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【全国地方議会サミット2025】地方議会が進むべき方向性を議論/イベントレポート

地方自治

2026.02.27

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【ガバナンス・トピックス】
地方議会がこれから進むべき方向性を議論る
──第全国地方議会サミット2025

「全国地方議会サミット2025」(ローカル・マニフェスト(LM)推進連盟/主催、全国市議会議長会、全国町村議会議長会/後援)が、2025年11月8日~9日の2日間、法政大学(東京・千代田)で開催された。2日目の最後には、北川正恭・早稲田大学名誉教授による「LM最終講義」も行われた。

2日間、地方議会のイマを議論

 同サミットは、自治の根幹である地方議会の先進事例や現状課題を共有し、全国の地方議会関係者が集い、生きた学びの交流を行う場として1年に1度開催されてきました。

 主催するLM推進連盟は、全国の地方議員有志らによって構成され、2025年4月1日に新体制として再スタート。今回が、新体制になって初めての開催となりました。

 今回のサミットは、近年の議会動向を象徴する「SNS・AI・DX」「主権者教育」「議会改革」のトピックスを中心に、これから地方議会が進むべき方向性を議論した。

サミット会場の様子
会場は、法政大学・薩埵(さった)ホールで行われた。

SNSと地方議会

 初日の 【SNSと地方議会】のセッションでは、「『民意』はどうできていくのか?SNSの影響と地方議会の方向性」をテーマに、廣瀬克哉・法政大学法学部教授、大森翔子・法政大学社会学部准教授、米重克洋・㈱JX通信社代表取締役がそれぞれ登壇し、SNSをめぐる政治の状況を講演。その中で、廣瀬教授は「地方議員と有権者は丁寧なコミュニケーションを続けることがカギになる。SNSの炎上に感情的に反応しない『治安の良い“界隈”』を構築することが重要」と流行語を引用し、力説した。

AIと地方議会

 続く【AIと地方議会】のセッションでは、「活性化?不要?AIで議会・議員はどう変わる?世界と日本の今と未来」をテーマに、高選圭・福島学院大学教授、河村和徳・拓殖大学政経学部教授らが講演した。また、山内健輔・早稲田大学デモクラシー創造研究所招聘研究員が最新の議会改革の調査結果を報告した。

地方議会の多様な政策づくりの実践を学ぶ

 2日目は、「地方議会の政策づくり」をテーマに、今後の方向性を先進事例を学びながら議論した。

実践編①~子ども・若者との政策づくり~

 最初のセッション【実践編①~子ども・若者との政策づくり~】には、田口裕斗・NPO法人DAKKO(だっこ)理事、埼玉県富士見市議会、島根県浜田市議会が登壇した(コーディネーターは、林紀行・日本大学法学部教授、早稲田大学デモクラシー創造研究所招聘研究員)。

議員との対話で民主主義の担い手を育てる

 田口さんは、「議員との対話で民主主義の担い手を育てる」と題し、主権者教育事業などを展開する同法人の取組みについて紹介。仙台市「Voters Cafe」、島根県美郷町「まちの議員さんになろう」などの実践を披露した。田口さんは、「世代や背景を超えた『対話』によるコミュニケーションが、それぞれの『想い』を共有し、届けることができる」と力を込めた。

富士高生の主張in富士見市議会

 富士見市議会は、勝山祥議長が登壇。「富士高生の主張in富士見市議会」と題し、市内の県立富士見高校の生徒と協働した、議場での主張発表会について紹介した。

 同市議会では広報広聴委員会が主体となり、主権者教育を兼ねた出前講座を実施。生徒有志で市政についてテーマ研究し、グループごとに議場での発表を行っている。2024年度は2年生35人が発表。1~2年生全生徒が傍聴し、全議員が参加のもと実施した。勝山議長は「①主権者教育としての効果②学年を超えて効果が波及・増幅される(先輩の姿が後輩に影響(正のフィードバック))効果──がある」と事業の強みを強調した。

