連載 vol.95「つながる」力 つながりは、視座高く全体最適を見極める上での「財産」【金治(かなじ)諒子(兵庫・姫路市職員)】

地方自治

2024.02.13

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2022年2月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     正直なところ、これまでの私は公務員同士のネットワークの「価値」に半信半疑だった。いくら業務外で広範囲のつながりを構築していても、それが所属組織の業務に役立たなければ意味がないと感じていたからだ。ところがサードプレイス活動を始めて6年間で、この疑問は払拭された。まさに今、その「価値」を実感しているからだ。

     つながり始めた最初の一歩は、育児休業を取得していた6年前にブログを書き始めたことだった。当時は育児日記でしかなかったが、ブログを書き続けていると、自然とご縁がある人とつながるようになった。

     基本的に人見知りで、自分から話しかけるのは勇気がいるタイプだが、ブログの存在により、よんなな会などのイベントに参加すると声をかけていただく機会が増えた。そしてSNSを通じてつながると、たとえ居住地が800㎞離れていても、距離を感じることなくやりとりすることができた。

     現在は保健所総務課に所属し、本務の他に、他自治体の情報収集や広報文案の検討など、新型コロナウイルスワクチン接種業務に関するお手伝いをしている。プライベートで他自治体の担当者とオンラインで交流した際、ワクチンに関する情報交換を行ったことがきっかけであったが、住民生活への影響が大きいワクチン接種業務が少しでも円滑に遂行されればという願いから、気づいたら身体が動いていた。

     年月をかけて少しずつ拡がったネットワークは、予想しない形で、所属組織の業務に役立つ機会を得ることとなった。こうして振り返ると、長期的な視点が欠落していた当時の自分を恥ずかしく感じる。自分一人で見える範囲は狭い。人生において、新たな発想やきっかけを運んできてくれるのは間違いなく他者であり、だからこそおもしろいのだと思う。

     つながりは、視座高く全体最適を見極める上での「財産」であると、今は自信をもって言い切ることができる。公務員という生活の安定を土台として、これからもつながり続けたい。

     

    (兵庫・姫路市職員/金治(かなじ)諒子)

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