【特集:DX化で進める適正な固定資産税評価・課税業務】登記異動処理業務の大幅な省力化を実現! 〜「登記課税連携システム エキスパート」〜 (月刊 税 2026年9月号)

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2026.09.02

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月刊 税 2025年9月号

月刊 税 2026年9月号
別冊付録:令和8年度版 要説住民税
編著者名:ぎょうせい/編
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特集:DX化で進める適正な固定資産税評価・課税業務

登記異動処理業務の大幅な省力化を実現!
〜「登記課税連携システム エキスパート」〜


株式会社ダイショウ

 株式会社ダイショウは固定資産税における事務改善と課税業務の適正化に44年間従事してきた。それらのノウハウをもとに、登記済通知書の電子データを活用して登記異動処理業務の約8割の省力化を実現可能にする「登記課税連携システム(エキスパート)」を開発し、全国の地方自治体286団体に納入している(令和7年6月末時点)。

異動処理における入力業務の省力化

 固定資産税業務における異動処理は通常、法務局に紙媒体の登記済通知書を受け取りに行くことから始まる。それを担当地区・担当者に割り振り、各々が税務システムへの入力を行い、紙の情報を電算端末に転記するため、入力誤りを防ぐ目的で二重三重のチェック体制を敷いているのが一般的。ダイショウの「エキスパート」は、登記済通知書の電子データの解析を行うことで、この入力作業の大幅な省力化を実現する。

登記情報のリアルタイムの取得が可能

 登記済通知書は、異動に携わった義務者と権利者のみが表示されるという特徴がある。そのため、登記済通知書だけでは固定資産税業務において重要な賦課期日の物件の登記所有者の特定ができない。「エキスパート」では、登記事項要約書電子データ(全件データ)と登記済通知書電子データ(異動データ)の両方から登記情報を集積するため、システム構築以降であれば、任意の物件の任意の時点の登記情報を取得することが可能だ。異動前、異動後それぞれの共有構成員についても確認可能となる。

宛名コードの自動取得が可能

 固定資産税業務では、賦課期日時点における登記上の所有者主に対して納税通知書を送付する。「エキスパート」では住民基本台帳から「宛名」情報を取得し、登記上の所有者情報と突合することで宛名コードを自動で取得することが可能となる。前述の登記情報管理機能と合わせて、固定資産税業務を大幅に省力化する。

各種法改正にも対応

 「エキスパート」は法務局の各種法改正にも対応している。直近では令和8年4月1日より各市町村への通知が開始された「検索用情報」や「公示用住所」、「相続人申告」において全ての情報をシステム内で管理・閲覧が可能だ。

家屋評価システムとも連携可能

 「エキスパート」は、家屋評価システム(HOUSAS・HYOCA-Z)とも連携しており、各システムで「登記情報」として手入力している情報を受け渡し、家屋評価システム上で「登記情報」の入力された新規物件を自動作成することができる。

【事例紹介①】「エキスパート」を軸に、登記管理から課税事務までワンストップ化に成功

愛知県蟹江町

愛知県蟹江町

面積11.09㎢、人口約3万7,000人。愛知県西南部に位置し、名古屋市に隣接する。町内を6本の河川が流れる「水郷のまち」で、近鉄名古屋駅から急行で最短約8分と抜群の交通利便性を誇り、ベッドタウンとして人気を集めている。県内で唯一「日本名湯百選」に選ばれた尾張温泉や、ユネスコ無形文化遺産の「須成祭」など、豊かな自然と歴史・文化の魅力を兼ね備えている。

紙の台帳管理はもはや限界、早急な電子化が課題

 愛知県蟹江町の総務部税務課は総勢24名で、固定資産税に係る職員は5名。この日はそのうち4名に同席いただき、エキスパート導入の経緯や従前の課題をどのように解決したかなどについてお話を伺った。

 まず、導入以前に抱えていた課題について、課長補佐の黒川浩輝さんが話す。

 「1つは書類の処理にかかるコストです。法務局から紙でもらい受けた登記異動済通知書を、紙の台帳に手書きで写すというアナログな作業だったため、非常に時間がかかります。しかも、課税システムにも同じ情報を入力しなければならず、二度手間でした。

