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【首長連合サミット】“地域に飛び出す公務員”をどう育てていくか/イベントレポート

地方自治

2026.03.26

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【ガバナンス・トピックス】
地域に飛び出す公務員をどう育てていくかを議論
──第14回地域に飛び出す公務員を応援する首長連合サミットin栃木市

公務員が自分の時間を活用して、一地域住民として、職場や家庭における役割に加え、社会貢献活動や地域づくり活動などの活動に参画する“地域に飛び出す公務員”を応援する首長らによる「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合サミット」が1月17日に栃木市で開催された。地域に飛び出す公務員をどう育てていくかなどについて、参加した首長らが意見交換をした。

悩みを共有し、新たな視点に出会う

 「地域に飛び出す公務員を応援する首長連合」(共同代表=三日月大造・滋賀県知事、都竹(つづく)淳也・岐阜県飛騨市長)は、「公務員が自分の時間を活用して、一国民、一地域住民として、職場や家庭における役割に加え、プラスワンとして、社会貢献活動、地域づくり活動、自治会、PTA、消防団、NPO法人などの活動に参画することは、国民、地域住民と思いを共有し、ひいては現場の国民目線、住民目線で行政を推進することにつながる。(中略)ここに我々は意を同じくする仲間として、地域に飛び出す公務員の活動を応援していく」(同連合設立趣旨より抜粋)として、2011年3月に自治体首長有志によって設立。2026年1月13日時点で55人の首長が参加している。

 連合参加首長が一堂に会して議論、交流する場の「サミット」は、2012年1月に第1回を松山市で開催してから、これまで13回開催されてきました。14回目を数える今回は栃木市役所を会場に開催されました。

 まず、三日月共同代表が挨拶し、「自治体の現場には様々なことがある。首長連合サミットで、悩んでいることを共有し合い、視点を変えること、異なる考え方に触れることの大切さを学び、仲間を増やす場としてほしい」と会場に呼びかけた。

 同首長連合の提唱者の椎川忍・(一財)地域活性化センター特別顧問は、「第1回目のサミットを松山市で開催してから、これほど長く続くとは思ってもみなかった。活動が限定的になってしまっている地域に飛び出す公務員ネットワークも再活性化し、首長連合とともに飛躍してもらえたら」と述べた。

 続いて、大川秀子・栃木市長が登壇し、同市について紹介した。2023年に岐阜市で開催した首長サミットでの、公務員の兼業化のルールについての議論を受け、同市でもガイドラインを作成した事例を紹介。「サミットに参加することで気づいたことを少しずつはじめている」と話した。

越境する学びとつながり

 今回のサミットは、地域でスキルアップした意欲ある職員が活躍の場を求めて外に流出してしまう昨今の状況を踏まえ、「地域に飛び出す公務員をいかに育成するのか」「公務員が安心して挑戦することができ、その経験を組織に持ち帰ることができる職場環境をどう整えていくのか」について、人材の流動化への対応を考えることをサミットテーマとして設定し、行われた。

全ての『つながり』を大切に全ての『違和感』を大切に―― JIAMが提供する『職員派遣受入制度』についての考察

 首長会議に先立ち、話題提供として3人の自治体職員らが登壇した。まず、滋賀県職員で全国市町村国際文化研修所(JIAM)に出向中の津田誠司さんが「全ての『つながり』を大切に全ての『違和感』を大切に──JIAMが提供する『職員派遣受入制度』についての考察」と題し、発表した。津田さんは、県庁以外の組織での勤務経験が「地層のように積み上がり財産になっている」と話し、ホームとアウェイを往還することによる「越境学習」について発表した。「その往復によって生まれる『違和感』と『葛藤』が学習効果をもたらす」と話した。そして、JIAMの職員派遣受入制度が越境学習の環境を提供していることを紹介した。

地域活性化研究会STONYの活動について

 続いて、茨城県結城市職員の飯島敏雄さんが地域活性化研究会STONYの活動について紹介した。茨城県と栃木県の県境を越えた広域自主権活動で、名称は、S:下野市(栃木県)T:栃木市 O:小山市 (栃木県)N:野木町 (栃木県)Y:結城市の頭文字から取ったもの。現在は古河市(茨城県)も加わっている。

