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【第30回清渓セミナー】住民主体の地方自治のこれからを考える/イベントレポート

地方自治

2026.01.19

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【ガバナンス・トピックス】
住民主体の地方自治のこれからを考える
──第30回清渓セミナー

地方議員による地方議員のための「第30回清渓セミナー」(清渓セミナー実行委員会/主催、(一財)日本青年館/共催)が、2025年10月22~23日の2日間、都内で開催された。全国各地から地方議員らが集い、人口減少社会、教育、防災などのテーマについて、第一線で活躍する講師陣の講義を受講し、「住民主体の地方自治を進めるため」の学びを深めた。

住民主体の地方自治を進めるために

 本セミナーは、1997年に青年団出身の地方議員たちによってスタート。「住民主体の地方自治を実現するため」に、地方議員ら有志による実行委員会を組織し、各分野の第一線で活躍する講師を招き、議会や行政の改革、そして日本社会の抱える諸課題について学んできました。全国各地から地方議員らが集い、交流や意見交換の場にもなっています。(一財)日本青年館が事務局を担い、会場や宿泊先を全面的に支援しています。

 30回を数えた今回は、全国からオンラインを含めて約120人が集い、学びの2日間となった。

セミナーの様子
全国から約120人の地方議員が参加。議員同士の交流の場も設けられた。

講義Ⅰ~Ⅲ

 初日は、以下の講義が行われた。

■講義Ⅰ「現場から見た介護保険制度」
/小島美里氏(NPO法人暮らしネット・えん代表理事)

■講義Ⅱ「社会の変化とこれからの学校教育~主体性と当事者性~」
/工藤勇一氏(教育アドバイザー)

■講義Ⅲ「子育て支援策の一歩先へ~まち全体での子育て~」
/奥正親氏(岡山県奈義町長)

講義Ⅳ「人口減少社会を生き抜くために」

 2日目は、講義Ⅳ「人口減少社会を生き抜くために」と題し、増田寛也氏(㈱野村総合研究所顧問)が登壇した。

 増田氏は、地方創生は

①人口減少対策(少子化対策)
②地域経済の活性化策
③東京一極集中の是正
④国民の意識啓発

の4つの柱が必要であるとし、そのための具体的な施策の方向性について紹介した。

 さらに、特に急ぐべきこととして、

■若者や女性に選ばれる地域を創る(地域の閉塞感の解消や人間関係における多様性の確保などのアンコンシャス・バイアス等の意識改革、非正規の正規化などの働き方改革、男女・地域間の格差是正などによる賃金格差の是正) ■地域の経済社会構造の再構築(公共交通、病院等の地域生活サービスの強靭化、広域圏・地域生活圏・集落生活圏の三層の「圏域構造」の連携) ■東京一極集中の是正(企業や大学の地方配置、政府機関等の地方移転、税源の偏在是正)
──を強調した。

 増田氏は、「これまでの地方政策は、タテ割り、一律、“バラマキ”、表面的、短期的だった。これからは、広域リージョン連携を進め、AIなどの新技術も積極的に活用していく時代だろう。若者や女性に選ばれる地域を創っていかなければならない」と会場に呼びかけた。

講義Ⅴ「自治体の防災マネジメントと議会・議員の役割」

 講義Ⅴは、鍵屋一氏(跡見学園女子大学教授)「自治体の防災マネジメントと議会・議員の役割」として講義を行った。内閣府被災者支援のあり方検討会の座長も務める鍵屋氏は、能登半島地震をはじめ、各地での災害対応事例や新たな避難訓練の取り組みなどを紹介した。

 災害時の議会・議員の使命として、「住民の命と尊厳を守るために当局と協働することが重要である」と話し、その考え方として、議員は

■応急対策時は地域支援をすること ■復興時はまちの未来形成(議会審議)をすること ■執行機関任せにしないこと
──と挙げ、そのためには「平時から議会・議員としての政策形成能力の向上が不可欠である」と訴えた。そして、危機時は危機管理担当だけでなく全庁的に対応する必要があるとし、行政職員の危機管理力を高めるための質疑や提案を、平時から防災以外の常任委員会でもしていくよう提案した。

記念対話も実施

講義Ⅵ「被爆戦後80年核兵器のない世界へ日本が果たす役割とは」

 最後の講義Ⅵは「被爆戦後80年核兵器のない世界へ日本が果たす役割とは」として、松井一實・広島市長/全国市長会会長が講師を務めた。

 松井市長は、同市の平和への取組みについて紹介。平和行政に取り組む法的根拠にもなっている広島平和記念都市建設法について「この法律を基に、先人たちのたゆまぬ努力と国内外からの温かい支援により、廃墟から復興を遂げ、核廃絶と世界恒久平和の実現を目指す活動を続けている」と述べた。そして具体的な取組みについても言及。

■守り(被爆の実相を守る) ■広め(被爆の実相を世界中に広める) ■伝える(被爆の実相を次世代に伝える)
──の「被爆の実相」に主眼を置いた活動を展開しているとし、平和首長会議、平和学習の推進やAI・VRを活用した被爆体験の伝承などの具体的事例について紹介した。

 松井市長は、「広島にぜひ来ていただき、直接被爆の実相に触れた上で核兵器廃絶とその先にある世界恒久平和の実現に向けて共に行動してほしい」と訴えかけた。

講演の様子
松井一實・広島市長は、真の世界平和の実現を祈念する「ヒロシマの心」について講演した。

 当初は、2024年にノーベル平和賞を受賞した、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員の箕牧智之(としゆき)氏と松井市長による記念対話の予定だったが、箕牧氏が現在体調不良のため、プログラム変更。同氏提供の、日本被団協のノーベル平和賞受賞までを追ったドキュメンタリー『屍を越えて オスロの灯~被爆者が紡いだ思い 広島~』を上映した。参加者らには、日本被団協の活動の歩みや想いを学ぶ時間となった。

 その後、実行委員らが聞き手となり、松井市長と対話を行った。広島市の平和行政の取組みについて深掘りしながら、会場からの質疑にも答えた。戦後80年を迎え、地方政治、地方自治に関わる地方議員らがそれぞれのまちで平和文化をどう広げていくのかヒントを探った。松井市長は、「平和というのは究極の目的だ。工夫しながら、平和行政のさまざまな取組みを進めていけたら」と語り、2日間にわたるセミナーを締めくくった。

(本誌/浦谷 收)

 

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