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【第28回都市政策研究交流会】これからの地域コミュニティのあり方/イベントレポート

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2026.04.26

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【ガバナンス・トピックス】
これからの地域コミュニティのあり方を議論
──第28回都市政策研究交流会

(公財)日本都市センターは2月10日に「地域コミュニティの『再構築時代』を迎えて ~地域のつながりはどのように変わるのか~」と題し、都市政策研究交流会を開催した。都市自治体における地域コミュニティの“再構築時代”を見据え、今後の方策について活発な議論が行われた。

地域コミュニティの課題とは

 自治会・町内会の加入率が右肩下がりとなる中、地域の組織の担い手不足や、地域コミュニティの希薄化が懸念されています。こうした状況を受け、同センターでは2024年度に5人の学識経験者、および都市自治体職員経験者から成る「新たな地域コミュニティのあり方に関する研究会」を設置。研究を進めてきました。

 本会では、そうした研究の中で見えてきた「地域の組織やコミュニティの『再構築』の必要性」をテーマに、活発な議論が行われた。

交流会の様子
実践事例を持ち寄り、地域コミュニティの今後を考える場となった。

基調講演「自治会加入率低位安定時代のコミュニティ政策の再構築」

 プログラムは、研究会座長も務める名和田是彦さん(法政大学教授、コミュニティ政策学会長)の基調講演からスタート。「自治会加入率低位安定時代のコミュニティ政策の再構築」と題し、今後のコミュニティ政策のあり方を提案した。

 まず、過去30年間にほとんどの地域で自治会加入率が低下し続けている要因として、

■世帯規模の縮小(核家族化、単身世帯の増加)
■担い手不足(リタイア後の高齢者層や専業主婦層の減少)
■自動加入文化の衰退

の3点に言及。

「今後は政策的な手を打っていくことで、自動加入文化を保持する人たちを核に、加入率は低位安定していくのではないか」と考察した。

 そのうえで、今後は自治会の負担軽減と、住民のニーズに合った活動(防災や地域福祉など)へのシフト、さらには、自治会以外の地域の諸団体や個人の力を連携させた、新たな組織づくりが求められているとした。講演の結びには、「コミュニティ政策をしっかりと見直し、“地域を住みよくするために行動する人たちのプラットフォーム”として自治会を再生することで、地域を自らの手でよくしていく文化を発展させることが大切だ」と熱を込めた。

各自治体の事例を紹介

 次に、パネルディスカッションの登壇者3人から、各自治体の地域コミュニティの現状が紹介された。

高松市の地域コミュニティ協議会

 はじめに、高松市協働コミュニティ推進課の上野勝義さんが登壇。市の地域コミュニティ協議会について説明した。市の協議会は、「協働のパートナー」として市自治基本条例にも位置づけられている点が大きな特徴。主にはまちづくり活動(文化活動や地域福祉、災害対応など)と、コミュニティセンターの管理・運営を行っており、まちづくり活動に際しては根拠となるコミュニティプラン(まちづくり計画)も作成する。市では、各課から地域団体への15の補助金を「地域まちづくり交付金」として一本化しているが、その配分はコミュニティプランにもとづく協議会の裁量で決まるという。

 また、協議会と市の間には(一社)高松市コミュニティ連合会が設置されている。上野さんは「市のコミュニティ制度にとって、この中間支援組織の存在は大きい。異動の多い行政職員にとって、協議会との人脈や信頼関係をつなぐ重要な役割を担っている」と実感を交えて話した。

登壇の様子

丸亀市の「コミュニティ協議会会長プロジェクト」

 続いて、香川県丸亀市地域づくり課の吉田比夫美さんが、市のコミュニティの変遷を紹介。現在の取り組みの1つとしては、「コミュニティ協議会会長プロジェクト」などを取り上げた。同プロジェクトは、各コミュニティが抱える課題を協議会連合会が取りまとめ、市に提言書としてフィードバックするもので、これまでに「まるがめ健康づくりポイントラリー」の導入や地域包括ケアシステムの構築に関する提案が行われている。このように市は、コミュニティ協議会を通じて地域課題を明らかにしながら、市民サービスの向上を図っているという。

兵庫県内の自治組織に関わる中で感じた「ポイント」

 最後に、柏木登起さん((一社)シミンズシーズ総合研究所代表理事、(一財)明石コミュニティ創造協会常務理事兼事務局長)が、支援する側の視点から、主に兵庫県内の自治組織に関わる中で感じた「ポイント」を解説。世帯代表頼りの地域活動に限界がきている現在では、関係人口や、「できることがあれば参加したい」という潜在的(だが実は多く存在している)関心層など、地域内外の多様な人材をいかに引き入れていくかが重要だと強調した。加えて、「地域の自治組織となれば、課題解決の活動ばかりが注目されがち。だが、そういった活動が生まれるのは対話の文化という根っこがあってこそ。そうした根っこを育んでいくことを重視している」と、支援時のこだわりについても触れた。

今後のあり方について意見交換

 続いて、「地域コミュニティの今後のあり方について」というテーマでパネルディスカッションを実施。前述の3人をパネリストに、コーディネーターは名和田教授が務めた。

 「まちづくり計画」について議論が及ぶと、上野さんは「高松市では計画によって交付金の配分が決まる。言い換えれば、計画があることによって民主的な支出が可能になっている」と、“交付金の正当性”という側面に言及。また吉田さんは、「コミュニティごとにまちづくり計画の冊子を作成しており、この一冊が課題に取り組む際の重要な指針となる。作成過程に専門性を取り入れられると、コミュニティの課題解決力の推進にもつながる」と、作成後だけでなく、作成過程で生まれる効果についても強調した。

 中間支援組織がトピックとして挙がると、柏木さんは「中間支援組織という方法一択ではないのではないか」と新たな切り口を提示。例として、社会福祉協議会や行政の地域担当職員など、既存の人材による連携で地域を伴走支援する仕組みなどを紹介した。また、「まちづくり協議会に一斉に方針を投げかけるような場面では、やはり行政からの発信が重要になる。中間支援組織だからできること・できないことを踏まえながら、上手く協働していくことが大切」と言い添えた。

 最後に、会場参加者からの質疑応答などを行い、会は終了した。今後のコミュニティ政策のあり方を考える場となった。

(本誌/森田愛望)

 

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