連載 vol.91「つながる」力 「地域×つながり×自己開示=居場所」の方程式 【東山正希(山梨県職員)】
地方自治
2023.12.26
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2021年10月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
大学卒業後、JICA海外協力隊としてドミニカ共和国で活動した。帰国後は、国際協力機構、復興庁岩手復興局で勤務し、現職に至っている。
地域やつながり、仕事が変われば、不安がつきまとう。だから、いつも「居場所」を求めていたように思う。
だが、魅力的な地域やつながりがあっても、そこを居場所とするのは案外難しい。そんな時、私は公私問わず勇気を出して「自己開示」することにしている。例えば「寄席が好き。昔の趣味は手品。ギターで歌も作れるが、決定的に下手である」といった感じだ。
ドミニカでは、スペイン語で歌を作り目の前のつながりに飛び込んだ。帰国後も、東京の職場では定時退社促進ライブを企画し、食堂で演奏した。岩手では仮設住宅に住んでいたため、日頃、満足に演奏ができないメンバーで集まり、音楽と戯れた。勇気を出して自己開示した結果、居場所ができた。
居場所があると、その地域に貢献したいとか、このつながりを継承したいとか、様々なモチベーションが生まれてくる。自治体職員になった今、このモチベーションは大切だと感じている。
現職では、昨年度まで早川町という縁もゆかりもない町で勤務した。町内の蕎麦屋で、初対面の店主に対し前振りもなく「ここで歌わせてください」と伝えた。「ちょうど町内外のつながりを創るイベントを考えていた。来週、プレライブをしよう」。約10分の出来事だった。当日はプレながら30人近くが集まった。人口1000人に満たない町でだ。その時、みんなつながりや居場所を求めているんだ、そう感じた。
また、県内の学生から国際協力について相談を受けたので、地域の方々の協力のもと、早川町内で電気などを使用せずに途上国の生活を実際に体験する「ゼロきゃんぷ」を企画した。こうして早川町に新たな居場所ができた。
これからも様々な地域やつながりに対して自己開示することで、多くの人と共に居場所を創り、地域の中のことをじぶんごととして捉える機会を増やしていきたい。
(山梨県職員/東山正希)