 2つめは、紙の台帳が永年保存でどんどん増えていくことです。紙はかさばるだけでなく、経年劣化や災害で失われるリスクがあり、電子化が急務でした」。

 蟹江町は名古屋市の隣にあるベッドタウンで住民の転入転出が多いこともあり、登記異動は年間約4000件にのぼる。複雑な物件の処理になると1件で10分20分とかかることも珍しくない。それに、どれだけ注意しても手作業によるミスや漏れが生じてしまい、そのリカバリーにもコストがかかった。

 紙台帳の管理についても、古いものでは明治時代のものもあり、開くだけで破れてしまうほどで保存は限界にきていた。

愛知県蟹江町税務課の黒川浩輝課長補佐
愛知県蟹江町税務課の黒川浩輝課長補佐

登記の自動更新から課税事務まで一気通貫!

 株式会社ダイショウに台帳の電子化について相談したところ、「エキスパートは法務局の登記情報の解析ソフトであるため、町が保有する土地台帳・家屋台帳を全て電子化し、エキスパートと結合することで、これまでの紙の土地台帳・家屋台帳とこれからの異動更新がワンストップで閲覧できる上、登記済通知書の電子データにより土地台帳・家屋台帳を自動更新する仕組みが構築できる。さらに、この仕組みを課税台帳とも連携することで、課税システムとの連携も可能」との回答を得た。そこで、町はエキスパートの導入を目指し、2022年(令和4年)度の予算獲得に動く。しかし、決裁が下りず、翌年に再び予算案を提出して、ようやく認められた。

 「私の前任の課長が業務システム化に熱心で、費用対効果や台帳電子化の必要性などをしっかりと説明したことで予算が獲得できたと聞きました」と現課長の服部幸太さんが予算獲得の背景を語る。

 23年4月より、ダイショウの全面サポートのもと、全台帳の電子化プロジェクトが始動。土地約4万6000筆、建物3万戸という膨大な台帳を、傷つけないよう慎重に1ページずつ開き、スキャニングして画像データ化していく。それをエキスパートのシステムに載せ、法務局の登記データと紐づける。このとき、台帳のデータと法務局のデータとを照合して、記載内容が一致するよう訂正する作業も必要だった。紐づけできないものは閉鎖台帳として管理し、画像を検索・閲覧できるようにした。その上で、既存の課税システムとの連携を構築した。

 「実は、他社でも台帳の電子化を提案してくれる業者はあったのですが、登記システムを今使っている課税システムに連携させるところまでできるのはダイショウだけでした」と、黒川さんはエキスパートの優位性を語る。

愛知県蟹江町税務課の服部幸太課長
愛知県蟹江町税務課の服部幸太課長

新人でも使いこなせるエキスパートの操作性

 気の遠くなるような作業を経て、実装に漕ぎつけたのが2024年の10月。これにより、町が当初抱えていた2つの課題「登記異動済通知書の処理の効率化」と「紙台帳の電子化」が同時に解決された。黒川さんに導入による効果の実感を尋ねた。

 「分厚いB4サイズの台帳を運んできて、書いては棚に戻し、書いては棚に戻しをしていた頃と比べると、劇的に作業が楽になりました。手書きは書き損じや人によって筆跡が違って読みにくいなどありますが、デジタルはそういうストレスもありません」。

 配属3年目の佐々行典主事はこう話す。

 「私がここに異動してきたときには既にエキスパートがあったので、今の環境が当たり前の感覚でしたが、昔のことを知ると恵まれているなと。今年入庁してきた新人職員も感覚的に使えているので、仕事を覚えるのも早いです」。同じく3年目の山下耕平主事も「登記を閲覧に来る住民や家屋調査士、司法書士などへの対応もスムーズです。デリケートな紙台帳の扱いに冷や冷やすることもありません」と話す。

 他にも、システム導入によって時間や労力が節約できた分、残業時間が減り、現地調査などに回せる時間が増えた。さらに、導入以前は台帳を手書きで写す作業のために会計年度任用職員を雇っていたが、今は任用しなくても良くなり、人件費が削減できている。

