連載 vol.118「つながる」力 問いがうまれ、新しい価値をつくりだす原動力【小金澤千穂(群馬県下仁田町職員)】
地方自治
2024.11.25
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2024年1月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
◯つながりから見えた問い ──
公民館勤務を含め、社会教育に携わって4年目を迎え、放課後子ども教室の運営を担当している今、子どもたちとのつながりを大切にしている。
放課後子ども教室は、小学校の余裕教室を活用して地域の人が子どもたちの活動をサポートする場だ。私は可能な限り顔を出し、子どもたちと時間を過ごす。
ある日のこと、低学年の子が私を見て「先生!」と呼びながら近づいてきた。他のスタッフにも同じように「先生」と呼んでいる。「そうか、教室の中にいる大人は、子どもたちにとって先生なのか……」くすぐったいというより、もやっとした違和感に近いものを感じた。
どこか大人の顔色を伺っているような表情を見せる子どもたちもいる。「私、先生じゃないんだよね」と笑うと、名前を聞かれ、それ以降子どもたちは先生でも苗字でもなく、私のことを名前で呼ぶように変わった。
『子どもたちと大人の関係はこれでいいのか ── 』
◯つながりの先にあるもの──
名前で呼ばれるようになってからは不思議とコミュニケーションが増え、子どもたちとの距離が近づいたような感覚があった。先生や親には内緒にしていること、放課後子ども教室での出来事、子ども同士の人間関係のことを話してくれるようになった。放課後子ども教室でやりたいことを伝えてくれるようになったし、逆にやりたくないことがあれば相談をしてくれるようにもなった。
つながりの先には、親や先生のようなタテの関係でもなく、友達のようなヨコの関係でもない、『ナナメの関係』があった。
◯新しい価値があるサードプレイス ──
子どもたちの「好き」がある場所。自分らしさを認めてもらえる場所。安心して本音が言える場所。ロールモデルに出会える場所。ホンモノを体験できる場所。学校や家庭では得られない新しい価値がある居場所 ── そんなサードプレイスを地域の人とともにつくっていきたい。
(群馬県下仁田町職員/小金澤千穂)