
多様な学びが「人」を飛躍させる場所 ──公共政策大学院最前線
公共政策大学院最前線 第2回|実務のモヤモヤを突破する力に ──大山典宏・専任教授(明治大学ガバナンス研究科)
地方自治
2026.07.31
目次
出典書籍:月刊『ガバナンス』2026年8月号
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月刊 ガバナンス 2026年8月号
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特別コラム 明治大学ガバナンス研究科 Presents
多様な学びが「人」を飛躍させる場所 ──公共政策大学院最前線
第2回
──大山典宏・専任教授
おおやま・のりひろ 志木市役所に入庁し生活保護ケースワーカーとして4年間勤務。その後、埼玉県庁に福祉専門職として転職し、児童相談所や本庁での新規事業立ち上げなど計16年間実務に携わる。行政職の傍ら大学院で修士・博士号(社会福祉学)を取得。高千穂大学人間科学部教授を経て、現在に至る。主な著書は『精選 生活保護運用実例集』、『生活保護200万人時代の処方箋――埼玉県の挑戦』など。専門分野は公的扶助論、社会福祉制度論。

大山典宏・専任教授
――ご自身のご経歴をお聞かせください。
大山典宏・専任教授(以下、大山):埼玉県志木市役所で生活保護のケースワーカーを4年間経験後、社会福祉士の資格を取得して埼玉県庁へ転職し、実務に計20年間携わりました。働きながら大学院で学びを深め、高千穂大学での教授職を経て、現在はガバナンス研究科の2年目を迎えています。
――自治体職員から研究者へ転身されたきっかけは?
大山:最大の転機は、市役所時代に立ち上げた「生活保護110番」というWebサイトです。現役ケースワーカーによる取組は当時珍しく、全国的なコミュニティへ発展しました。これが注目され、メディア取材や書籍出版の機会をいただき、現在の研究活動につながっています。また、職員時代に法令担当として、ルールの文言ひとつで利用者の生活が180度変わる現実を目の当たりにしたことも原点の一つです。全国の自治体が独自に作成している計2万ページに及ぶ膨大なルールブックを、利用者の利益や権利保障の視点から編纂し直して書籍化した経験が、私の研究の大きな軸となっています。
――ガバナンス研究科では何を教えられていますか。
大山:「公的扶助論」や「社会福祉制度論」などの講義等を担当しています。学生は多様で、全員が福祉専門ではありません。しかし現在の自治体では、一般行政職の3分の1が福祉部局に属し、予算ウェイトも高いです。また地方議員も、高齢者や子どもの貧困などへの関心が高く、地方自治において福祉は避けて通れないテーマです。
――公共政策大学院で福祉を学び直す意義は?
大山:一つは「福祉のレンズ」を手に入れることです。自身の経験というレンズに加え、福祉の歴史や理念、枠組みを加えることで、課題に直面した際の見え方が変わり、仕事の幅が広がります。もう一つは、講義内での「異質な実務家同士の対話」です。例えば、地方議員の学生が「議会で福祉関連の質問をしても杓子定規な答弁しか返ってこない」と話せば、行政職員の学生から内部事情を踏まえた実践的な質問の仕方のアイデアが飛び出します。このフラットな対話が新しい気づきを生みます。
――ガバナンス研究科の魅力をお聞かせください。
大山:「理論知」と「実践知」を融合できる圧倒的な同質性の低さです。一線で活躍するプロが集まり、質の高い議論で強い刺激を受けられます。また、強力なネットワークも魅力です。国会議員や地方議会の議長クラス、行政幹部などのリーダーと繋がれる環境は他にありません。
――今、最も注目されているテーマは何でしょうか。
大山:1つは「社会保障教育のアップデート」です。全国で初めて中高生を対象とした社会保障への意識調査を行い、学校で社会保障教育を受けると行政や制度への信頼度が変化するという結果が得られました。私は、人生のピンチを疑似体験しながら福祉制度を学ぶ「社会保障ゲーム」の開発に参加しています。自分には支えられる権利があることを学んでもらう取組です。議員連盟も立ち上がり、政策化を進めています。もう1つは「生活保護DX」の研究です。福祉現場には紙ベースのアナログなやり取りが残っています。これを自動化できれば、財政面での削減と市民サービスの向上が期待できます。
――入学を検討している皆さんへメッセージを。
大山:今後求められるのは、単一の縦割り業務ではなく、異なる分野を繋ぎ、多様な価値観や言語を理解した上で翻訳・提案ができる「バウンダリー・スパナー(境界連結者)」としての専門人材です。実務の中で強い閉塞感や不全感を抱えている方は多いと思います。当研究科は、そのモヤモヤを突破するための「理論」と、利害関係のない「強力な仲間」と出会える場所です。自分の仕事をよりエキサイティングに変え、社会を変革していきたいという熱意ある皆さまと学べる日を楽しみにしています。
【説明会、公開講義等の日程はウェブサイトから】
https://www.meiji.ac.jp/mugs2/

【企画提供】
明治大学 専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)
東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL:03-3296-2397
★「多様な学びが『人』を飛躍させる場所 ──公共政策大学院最前線」は
「月刊 ガバナンス」で連載中です。本誌はこちらからチェック!

月刊 ガバナンス 2026年8月号
特集1:〝豊かな〟人口減少社会を描くには
特集2:アサーティブコミュニケーションの手引き
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,320 円(税込み)
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