エキスパートで役立つ、お気に入りの機能

 エキスパートを使う中で、よく使う機能やお気に入りの機能を聞いた。黒川さんは「名前で所有者を検索できる機能」を挙げる。

 「この人は何を持っているのかを一覧で見ることができるので、所有者を調べてその土地の調査に行ったりなど、課税事務を行う上でとても便利です」。

 蟹江町のシステムは登記と課税の連携まで一気通貫でできるよう構築されているため、課税側の所有者コードでこのような名寄せができるのだ。

 他にも、最新の所有者や持分がタイムリーに更新される点や、登記の受付をした日で絞って検索できる点なども便利だとの意見が上った。

ダイショウのサポート体制と今後の機能拡充への期待

 ダイショウのサポート体制について満足度を評価してもらった。代表して黒川さんが答える。

 「サポート専用のフリーダイヤルがあって、問い合わせると丁寧に答えてくれますし、その場で答えられないことは翌日などに調べてレスポンスをくれます。システムの運用開始時にはマニュアルを持って役場まで来て手ほどきをしてくださったりなど、サポートが手厚くてありがたいです」。

 蟹江町がエキスパートによって業務効率アップを実現したことは他の自治体にも知られており、日々問い合わせや見学が来る。実際にPC上でやり方を見せると、見学者は自分たちが手作業でやっている業務との差に驚くそうだ。服部さんは言う。

 「小さな自治体ほど少人数で固定資産税業務を担い、大変な思いをしているはずです。そういう自治体こそエキスパートを導入して、ワークライフバランスを大切にしてもらえればと思います」。

左から服部幸太課長、山下耕平主事、佐々行典主事、黒川浩輝課長補佐
左から服部幸太課長、山下耕平主事、佐々行典主事、黒川浩輝課長補佐

【事例紹介②】固定資産税業務の効率化だけに留まらない、「エキスパート」がもたらす効果

大分県日田市

大分県日田市

面積666.03㎢、人口約5万9,000人。大分県の西部に位置し、北部九州のほぼ中央に位置する都市。豊富な水資源に恵まれていることから「水郷」と称される。古くから交通の要衝として栄え、「豆田町」の町並みや近世日本最大の私塾「咸宜園」跡は日本遺産に認定されているほか、伝統行事「日田祇園の曳山行事」はユネスコ無形文化遺産にも登録されている。さらに日田温泉や屋形船、伝統の鵜飼など、歴史と自然、観光資源が豊富に揃っている。

登記済通知書の処理に忙殺される日々

 日田市では、税務課約40名のうち資産税係は12名。業務の中心は固定資産税及び都市計画税の賦課だが、同市ではここ15年ほどの間に豪雨災害が度々起こっており、罹災証明書発行のための住家の被害認定調査も担っている。

 多くの自治体では、職員を土地と家屋で担当分けしているが、日田市では総括(係長)以外でペアを組み、それぞれに地区を割り当てる方式を採用。そして、職員は自分の担当地区の土地、家屋、償却資産など全ての賦課業務を行う。

 「専門性が高いため、実務経験が長い職員と浅い職員をペアにすることで、経験の浅い職員がベテランから仕事を学べるよう工夫しています」と、主査の中西良太さんが説明する。エキスパートを導入する以前、資産税係ではどのような課題があったのか。

 1つめは、法務局まで行って登記済通知書を紙で受け取り、それを地区ごとに整理して担当者に振り分ける作業に多くの時間と労力がかかることだ。

 「日田市では月に約1100件の登記の異動があり、振り分け作業だけで年間480時間かかっていました。細心の注意をしていても、違う地区に振り分けてしまったり、担当者に渡し漏れしたりといったヒューマンエラーが出てしまうことも問題でした」と中西さんは振り返る。

 2つめは、登記済通知書を紙で管理・処理していると、ペア間であっても相手の進捗が見えにくくなる課題があった。どの案件がどこまで進んでいるのかが分からないと、リカバリーに入ろうとしても現状把握から始めねばならず、対応に手間取ってしまっていた。

大分県日田市税務課の中西良太主査
大分県日田市税務課の中西良太主査

法務局と市のデータ連携を阻むハードル

 これらの課題を解決するため、市は2023年(令和5年)にエキスパートの導入を決める。当時、法務省は登記情報をデータ化し、国や地方自治体の行政機関がオンライン上で確認できる仕組み「登記情報連携システム」の運用を始めていた。これにより、自治体側はわざわざ法務局まで行って書類をもらう手間から解放された。しかしながら、当時はデータをもらう際に「覚書」を交わす必要があり、そのやり取りに数か月かかるなど課題もあった。