主権者教育につながるこどもの意見の施策反映

 浜田市議会は、「主権者教育につながるこどもの意見の施策反映」と題し、笹田卓副議長が発表した。同市議会では、主権者意識醸成のための取組みとして、
■はまだ市民一日議会
■小中学生の議場見学
■島根県立大学との連携
■高校生との意見交換会
──を実施している。
笹田副議長は、「はまだ市民一日議会」に参加した小学生の発言が施策に反映された事例などを紹介した。

実践編②~議会による政策づくり~

 続くセッションでは、【実践編②~議会による政策づくり~】として、岩手県一関市議会、神奈川県横須賀市議会、鹿児島県知名町議会が、各議会の取組みを発表した(コーディネーターは、江藤俊昭・大正大学地域創生学部教授)。

政策提言等の実施に関する指針(ガイドライン)

 一関市議会は、勝浦伸行議長が登壇し、「政策提言等の実施に関する指針」(ガイドライン)の策定について発表し、その実践を進展させる取組みについて紹介した。

未来への羅針盤2027

 横須賀市議会は、髙橋英昭・政策検討会議委員長が、政策形成サイクルの実践と実行計画「未来への羅針盤2027」について紹介した。政策形成サイクルについて、髙橋委員長は「市長への提出で終わらせず、PDCAサイクルを回し、検証・改善をしている」と説明。また、「羅針盤」では、政策提言後の進捗管理や、課題、議会改革の状況を見える化していることを説明した。

町民起点の政策提言

 知名町議会は、「町民起点の政策提言」について外山利章議長が登壇した。同町議会では、
①町民起点の政策提言
②議会の自律的改革(運営の在り方の見直し)
を進めている。

 町民参加型の「20年後の未来」を考えるワークショップを実施し、町民の関心のある課題を分析。議員らが政策課題を決定し、議員間討議を経て政策をまとめ、同町議会として初めての政策提言提出までのプロセスなどを紹介した。外山議長は、「新しい議会価値を創造し自らが変革することで、町民福祉の向上を実現する議会となりたい」と話した。

北川正恭氏の「最終講義」も実施

 長年「マニフェスト」を提唱し、1995年から2期務めた三重県知事時代には「改革派知事」と呼ばれた、北川正恭・早稲田大学名誉教授の「最終講義」も行われた。

議会改革と北川正恭。足跡を再検証する

 講義に先立ち、江藤教授、廣瀬教授、前田隆夫・西日本新聞論説委員らによる「議会改革と北川正恭。足跡を再検証する」と題した、パネルディスカッションが行われた(コーディネーターは、千葉茂明・(公財)日本生産性本部上席研究員)。

 長年、同氏が地方分権改革やマニフェスト運動を先導したことについて、廣瀬教授は、「(20年以上の運動によって)『マニフェスト』が定着したのでは」と述べ、前田氏は、「強いメッセージを発信し、優れた社会運動のリーダーであった」と語った。江藤教授は、三重県知事時代の話題に遡り、「議会と首長が政策競争をする萌芽がそこにあった」と、今日に至る全国各地での議会改革への影響を述べた。

北川正恭氏の「最終講義」

 最後に北川名誉教授が登壇し、多くの議会関係者の前で「最終講義」を行った。長年ライフワークとしてきた地方分権改革、マニフェスト運動を振り返り、分権改革については、「国と地方の関係は、対等・協力。それを深く認識してほしい」と力説。2006年に始まった「マニフェスト大賞」が「今では、日本最大の政策コンテストにまで成長した」と語った。「チーム議会として執行部に対抗し、民意を反映してほしい」と述べ、最後は「真の草の根民主主義の実現に向けて、新しい価値を創造し、地方から日本を動かしてほしい」と“北川節”で締めくくった。

 北川名誉教授は、毎年、同サミットでも講演し、多くの議会関係者にメッセージを発してきた。2年ほど前に活動の第一線から退くことを表明していた。会場には、北川名誉教授の“薫陶”を受けた全国各地の首長や議員らも多く駆けつけ、惜しみない拍手が送られた。

最終講義の様子
北川正恭氏の「最終講義」には、多くの関係者が参加。メッセージも寄せられた。

(本誌/浦谷 收)

 

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