
ガバナンスTOPICS【イベントレポート】
【未来を選択する会議】民間初の『人口問題白書』を公表/イベントレポート
NEW地方自治
2026.06.21
目次
出典書籍:『月刊ガバナンス』2026年6月号
最新のイベント/会見レポートを毎月掲載中!

月刊 ガバナンス 2026年6月号
特集1:ひとりで悩まない 新年度3か月目の整え方
特集2:公務に役立つ! 「ちょうどいい距離」の文章術
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,320 円(税込み)
詳細はこちら ≫
【ガバナンス・トピックス】
民間初の『人口問題白書』を公表
──「未来を選択する会議」、緊急提言もあわせて発表
経済界、労働界、地方自治体、学識者、若者世代で構成される「未来を選択する会議」(議長=三村明夫・日本製鉄(株)名誉会長)(注1)は、3月27日に民間では初となる人口問題に関する白書『人口問題白書』を公表した。また、同日には、同会議の政策提言グループによる緊急提言も発表された。
注1 未来を選択する会議
https://iroiromirai.jp/
人口問題への対処はスタートラインに立ったばかり
「未来を選択する会議」は、2025年10月に発足。経済界、労働界、地方自治体、関係団体、有識者、若者世代など幅広いステークホルダー100人で構成され、「人口減少時代の生き方、くらし方、働き方を考える」をテーマに、社会全体の構造や意識の改革に向け、すべての人が主体的に関わる社会の気運醸成を目指し、民間主導の取組みを展開してきました。また、同会議には、若者や女性の意見をより反映するために「未来に向けた対話チーム」も設置しています。

今回は、同会議によってまとめられた『人口問題白書』の公表と会議内の政策提言グループによる緊急提言の内容について公表された。
記者会見出席者:
増田寛也氏(同会議共同代表/野村総合研究所顧問)
小林味愛氏(同会議共同代表・未来に向けた対話チーム/陽と人代表取締役)(オンライン参加)
宮本太郎氏(同会議メンバー/中央大学法学部教授)
五十嵐智嘉子氏(同会議メンバー/北海道総合研究調査会理事長)

記者会見には、増田寛也、小林味愛両共同代表らが出席し、民間初の『人口問題白書』の意義を語った。
「未来選択・緊急提言―『縦割り』を超えた推進体制を―」について
まず、増田共同代表が、同会議政策提言グループによる「未来選択・緊急提言―『縦割り』を超えた推進体制を―」について発表した。
この緊急提言は、政府の人口戦略本部でのヒアリングの中で同会議として提案したもの。まず、増田共同代表は、緊急提言を行う趣旨として、「政府の本格的な人口問題への戦略はスタートラインに立ったばかりだ」とし、2025年11月に人口戦略本部を設置したことを評価。その上で、人口問題の総合戦略の確立に結びつくことを期待し、政策提言グループとして、以下の3つの方針と5つの提案をした。
■<基本的な考え方>3つの方針
①「政策リンケージ」の推進:舞台は地域
②官民連携体制の確立:ブレずに取り組む
③国民への分かりやすい発信:選択肢と国民運動の展開
■<検討課題の提案>5つの提案
①少子化対策は、“新たなステージへ”
②「人材希少社会」への対応
③「全世代型社会保障」の構築:「給付付き税額控除」への期待
④「地域産業クラスター」や「地域生活圏」の導入
⑤地域における「政策リンケージ」の推進:プロジェクトの立ち上げ
――について説明した。
特に、基本的考え方の「②官民連携体制の確立」の部分では、2000年の省庁再編の際に併せて廃止された人口問題審議会以来、人口問題を総合的に審議する役割を担ってきた組織がないことについて言及。増田共同代表は「昨年設置された人口戦略本部が総合的な戦略の立案・遂行という“司令塔”としての役割を果たすよう、組織の抜本的な強化を行うことが求められる。そして常設の審議組織を設置し、調査研究体制を強化し、中長期的な視点に立った時間軸を踏まえて取り組んでいく必要がある」と話した。
民間団体として初
『人口問題白書2025―人口減少時代の生き方、くらし方、働き方を考える』について
記者会見では、同会議がまとめた『人口問題白書2025―人口減少時代の生き方、くらし方、働き方を考える』についても公表された。

『人口問題白書2025』。統計的なデータだけでなく、様々な有識者の寄稿も掲載した。
白書はA4判で339ページ。3部で構成され、第1部では、人口動向や関連政策の動きを整理し、第2部では全世代を対象にした意識調査の結果を速報。全分量の半分を占める第3部では、多様な分野の有識者87人の人口問題に関する寄稿を掲載した。
白書では、人口動向や関連政策をデータとファクトに基づいて掲載しただけでなく、人口問題を考える上で有用な調査研究(論文・書籍)等も紹介されている。
また、同会議が実施し、約2万人を対象とした意識調査の結果も盛り込まれた。人口減少に対する危機感が年代が上がるほど強くなる結果が出ているほか、子育ての経済的な負担や、性別役割分担など社会規範の根強さといった人口減につながる出生数減の要因に関する問いでは、年代や男女の間で意識に差が出ている調査結果を示した。
五十嵐氏は白書を発刊した趣旨を説明し、「人口問題は多岐にわたる課題を含んでいる。それぞれの分野でそれぞれの研究者・有識者が発表をしている。そのプラットフォーム機能を発揮したい」と述べ、「人口動向や人口政策について知りたいと思っていることに対して可能な限り正確かつ多様な範囲で広く提供することを目指している」と述べた。
人口に関する白書は、これまで国の人口問題審議会によって『人口白書』が1959年と1974年に2回刊行。しかし、当時は人口増加、人口爆発をいかに抑制するかに主眼が置かれていた。また、2004年度から2022年度までは『少子化社会対策白書』が刊行されていたが、これも少子化対策に焦点をあてたものだった。今回の白書は民間団体として人口問題を取り上げた初の白書となった。
増田共同代表は、「この白書が、人口問題について自分ごととしてファクトを受け止めて、そこから未来を考えていく上で、非常に有効なものになるのではないか。民間団体から出したものだが、毎年出し続けていくことで、公共性や信頼性の高い白書にしていきたい」と展望した。
*
『人口問題白書』の全内容は、同会議HP(注2)で公開されている
注2 人口問題白書2025
https://iroiromirai.jp/research/20260327-001/
(本誌/浦谷 收)
最新のイベント/会見レポートを毎月掲載中!

月刊 ガバナンス 2026年6月号
特集1:ひとりで悩まない 新年度3か月目の整え方
特集2:公務に役立つ! 「ちょうどいい距離」の文章術
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,320 円(税込み)
詳細はこちら ≫





















