう。これはテーブルで三角形をつくり、全員が顔を合わせられるようにするレイアウトだ。そうすれば、会議室に緊張感が漂う。

 もし、人数が多いなら、ペンタゴン型レイアウトもいい。テーブルを五角形になるように配置する。このように全員が顔を合わせて座るなら、話し合いは活性化する。人数に合わせて六角形や八角形などのレイアウトを作る。

 多人数の会議で、プレゼンテーションをする場合などは、テーブルを取っ払って椅子だけで着席する。あるいは、セミサークル型レイアウトで、椅子を半円形に配置すれば、集中力も切れずに、密度の濃いコミュニケーションが実現できる。テーブルはコミュニケーションを阻害する要因だ。テーブルがあればメモをとることに終始するし、相手とのバリアにもなる。それに、テーブルにうつぶせになってうたた寝することもできる。

環境を変えてみよう

 会議は部屋の中で、座ってやるものだという固定観念を取り払おう。多くの人は、会議室に入ると、いつも同じ席に座る。早めに会議室に行って、私物をおいていつもの自分の席を確保する。そのまま会議室を出て行き、遅刻して戻ってくる。

 いつも同じ席に座っていると、物の見方が一方的になり、新しいアイデアが出てこない。会議の途中で、一度、席替えをしてみよう。子どもの頃に帰ったようで結構楽しいものだ。席替えをすると、雰囲気が変わってやる気が出る。

 たまには、立って会議をしよう。テーブルと椅子を片づけて、円陣を組むスペースを確保する。みんなで肉体労働をすると、運動不足の解消になる。立って会議をすると、足が疲れてくるから、効率的な話し合いになる。それに、ホワイト・ボードの周りに集まって、ああでもない、こうでもないと、アイデアを書き込みながら話し合うのも悪くない。参加者の一体感が醸し出されて、会議は楽しくなる。

 いっそ外に出て、会議をするのも気分転換になっていい。開催通知に、「午前11時、中庭に集合」と書く。みんなで芝生に座って話し合えば、何やら青春時代を思い出していいものだ。中庭がなければ、近所の公園に出かけていけばいい。会議は頭脳を使う作業だから、すがすがしい雰囲気の中の方が、回転も速くなる。

 それに、会議は就業時間内だけにやるものではない。その証拠に、仕事が終わって、飲みながらインフォーマルな会議をする。

 夜の酒の席でやる会議より、さわやかな早朝にブレックファースト・ミーティングをやる方が健康的だ。1日のグッド・スタートが切れる。たまには、「明日の早朝、どう?」と誘ってみるのも悪くない。

 会議を活性化したければ、刺激が必要だ。レイアウトを変えてみたり、場所や時間を変えてみるのも、楽しい会議づくりに効果的だ。そんな奇抜なことはできないと言うなら、十年一日のごとく、陰気で退屈な会議に我慢することだ。

進め方を変えてみよう

 会議に参加者が10人集まれば、10人で会議をする。50人集まれば、50人で会議をする。つまり、ひとつの会議室で全員が関わって会議をするわけだ。

 この会議の進め方を変えてみよう。もし、参加者から意見が出てこなければ、小さなグループに分けるとか、2人1組のペアをつくってそれぞれ議論をさせる。

 多くの参加者、全員の前で意見を言うことに躊躇してしまう人もいるだろう。しかし、少人数のリラックスした雰囲気の中であれば、積極的に意見が言える。

 そして、全員を集め各チームから議論の結果を発表させる。発表の順番はくじ引きで決めるなどとする。そうすれば、わいわいがやがやで会議は楽しくなる。

 あるいは、「この議題について、それぞれの意見を、このカードに書いてください」と指示し、カードを配布する。みんなの前で発言できなくても、カードになら意見が書けるという参加者は多い。そうすれば、単に発言を求めるより、多くの意見を吸い上げることができる。

 さらには、カードではなく、A4サイズのシートに、シートを回覧しながら意見を書き込んでいく方法もある。前の人の意見を参考に、新たな発想が湧いてくる。

 もし、議題に対して賛成派と反対派に分かれ、議論がデッドロックに乗り上げたとしよう。そんなときは、参加者を2つのグループに分けて議論をさせる。あるいは、賛成派と反対派を1対1のペアにし、お互いに説得し合うなど、議論を楽しくする方法はいくらでもある。

 また、議長や書記を持ち回りにしたり、会議室のレイアウト調整の役割や飲み物やスナックを準備する役割をジャンケンで決めたりすると、会議への参加意識が高まる。

 あるいは、会議の出席回数や発言回数を競ったりするなど、ゲーム感覚を持ち込むことも楽しい。

 要は、会議を知的に楽しくするための工夫をすることだ。何も考えずに、これまでのやり方をそのまま引きずっていくことが、会議をマンネリ化させる。

著者プロフィール

八幡 紕芦史(やはた ひろし)

経営戦略コンサルタント
アクセス・ビジネス・コンサルティング(株)代表取締役、NPO法人国際プレゼンテーション協会理事長、一般社団法人プレゼンテーション検定協会代表理事。大学卒業とともに社会人教育の為の教育機関を設立。企業・団体における人材育成、大学での教鞭を経て現職。顧問先企業では、変革実現へ、経営者やマネジメント層に支援・指導・助言を行う。働き方改革への課題解決策として慣習の”会議”から脱皮を実現する鋭い提言で貢献。著書に『会議の技術』『ミーティング・マネジメント』ほか多数。

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