クレーム対応術

関根健夫

【カスハラ対策】不当な要求にも応える必要がある?|クレーム対応術11

キャリア

2025.04.12

【コラム】「悪質なお客さま」対応を練習しておく

 不当要求を繰り返す、また不当要求が疑われるお客さまには、一人で対応するとストレスが溜まる。
 後になって「言った」「言わない」の不毛な議論になることも多い。

 そうならないためには、複数の職員で対応することが大切だ。時には助けを呼ぶことになるだろう。
 ポイント10 でも述べたが、多くの役所では、対応マニュアルなどに「一人で対応しない」「庁舎管理者に報告」「警察への通報」などと書いてあるが、それが実践的に運用できていない場合が多い。不当要求が発生したとき、とっさの判断で組織的に動けるかどうかが組織の質ともいえる。

 人は誰でも、異常なことは起こってほしくないと思っているし、無意識に起こらないと思い込んでいる。
 例えば、火事になったら119番に電話することは誰もが知っている。しかし、実際に火を見たときに「火事だ!」と叫べる人は少ないという。119 番に電話をかけることができても、緊張して自分の住所が言えない人もいるそうだ。
 あってはならないことが起きている異常性をなかなか冷静に認知、判断できないのだ。

 それを克服するには、普段から訓練をしておくことが大切だ。できれば、実際の接客カウンターを使って、ロールプレイング形式で練習する。

 お客さまがどのような発言、行動に至ったら、誰がカウンターに近づくか、誰がどこの部署に連絡するかなどを練習しておく。そのことで、クレーム対応マニュアルの本当の意味が実感できるだろう。

 

月刊『ガバナンス』で好評を博した連載「クレーム対応駆け込み寺」を加筆修正、再構成し単行本化
クレーム対応のさまざまな悩みを解決!

お悩み解決!公務員のためのクレーム対応駆け込み寺

お悩み解決!
公務員のためのクレーム対応駆け込み寺
編著者名:関根健夫/著
販売価格:2,420 円(税込み)
試し読みはこちら ≫

【こちらもおすすめ】
カスハラをはじめとする不当要求行為等について、実際の事例から対応を学ぶ!

自治体職員のための 不当要求行為対応ブック-事例からわかるトラブル回避策-

自治体職員のための
不当要求行為対応ブック
-事例からわかるトラブル回避策-
編著者名:宇都木法律事務所(代表弁護士 宇都木 寧)
販売価格:3,080 円(税込み)
試し読みはこちら ≫

 

≪ 前の記事 連載一覧へ 次の記事 ≫

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関根健夫

関根健夫

人材教育コンサルタント

1955年生まれ。武蔵工業大学(現、東京都市大学)卒業後、民間企業を経て、88年、アイベック・ビジネス教育研究所を設立。現在、同社代表取締役。コミュニケーションをビジネスの基本能力ととらえ、クレーム対応、営業力強化などをテーマに、官公庁、自治体、企業等の研修・講演、コンサルティングで活躍中。著書に、『こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル』『事例でわかる公務員のためのクレーム対応マニュアル 実践編』(ぎょうせい刊)。

閉じる