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【第18回 日本自治創造学会】どうすれば「住民に選ばれる自治体」になるかを考える2日間/イベントレポート

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2026.09.03

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【ガバナンス・トピックス】
どうすれば「住民に選ばれる自治体」になるかを考える2日間
──第18回日本自治創造学会

地方議会議員を中心に、首長や職員、研究者などが地域に根ざした実践的な研究や交流を行っている日本自治創造学会(穂坂邦夫理事長)は、5月27日・28日の2日間、東京・明治大学で第18回研究大会を開催した。全国から地方議員らが中心に参加し、学びと交流を深めた。

これからの地方の姿を考える

 第18回目を数えた同学会の研究大会は、「人口減少下の新たな挑戦~住民に選ばれる魅力ある自治体を創る~」をテーマに2日間にわたって開催されました。

 初日はまず、穂坂理事長の挨拶からスタート。「大会も18年目を迎えた。20年前の地方自治の現場は元気があったが、昨今は元気がないと感じる。縮む社会の中で行政だけでは限界が来ているのではないか」と危機感を示した上で、「公と民の共創の時代に入っている、住民から魅力ある地域だと思ってもらえるよう、学びある2日間を過ごして欲しい」と会場に集った参加者らに呼びかけた。

講演の様子①
全国から地方議員を中心に大勢の参加者が学んだ。

 初日は以下のプログラムで行われた。
■「人口減少・デジタル時代の地方自治を探る」小川康則(総務省自治行政局長)
■「スマートシュリンクの考え方と実践」小峰隆夫(大正大学地域構想研究所客員教授)
■「人口減少時における新たな地域政策のつくり方“実施した地域の産業政策の是非を検証する”」松原宏(福井県立大学地域経済研究所所長・教授)
■「生成AIを活用する新たな地方の創生策」金剛洙(株式会社松尾研究所取締役副社長)

人口減少・デジタル時代の地方自治を探る

 最初の講演をした小川局長は、地方自治の現場をめぐる議論について話した。小川局長は、
①向かい風から学んだもの
②現場も制度も動いている
③新たな試みに形を与える
──という3つの軸で議論を展開。

 地方分権改革と平成の大合併を振り返り、「地方分権は政治とは無縁で進めることはできないというのが学びだった」と語った。その上で、地方自治をめぐる状況の変化の中で、「新しい地方分権、地方自治のあり方を考えていかなければならない」と話した。

スマートシュリンクの考え方と実践

 小峰隆夫・大正大学客員教授は、「スマートシュリンク(賢く縮む)」という考え方について、事例を交えながら紹介した。小峰客員教授は、スマートシュリンクとは、「人口が減っても住民のウェルビーイングが保たれる、もしくはより高まるような地域」を目指すこととし、そのエッセンスとして、
①人口減少はもはや避けられないという認識を持つ
②地域を「人口の多かった時代に戻す」のではなく、住民のウェルビーイングを視野に置いて、身の丈に合った地域づくりを進める
③賢く縮むことは可能であることを知る
──と紹介した。

 また、地域のスマートシュリンクとは、人口減少は避けられない前提のもと、
①これまでの事業や予算の使い方を見直し
②地域にとって本当に必要なサービスやインフラの維持・向上をさせ
③住民が安心して暮らせる環境をつくること
であると説明。その実践例として、岡山県美咲町の「賢く収縮するまちづくり」の取組みを紹介した。

 小峰客員教授は、
■劇場型ではなく共有型の地域活性化策を
■地方創生策と人口政策のデカップリングを
■実態に即した人口展望を
──の3点を自身がスマートシュリンクを考える上で重視していることと話し、「実態に合った形でスマートシュリンクという考え方が広まれば」と参加者に呼びかけた。

講演の様子②
小峰隆夫・大正大学客員教授は、これからの「スマートシュリンク」の考え方について講演した。

都市と地方をかきまぜ、人間の世界を取り戻す

 第2日目は、以下のプログラムが行われた。
■「都市と地方をかきまぜる」高橋博之(株式会社雨風太陽代表)
■「持続可能な地域交通を目指す~「交通空白」解消に向けた政策最前線~」原田修吾(国土交通省大臣官房審議官)
■〈事例研究発表(コーディネーター=牛山久仁彦(明治大学教授)〉
「空き店舗の再生で“若い世代が行きたくなるまちを創る”」高野慎吾(元小諸市職員・高野不動産代表)
「公共空間に福祉の力とアイデアを使う“ゼロからのにぎわいづくり”」貞松徹(社会福祉法人ながよ光彩会理事長)
「空き家の活用で“元気なまち”を取り戻す」大垣満(大和郡山まちづくり株式会社代表)

都市と地方をかきまぜる

 講演のうち、(株)雨風太陽の高橋博之社長は、自身が広めた「関係人口」について語った。以前、岩手県議会議員を務めていた高橋さんは「もともと東京は地方からの移住者たちが作った。だからルーツが地方にあった。しかし、今は世代がまわり3世、4世くらいになり、ふるさととの関係が切れてしまっている。正月やお盆に帰省先のない『ふるさと難民』が急増している。これまで血縁で辛うじてつながっていた都市と地方の分断が決定的になってしまう」と東京一極集中が加速している現状について説明。「東京の大学は大半が首都圏出身になってしまい、霞が関でも同じような現象が起きていくだろう。都市で生まれ育ち、過疎や高齢化が問題ということは頭でわかっていても地方の課題に対して共感が湧きづらい。都市と地方の分断が進んでしまうのではないか」と危機感を共有した。その上で、自身が提唱してきた「ふるさと住民登録制度」についても言及。「AIが生成できないものがたくさん地方にはある。都市と地方の人でAIが当たり前になる世界で人間の世界を取り戻すことを挑戦していかなければならない」と会場に投げかけた。高橋さんの力強い言葉に、参加者らは大きな拍手で応えた。

事例研究発表

 後半の事例研究では各地の実践を深掘り。空き家、店舗活用や高齢者福祉など、地方の課題に真正面から向き合う取組みを取り上げ、会場参加者らの質問に答える形で、これからのまちづくりについて考えた。2日間にわたり、全国各地から多くの参加者らが集い、「選ばれる自治体」になるためのヒントを持ち帰った。

(本誌/浦谷 收)

 

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