クレーム対応術

関根健夫

クレーム対応術 2 言葉にかける信念を貫く

キャリア

2019.03.21

【コラム】クレームは生きた学習材料

学習とひらめき

 クレームは、いつ、誰から、どんな内容が、どのように持ち込まれるかわからない。したがって、予定して万全の準備を整えること は難しい。

 しかし、まったく準備ができないかというと、そうではない。クレーム対応の実績を次につなげる努力をすることが大切だ。

 同じ組織でありながら、その時々や対応者によって説明内容や結論、条件が違ってしまっては、そのこと自体が不審を招く。お客さまにも公平性が保てないし、ときには社会的正義に反することにもなる。

 したがって、クレームに対応して一定の結論を得たら、それを記録として残すことが大切だ。いつ、どこで、どんなことが起きたのか。 その事実について、お客さまの言い分、要求は何か。そのお客さまには、どんな事情があるのか。そのことで当方は、誰が、どんな説 明をしたか。どんな条件を認め、どんな条件は断ったのか。結果として、どんな結論に落ち着いたのか、などを記録する。

 大切なことは、その記録を職員が共有し、組織としての経験として活用されているかどうかだ。同じような人、案件はまた来るかもしれない。その緊張感をもって、部課ごとに職員全員が参加して、事例研究会議を定期的に開くことが大切だ。一部の企業では、これを1日に何度も開くという。それだけクレームに問題意識を持っているのだ。自治体でも、月に数回は行ってほしいし、長年続けて習慣化することをお勧めする。その積み重ねが組織の危機感、一体感を醸成する。クレームに強い組織づくりの第一歩といえるだろう。

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関根健夫

関根健夫

人材教育コンサルタント

1955年生まれ。武蔵工業大学(現、東京都市大学)卒業後、民間企業を経て、88年、アイベック・ビジネス教育研究所を設立。現在、同社代表取締役。コミュニケーションをビジネスの基本能力ととらえ、クレーム対応、営業力強化などをテーマに、官公庁、自治体、企業等の研修・講演、コンサルティングで活躍中。著書に、『こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル』『事例でわかる公務員のためのクレーム対応マニュアル 実践編』(ぎょうせい刊)。

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