 もう1つ問題となったのは、法務局のデータと市の課税データとの整合性だ。法務局から登記済通知書のデータが送られてきても、それが市の課税データと一致しなければ、同じ物件とは認識されず連携できない。つまり、両者のデータを一字一句同じにする必要がある。ところが、市では土地の所在地は大字名、小字名、地番という記載になっており、小字については正式な資料がなかった。過去の台帳を確認しても、法務局の記載と一致しないため、結局、法務局の記載に合わせて市のデータを書き換える形で問題をクリアした。中西さんは次のように話す。

 「大変な作業ではありましたが、データの正確性が高まったことで、住民からの問い合わせに自信をもって回答できるようになりました」。

作業時間7割減、さらに副次的効果も

 導入によって当初の課題だった振り分け作業は無くなった。また、書類をデータで授受できるようになったことで、ペーパーレス化はもちろんのこと処理スピードも速く正確になった。

 「法務局からの登記情報を全部自動で反映するのではなく、紐づけできないものはエラーが表示され、自分の目で確認して入力することができるので、安心して業務が行えます」と橋ノ口主任も太鼓判を押す。

 ペア間での進捗管理が難しく、業務がブラックボックス化しやすかった点についても、端末上で処理済みかどうかが見える化されるようになり、改善された。

 こうした効果が合わさった結果、職員の労働時間は年間1100時間から326時間へ約70%短縮された。導入前から資産税係にいる職員は、以前は頻繁に残業していたが、導入後はほぼ残業をしていないという。
 職員のメンタルヘルスにも副次的な効果が表れている。導入前は業務の負荷が高く、心身の負担につながる職員も多かったが、導入後はその負担がかなり軽減されたと感じているという。「エキスパートが働きやすい職場づくりのベースになってくれたのだと考えています」と中西さんは評価する。

大分県日田市税務課の橋ノ口奎太主任
大分県日田市税務課の橋ノ口奎太主任

エキスパート導入の決め手とお気に入りの機能

 ところで、エキスパートを導入するに至った決め手とは何だったのか。中西さんに聞いた。

 「エキスパート以外に2つの候補を検討しましたが、どちらもGIS(地理情報システム)との連携に重きを置くものでした。資産税係の時間外労働削減や課税業務の効率化という点で考えたとき、効果が期待できる製品であること、そして、他自治体での実績が多いことが決め手でした」。

 導入のための予算については、2018年頃から時間外労働の削減や課税誤りの防止の目的で実施計画を提出してきたが、費用対効果が明確でないという理由で通らなかった。そこで、2022年度の予算取りでは目的をDXに変更。その年は通らなかったものの、市長がDXに本腰を入れ、情報統計課内にデジタル推進係を新設するタイミングと合致したことなどから、翌2023年度の予算確保に成功した。

エキスパートの使用感や役立つ機能

 課税の実務で便利な機能やよく使っている機能について尋ねると、「土地の共有者を確認する際に、登記上の共有構成員が異動ごとに一覧で見られる機能がとても助かる」とのこと。

 紙の時代は、土地所有者が適正なのかを確かめるには法務局に行って要約書をもらわなければならなかった。エキスパートでは最新の構成員が一覧で出てくるため、気になったときにすぐ確認できる。また、物件の異動履歴を時系列で確認したり、目的に合わせて並び替えたりといった便利機能もある。

 資産税係の職員だけでなく、他の課の職員からも「空き家問題等で所有者を調べたいときなど、今までは法務局に行かなければならなかったのが、今は税務課に来てその場で端末で調べられる」と喜ばれている。

 「操作は複雑ではなく、職員たちは半年ほどで使い慣れました。操作上で分からない点はダイショウさんに電話すれば丁寧に教えてくださるので安心です。導入時に一番大変だった小字の一致なども、ダイショウさんが主導してやってくださり、サポートがとても手厚いと感じています」と中西さん。最後に、全国の自治体に向けてメッセージをもらった。

 「人手不足の今、優秀なシステムを導入し、働きやすい環境をつくることが、人材採用や定着率アップに繫がると考えます。まだ紙で登記済通知書を受け取っている自治体の方にも、エキスパートを活用して働きやすい職場づくりをしていただけたらと思います」。

左から中西良太主査、橋ノ口奎太主任
左から中西良太主査、橋ノ口奎太主任

問合せ先

株式会社ダイショウ
Tel:03-6222-3071
E-mail:sales@daishou.co.jp

「登記課税連携システムエキスパート」
https://www.daishou.co.jp/service01/

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