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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2023 月刊「ガバナンス」2023年11月号
地方自治
2023.11.27
目次
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(月刊「ガバナンス」2023年11月号)
●新しい休み方・学び方の仕組み「県民の日学校ホリデー」と「ラーケーションの日」を創設
愛知県(752万8500人)では、県全体のワーク・ライフ・バランスの充実を目指す「休み方改革プロジェクト」の一環として、「県民の日学校ホリデー」と「ラーケーションの日」を創設した。
県内では、土曜に働いている人が約45%、日曜に働いている人が約30%いることから、子どもと過ごす時間をとりづらい保護者が少なくない現状がある。そこで、両制度を活用することで家族がともに過ごす機会を増やすことがねらい。
「県民の日学校ホリデー」は、家庭や地域における体験的な学習活動等のための学校休業日。今年から11月27日を「あいち県民の日」とすることを契機に、公立学校(幼・小・中・高・特別支援学校)に導入した。11月21日〜27日の「あいちウィーク」中の1日を各学校や市町村が「県民の日学校ホリデー」に指定し休業日とする。地域の自然、歴史、文化等についての理解と関心を深める体験活動に家族等が一緒に参加することで、地域への愛着と県民としての誇りをもつ契機としてもらうとともに、保護者の有給休暇取得を促すことも目指している。
「ラーケーションの日」は、同県発の新しい学び方・休み方として「学習(ラーニング)」と「休暇(バケーション)」を組み合わせたもの。平日だからこそできる学外での学習活動を、子どもと一緒に計画する機会を創出することを目指している。校外での自主学習活動であるため、子どもは学校に登校しなくても欠席とはならず「出席停止・忌引等」と同じ扱いとなる。保護者の休暇に合わせて学校に届け出をすることで、年に3日まで取得可能(ただし今年9月から制度が導入されたため、今年度は2日まで取得可能)。届け出は、学ぶ日、学ぶ場所、学ぶことをあらかじめ家族で話し合い、「ラーケーションカード」に記入の上、学校が指定した方法で提出する。
(月刊「ガバナンス」2023年11月号・DATA BANK 2023より抜粋)
●生物多様性共生区域の認定制度を創設
三重県亀山市(4万9400人)は、「かめやま生物多様性共生区域認定制度」を創設した。市民や市民団体、農林業者、企業などの多様な主体の自発的な活動によって生物多様性が保全されている市内の区域(例えば、里地里山や工場の緑地、ビオトープ等)の取組みを認定する制度で、生物多様性の保全に向けた機運の向上と、担い手や人材の確保・育成等を図るのがねらい。生物多様性保全を重要施策に位置づけている同市は、第2次環境基本計画で市域での生物多様性保全における多様な主体への支援や連携・協力した取組みを打ち出し、生物多様性地域戦略を策定している。その実現に向けて独自の認定制度を立ち上げた。
認定対象は個人や事業所等が所有する土地で、土地が管理され、その管理目的にかかわらず区域内に生き物が豊富に生息しているなど生物多様性が保全されていることが条件。土地の所有者または管理者が申請でき、市が委嘱する審査委員が現地確認と審査委員会で認定の可否を審査して市が認定する。認定された区域は、市がさまざまな機会に周知するとともに、生産品や活動報告に認定マークを掲示してPRでき、環境ブランドとして販路拡大などに活用することが可能となる。
(月刊「ガバナンス」2023年11月号・DATA BANK 2023より抜粋)
●SNSの投稿を分析して多様な県民の声を発掘
鳥取県(55万1800人)は、県民の潜在的な意見を把握する「デジタルサービスを活用した多様な県民の声発掘事業」に取り組んでいる。県ではこれまで、「鳥取県民参画基本条例」に基づき、県民が県政に参画できるよう、県民の声制度や県政参画電子アンケート、パブリックコメントなどのさまざまな広聴事業に取り組んできた。その取組みのさらなる推進に向け、SNS上の県民の投稿の分析を通じて、能動的に県政にアクセスしない県民や県政への関心度が比較的低い県民の潜在的な意見を把握し、県政推進の参考にすることを目的として、「デジタルサービスを活用した多様な県民の声発掘事業」を2023年度から開始した。
具体的には、SNS上の投稿をリアルタイムで収集し、出現量が多いキーワードや特徴的なキーワードなどを分析するシステム(テキストマイニングツール)によって特定の県政テーマに関する県民ニーズを把握していく。それとともに、SNS上のさまざまな情報を把握して、県民に分かりやすい情報発信のあり方の検討材料にする。
県はこれらデジタルサービスを活用した新たな広聴手法で、県政のより一層の推進を目指していく。
(月刊「ガバナンス」2023年11月号・DATA BANK 2023より抜粋)
●こども政策の充実・強化に5年間で100億円を投資
大阪府豊中市(40万8800人)は、こども政策の充実・強化を図るため、今後5年間で約100億円の集中投資を行うことにした。子育てに対する経済的・精神的な不安が高まり、少子化が極めて深刻な状況となっている中、子育て世代が暮らしやすい持続可能な都市づくりを推進するのがねらい。市は2024年度の経営戦略において「こども政策の充実・強化」を重点政策に位置づけ、地域の活性化・発展戦略として「子育てしやすさNO.1」を目指すことにした。
