会議の技術 第11回 議事録を書くコツ

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2019.08.07

こうすればうまくいく!会議の技術
事前準備からファシリテーションまで

第11回 議事録を書くコツ

(月刊『ガバナンス』2010年2月号)

 ある日、田中君は上司から呼ばれ、先週の会議で話し合われた内容を報告するよう指示された。席に帰って会議資料を取り出し、会議の結果を調べ始めた。記憶をたどりながら、資料に書き込んだメモを読み返してみたが、ぼんやりとしか思い出せない。

 これまでの会議では、会議中に各自がメモを書いているので、取り立てて議事録は作成していなかった。何とか思い出しながら報告書を作成し、上司に提出した。しかし、上司からはヌケやモレを指摘され散々な思いをしてしまった。

 

実行するための議事録

「明日の午後1時に、ちょっと集まってくれない?」と周りの職員を招集して会議を開催する。そんな会議だと、前もって開催通知が配られることはない。いざ始まったとしても、だれが議長役をするのか決まっていない。それに、何について議論をするのか、だれもわからない。

 このような会議にかぎってというか、だからこそといおうか、会議は単なるムダなおしゃべりに終始してしまう。そして、結論かどうかもわからない結論らしきもので、会議が終了する。

 会議を開催するなら、前もって開催通知を作ることだ。そして、会議が終われば、議事録を作成する。つまり、開催通知と議事録は、会議の「予定」と「実績」だから、常にワンセットでなければならない。

 では、なぜ、議事録を作成しなければならないのだろうか。その目的が明確であれば、議事録を作成することを忘れたり、面倒くさいなどとは思わないはずだ。

 では、議事録を作成する目的は何か。それは、参加者が会議での決定事項を実行に移すためだ。会議で話し合った内容は、会議が終了した後、それぞれの参加者が確実に実行してこそはじめて、すべての仕事が前に進むことになる。

 しかし、人間は忘れやすい生き物だ。多くの参加者は、しばらくすると、「前回の会議で何が決まったんだっけ?」と忘れてしまう。

 忘れてしまうと、決定事項は宙に浮いたままになる。決定事項が実行されなければ、そもそも人を集めて会議を開催した意味がない。このような問題を起こさないよう、参加者が会議終了後も参照できる議事録を作成することだ。

 そして、この議事録は、関係者にも知らせておくことが必要だ。そうでなければ、「決まったなら、決まったと言ってくれなければ…」と、後のトラブルに発展する。

 特に上司には議事録を配布し、何について議論がなされ、何が決定されたか、知らせておく。上司に報告することは、自分の仕事を円滑に進めるために必要なことだ。

何を議事録に残すか

 たとえば、会議で話し合った結果、住民調査を行うことに決定し、議事録に「住民調査を実施すること」と記載したとしよう。会議終了後、果たして、この住民調査は確実に実行に移されるだろうか。

 きっと、次回の会議で、議長が「住民調査の結果を報告してください」と言うと、「いや、あのう、住民調査はですね、ちょうど忙しい時期と重なって…」とか、「そのう、アンケート結果の集計が…」、「あのう、パソコンの調子が悪くて…」などと、言い訳のオンパレードになる可能性が大だ。

 この問題の原因は、議事録に「期限」を明示していないからだ。期限がない仕事は、どうしても優先度が低くなり、トレーの一番下に残ったままになる。議事録には、「来月末までに、住民調査を行い、調査結果を報告すること」と期限を明記することだ。

 では、期限を明記するだけで、決定事項は確実に実行されるだろうか。ひょっとすると、「調査結果を報告してください」と言ったところ、「はい、調査結果によると、住民の意識は低くはないと思いますよ」という報告が返ってくるかもしれない。

「根拠となる具体的なデータは?」と重ねて報告を求めると、「データですか。それは私のデスクの上にあります」、「そのデータを報告してください」、「今ですか?」などと、間抜けなやりとりになってしまう。

 議事録には、実行すべきことと、実行の結果をどのように報告すべきか明示することだ。たとえば、「A4・1枚でデータを添付し調査結果を報告すること」などと、実行のアウトプット形式を明確にする。

 議事録には期限と形式を明示しよう。ただし、それだけでは不十分だ。「調査結果を報告してください」と言っても、会議室がシーンと静まり返ってしまうこともある。

 シーンとする原因は、参加者が、「だれかがやるだろう」と思いこんでしまうことだ。

 特に、「みんなで協力してやりましょう」と言うと、結果的にだれもが無責任になってしまう。実行する担当者を明確に記述することを忘れてはいけない。

 議事録には、決定事項に対して、実行の「項目」、「期限」、「形式」、「担当」を明記することだ。

議事録は速やかに配布

 会議は、会議の終了後に実行が伴わなければ、その価値はない。単にしゃべりっぱなしでストレス解消になったとしても、何も生産しない。

 多くの人は、完了した仕事に対して、さらに仕事をすることを面倒くさいと思う。その典型が事後報告。自分の中では仕事は終わっている。しかし、終わったことを報告しなければならない。それは議事録も同じことだ。

 もし、面倒くさいとばかり、議事録作成を先延ばしにすると、どうなるだろうか。参加者は、会議での決定事項を忘れ、実行を先延ばしにする。先延ばしの二乗で、仕事はどんどん遅延してしまう。その先の結果は火を見るよりも明らかだ。

 それに、参加者に言い訳を与えてしまうことにもなる。「議事録が手元にくるのが遅かったので…」と。本来、それは言い訳にもならないが、少なくとも、このようなリスクは避けた方が賢明だ。そのためには、会議終了後、すぐに議事録を作成することだ。記憶が鮮明なうちに書けば、ヌケやモレも避けることができる。それに、後で記憶をたどりながら書くよりも短時間で作成できる。

 会議の最中に、パソコンで議事録を作成する方法もある。しかし、キーボードを打ちながらだと、話し合いに集中することが難しい。それに、瞬時にパソコンで図形を描くのは至難の業だ。会議でパソコンを使う参加者の生産性は低い。

 会議終了後、ただちに議事録を作成し、速やかに配布しよう。参加者は、議事録に基づいて、決定事項の実行プランを立てたり、次の会議の準備をする。

 議事録が1日遅れると、決定事項が実行されるのが1日遅れる。議事録は速やかに配布する。そうすれば、参加者は次の会議が楽しみになるはずだ。

著者プロフィール

八幡 紕芦史(やはた ひろし)

経営戦略コンサルタント
アクセス・ビジネス・コンサルティング(株)代表取締役、NPO法人国際プレゼンテーション協会理事長、一般社団法人プレゼンテーション検定協会代表理事。大学卒業とともに社会人教育の為の教育機関を設立。企業・団体における人材育成、大学での教鞭を経て現職。顧問先企業では、変革実現へ、経営者やマネジメント層に支援・指導・助言を行う。働き方改革への課題解決策として慣習の”会議”から脱皮を実現する鋭い提言で貢献。著書に『会議の技術』『ミーティング・マネジメント』ほか多数。

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