 協働や地域活性化を学ぶ県境を越えた横断的な勉強会の設立経緯や取組み、そこでの成果を振り返った。飯島さんは講師からの学びや人とのつながりによって「“覚醒を促す”場だ」と話し、「自分を活かし楽しめる役割があるはず。面倒だと思っても、行ってみると何かがある。その何かに気づくことは“気づいた人の特権”と思ってやってみるといいのでは」と会場に投げかけた。

「草加市子ども会育成者連絡協議会(草子連)」の活動について

 最後に、埼玉県草加市職員の安高昌輝さんが登壇した。安高さんは、これまで在籍した市民税課、産業振興課、広報課のそれぞれで実績を残し、2024年に「地方公務員アワード」を受賞。その後に異動した現在の住宅政策課では、新規事業「わがままハウスプロジェクト」を立ち上げ、プレスリリースアワード「ソーシャル賞」を受賞している。

 安高さんは、自身の原点「草加市子ども会育成者連絡協議会(草子連)」の活動について紹介。同市出身の安高さんは、18歳の時、運営する大人の不足によって子ども会のない地域が出てきたことに危機感を抱き、中学~大学生とともに全国初の「草加市子ども会」を設立した。

 安高さんはこの経験をとおして、「市民の顔や子どもたちの顔が思い浮かぶことでまちを自分事にできる」と話し、「市民の皆さんは“人生の時間”を削って地域に関わっている。それを自治体職員として忘れてはいけない」と思いを語った。

サミットの様子
話題提供では3人が、自らの経験からの学びを紹介した。

一人多役の地域づくり

首長会議

 後半はメインプログラム・首長会議が実施され、13首長が出席した。出席者は以下のとおり。

■山本進・北海道東神楽町長
■山本幸靖・山形県上山市長
■白岩孝夫・山形県南陽市長
■菅野大志・山形県西川町長
■大川秀子・栃木市長
■浅野正富・小山市長
■柴﨑德一郎・群馬県吉岡町長
■金塚学・千葉県酒々井町長
■酒井直人・東京都中野区長
■都竹淳也・飛騨市長(司会)
■三日月大造・滋賀県知事
■藤岡勇・兵庫県朝来市長
■栗尾典子・岡山県笠岡市長

※前半参加していた清野和彦・埼玉県秩父市長は首長会議は欠席。

 議題は、
①人材流動化の時代における地域に飛び出す公務員の育成手法
②人口減少の中で応援が必要な地域活動
──の2つについて議論した。

 冒頭、司会の都竹市長が「公務員でも定年まで在職しない人が多くなっている。これまでの人材育成のあり方自体が変わる。また、新卒で入り公務員の世界しか知らない職員だけでなく、社会人採用などで公務員以外での経験を積んだ職員が多くなっている。大きな変革の中で公務員の活動のあり方を見直す時期であり、地域に飛び出す質が問われる」と会議の方向性を示した。

 それに続き、首長らは、自らの自治体の取組みや取り巻く課題について共有。唯一の都道府県知事として出席した三日月知事は、「都道府県は基礎自治体をもっとバックアップをできるようにしないといけない。困り事が起点だ。市町村の職員は情報を持っている。対話をしっかりしていかなければならない」と話した。最後に都竹市長が「一人多役が動機となる。多面的な動機付けがあることで、“それでいいんだ”と思い、雰囲気が生まれて地域に飛び出す公務員が育っていくのではないか。これからは一人多役の地域づくりが必要だろう」と全体の議論をまとめた。

首長会議の様子
首長会議は、それぞれの自治体の持つ特徴や課題を知る 場となった。

 翌日は、希望者による栃木市内のエクスカーションを実施。参加者らは栃木での学びを各地に持ち帰った。次回、第15回の首長サミットは佐賀県嬉野市で開催される予定だ。

(本誌/浦谷 收)

 

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