具体的な取組みは、2022年9月に「暮らしやすさ向上プロジェクト」を設置し、こども政策をはじめ、暮らしやすさに関わる施策を集中的に検討。必要となる財源は、既存の事務事業の見直しなど「創る改革」で創出することにした。主な取組みとしては、①「小1の壁」の解消、②よりハイレベルな教育の質・機会の確保・提供、③子ども・子育てのまるごと支援、などを柱に進める。①では、子育てサービス利用料の支援、放課後こどもクラブでの英語などの習い事・預かり時間延長・休日預かりの実施、②では、AIドリル・教育ダッシュボードによる府内NO.1の教育DXの実現、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置、ドリルなど副教材費・修学旅行費などの無償化、③では、子どもの居場所の大幅増・病児保育の増設、家事・育児支援などの子育て支援サービスの質・量・種別の大幅増、きょうだい同園入所の推進、などに取り組んでいく。
長内繁樹市長は、「少子化は極めて深刻な状況。市長就任以来、強い危機感を持っている。我々、基礎自治体においては、地域の実情に合わせた子育て支援サービスを、きめ細かに行っていく。大胆かつ思い切った投資をすることで、子育て世代だけでなく、投資の効果を全世代に波及させていきたい」と述べている。
(月刊「ガバナンス」2023年11月号・DATA BANK 2023より抜粋)
●ストリートデザインの実証試験「みちニワ」を実施
青森県八戸市(22万3400人)は、23年8月31日〜9月11日の12日間、中心街のメインストリートでストリートデザインの実証試験「みちニワ」を実施した。市は中心市街地活性化を図るため、中心街のメインストリートを居心地が良く歩きたくなるウォーカブルなストリート・エリアに再編する「中心街ストリートデザイン事業」を推進している。実証試験はその実現に向けて実施したもので、まちなかを車中心から“ひと中心”の空間へ転換して、多様な人々を惹きつけ、賑わいや豊かな生活環境を創出するのがねらい。メインストリートと沿道空間の利活用の効果や交通への影響を検証することにした。
実証試験は、八戸工業大学や地元の商店街振興組合、八戸商工会議所、株式会社まちづくり八戸の協力を得て、中心街のメインストリートである国道340号線の三日町と十三日町の区間で実施。車線減少など車道の一部を規制して歩道を拡幅し、そこに人工芝やベンチ・テーブル・イス、子ども向け遊び場空間を設置するとともに、露店やキッチンカーの出店、青空コンサート、ストリートライブ、ものづくりワークショップなどのイベントを行った。実証試験期間中は街歩きやイベントを楽しむ人で賑わいをみせ、市は滞在空間設置の効果や街路空間を活用した多様な活動の効果、車線減少に伴う車両交通への影響などをさまざまなデータで検証。その結果を踏まえて関係者と協議し、街路整備や空間活用のビジョンを策定して、ウォーカブルな中心市街地づくりを進めていく。
(月刊「ガバナンス」2023年11月号・DATA BANK 2023より抜粋)
●病児保育施設の利用料を実質無償化
宮崎県(107万8300人)は、病児保育利用料を無償化する事業を実施している。病気等で保育所に通うことが困難な子どもを一時的に預かる病児保育施設の利用料を助成することで、利用者の負担を軽減し、病児保育施設の利用を促進するのが目的。2023年度新規事業(病児保育利用促進事業)として実施した。具体的には、病児保育利用料を助成する県内市町村に対して補助率1/2以内、上限額1000円/日を補助。市町村が残り1/2 を助成することで1日2000円を上限に助成されることになり、利用料は実質無償化される。病児だけでなく、病後児や体調不良児も対象。2023年4月1日時点で県内には55か所の病児保育施設が開設されている。
また、同事業とともに、病児保育施設を円滑に利用できる環境を整備するため、病児保育ICT導入促進事業を実施。病児保育の予約システムを導入する市町村に対し、補助率1/4以内、上限額200万円を補助する。
これらの事業期間は2023年度〜2025年度で、2021年度の延べ9013人の病児保育施設利用者数(子ども・子育て支援交付金活用)を2025年度に1万2000人とする成果指標を掲げている。
(月刊「ガバナンス」2023年11月号・DATA BANK 2023より抜粋)
●AIと地域住民が共創して新設校の校歌を制作
三重県桑名市(14万100人)は、2026年4月に9年制の義務教育学校として開校を予定している「多度学園」の校歌の作詞・作曲にAIを活用することにした。AIによる校歌制作は全国の自治体で初の試み。理化学研究所革新知能統合研究センターとiU情報経営イノベーション専門職大学の共同研究プロジェクト「超校歌〜AIがつくるみんなの校歌〜」と同市が連携し、「人間とAIが共創する」をコンセプトに校歌づくりに取り組む。同プロジェクトは、全国の校歌を集めAIに学習させることで、AIが歌詞・楽曲を生成するプログラムを構築し、価値観が多様化する時代にふさわしい校歌のあり方を検討するもの。
多度学園の校歌制作の流れは、◎2023年8〜9月、校歌に込めたいキーワード等を募集(対象:多度地区の未就学施設や小・中学校の子ども、保護者、卒業生、教職員、住民や在勤者)、◎同年度内をめどに開校準備委員会が主体となり、寄せられたキーワード等を基にAIを活用して作詞・作曲、◎2024年度、編曲・伴奏等の調整を予定。校歌制作に地域の関わりがあったことを示すクレジット表記(一例として「作詞・作曲:多度のみなさんと超校歌AI」等)を計画している。
(月刊「ガバナンス」2023年11月号・DATA BANK 2023より抜粋)