連載 vol.113「つながる」力 部活で気づいた部署を超えたつながりの大切さ【煤孫(すすまご)泰洋(北海道登別市職員)】

地方自治

2024.10.15

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2023年8月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     2018年、登別市役所野球部は第73回国民体育大会「福井しあわせ元気国体」軟式野球競技に北海道代表として出場した。全国の予選を勝ち抜いた32チームのうち、官公庁のチームはただ1チーム。ほとんどが企業が支援するチームで、高校や大学の有望な選手を揃え、元プロ野球選手を擁するチームさえある中、私たちの出場は多くの関係者を驚かせた。それは登別市役所野球部の10年間の努力が結実した瞬間だった。

     私が入庁した頃は、三位一体の改革などで、自治体を取り巻く環境が大きく変化した時期。庁内の雰囲気といえば、外部環境の変化に気づきながらも、先の見通しが立たない状況に不安感や閉塞感に覆われていたと記憶している。

     中途退職する職員が目立つようになったのもこの頃で、若手職員からは、個人的な悩みを相談できるネットワークづくり、部署を超えた職場内の「つながり」を求める声が出始めていた。

     そこで私たちが職場内のネットワークづくりのツールとして選択したのが、部活=野球だった。競技経験の有無に関係なく、様々な職員に声をかけ、入部してもらった。

     「一隅を照らす」の精神で、野球部だけは明るく元気に取り組もう。どんなことも相談できる関係を作ろう。仕事を疎かにせず、置かれた状況で一生懸命練習もしよう。こんなモットーのもと、消防職員も含めた約30人がひたむきに練習した結果、野球の神様は国体出場という大きなご褒美を用意してくれた。

     あれから5年が経ち、何人かのメンバーの入れ替えはあるが、様々な場面で苦楽をともにした仲間は、同僚という存在を超え、家族同然の存在だ。最近では登別市役所で野球をしたくて入庁したという若者まで出てくるようになった。さらに嬉しいことは、そうした野球部の応援に多くの職員が足を運んでくれることである。

     ツールはどんなものでも構わない。この難しい時代に立ち向かうには、部署の垣根を超えたつながり、ワンチームの精神が重要だと私は確信している。

    (北海道登別市職員・煤孫(すすまご)泰洋)

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