
ガバナンスTOPICS【イベントレポート】
「未来を選択する会議」が発足/イベントレポート
地方自治
2025.12.19
出典書籍:『月刊ガバナンス』2025年12月号
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【ガバナンス・トピックス】
対話を重視し、選択し得る未来を創るために
──「未来を選択する会議」が発足
民間主導で人口減少問題に取り組む「未来を選択する会議」が10月27日に発足した。同日には発足を記念し、シンポジウムも開催した。同会議には、経済界、労働界、地方自治体、学識者、若者世代など多様なステークホルダーが参画。今後は、調査研究、政策提言等の取り組みを通じて国民運動としての気運醸成に取り組んでいく予定だ。
多様なステークホルダーによる「共創」の必要性を強調

新たに発足した「未来を選択する会議」。各界から100人が参画した(写真は、小林喜光・(公財)日本生産性本部会長)。
同会議は、本格的な人口減少時代に突入する日本において、多様性と成長力を兼ね備えた持続可能で活力ある社会の構築を目指すもの。「人口減少時代の生き方、くらし方、働き方を考える」をテーマに、社会全体の構造や意識の改革に向け、すべての人が主体的に関わる社会の気運醸成を目指し、幅広いステークホルダーが参画する民間主導の取り組みだ。8月に活動を終了した「人口戦略会議」の実質的な後継組織として設立された。
発足会では、同会議の事務局を務める(公財)日本生産性本部の小林喜光会長(東京電力ホールディングス取締役会長)が、「今、地域社会の持続可能性そのものが問われ、経済社会の活力が失われている。まさに私たち一人ひとりの未来を選択する覚悟が問われている時代だ。少子化の背景には、生き方、くらし方、そして価値観の多様化がある。今こそ地域、世代、立場を超えて、国民各界各層が未来のあり方をともに考え、ともに創るのが必要だ。『未来を選択する会議』が、こうした対話とともに創る共創の出発点となることを心から期待するとともに、国民運動として全国に広く活動を展開していきたい」と抱負を述べた。
メンバーは、経済界、労働界、地方自治体、関係団体、有識者、若者世代など幅広いステークホルダー100人で構成される。また、若者・女性の意見を踏まえた意見をより反映するために「未来に向けた対話チーム」も設置した。

若者・女性のメンバーによる「未来のための対話チーム」の設置も同会議の特徴。
対話をインフラに
発足会に続いて行われた記者会見には、三村明夫・日本製鉄(株)名誉会長、小林味愛・(株)陽と人(ひとびと)代表取締役、増田寛也・(株)野村総合研究所顧問、芳野友子・日本労働組合総連合会(連合)会長、平井伸治・鳥取県知事、秋池玲子・ボストン・コンサルティング・グループ日本共同代表ら6人の共同代表のほか、「未来に向けた対話チーム」メンバーの越智未空・特定非営利活動法人manma代表理事、山本蓮・地方女子プロジェクト代表、池本修悟・若者支援全国ネットワーク協議会呼びかけ人も出席した。
三村共同代表(議長)は、「人口減少対策は日本の最重要課題であると同時に、最も解決の難しい課題。粘り強く取り組むことが必要だ。未来は変え得るものであり、選択し得る望ましい未来の構築を目指すとの決意を込めて、この会議の名称を『未来を選択する会議』とした。どんな未来を創るのかは、今を生きる我々の責任であり、そのために必要な政策の提言、若者・女性との対話、社会の気運醸成に取り組むためのメンバーで構成した」と会議発足の意気込みを語った。
小林共同代表は福島県国見町で農業とフェムテックの事業を展開している。「未来に向けた対話チーム」のメンバーとして「私の役割は、現場のリアルな声、本音をしっかりと会議に届け、政策提言につなげていくこと。対話チームは、全国であたたかい対話がしっかりと生まれていく、本音が聞き出せる対話の場が生まれていくような活動をしていきたい。対話を“インフラ”にできれば」と決意を述べた。
増田共同代表が同会議の概要を説明し、「未来を選択する」「人口減少時代の生き方、くらし方、働き方を考える」「社会の気運醸成に取り組む」の三本柱で活動していくとした。
具体的な活動として、本年度は地方シンポジウムを山梨、長崎、高知で開催予定。また日本以上の少子化問題に直面している韓国との対話交流を検討しているという。調査研究としては、国民の意識などを把握するための調査を定期的に実施。さまざまな専門家が参加する『人口問題白書(仮称)』も作成する予定をしている。増田共同代表は「国内で人口について白書が作られたのは、1959年と1974年の2回のみ。その内容も人口の爆発的な増加をどう抑えるかというトーンの内容だった。約50年間、人口問題について白書が作られてこなかったことになる。毎年作成し、定点観測していきたい」と述べた。
会見では、出席した対話チームのメンバーもコメント。
地方からの女性の流出という問題について、20代30代の女性に、なぜ地元を離れたか、戻ってこないかという意見をインタビューして発信する活動をしている山本さんは、「人口が減少している中では、どう人口を増やしていくか、結婚の数を増やしていくかという議論になりがちだ。そして、この議論は若者や女性の選択に責任が押し付けられがちと感じる。今は減少しているから、どう増やしていくかという議論になっているが、どうしたら個人が自分らしい選択肢を選べるのかという議論になっていくと良いと思う。人口減少問題の解決が、『増加』という結論ではなくて、どうバランスを取っていくかという前提のもとに立ってほしい」と述べた。
子ども家庭庁のワーキンググループのメンバーだった越智さんは、「さまざまな声を政策に反映してくことも大切だ。その一方で、若い世代自身が人口減少問題に関心を持ち、実は色んな政策が既に打ち出されているということも知っていく、認知を広げていくということも大事だろう」と自分事にできるような活動を展開したいと意気込んだ。
記念シンポジウムも開催
発足会に引き続き、発足記念シンポジウムも行われた。

発足記念シンポジウムも行われた。会場には約300人、オンライン配信は約400人が参加した。
第一部は若者世代からのメッセージとして、「未来に向けて、いま私たちにできること」というテーマで、「 未来に向けた対話チーム」のメンバー5人が登壇し、それぞれの実体験やこれまでの活動を通して感じてきた声を紹介した。後半には、会場参加者同士での対話の時間も設けられ、「対話チーム」も交わり、早速実践が行われた。
第二部は「人口減少時代の生き方、くらし方、働き方を考える」と題しパネル・ディスカッションが行われた。阿部守一・長野県知事/全国知事会会長、翁百合・(株)日本総合研究所シニアフェロー、宮本太郎・中央大学法学部教授、白山友美子・マルハニチロユニオン中央執行委員長らが登壇(コーディネーターは増田共同代表)。地方自治体、経済界、学識者、労働界のそれぞれの立場から人口減少問題に対する取り組みについて意見を表明した。
最後に平井共同代表が「私たちの未来は、自分たちで探しに行くもの。そして、選んで豊かな未来を創っていかなければならない。一緒に船出しよう」と呼びかけ、シンポジウムを締めくくった。
(本誌/浦谷 收)
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