月刊「ガバナンス」特集記事

ガバナンス編集部

月刊「ガバナンス」2023年5月号 特集1:誰もが幸せを実感できる地域へ〜ウェルビーイングなまちづくり、特集2:アンコンシャス・バイアスと向き合おう

地方自治

2023.04.27

●特集1:誰もが幸せを実感できる地域へ〜ウェルビーイングなまちづくり

ウェルビーイング(Well-being)が注目を集めている。もともと人が身体的・精神的・社会的に「良好な状態」にあることを指す言葉だが、「健康・幸せ・福祉」などを包括する概念として用いられ、近年では、その視点を重視した社会や経営・組織などが模索されており、指標づくりも始まっている。自治体・地域でも幸福度などを取り入れたまちづくりが試みられてきたが、コロナ禍やウクライナ侵攻、相次ぐ自然災害、そして進む人口減少など社会が揺れ動くなかで、今、改めて誰もが幸せを感じることができるウェルビーイングな地域をどうつくっていくのかが問われているのではないか。今月はそんな視点から考えてみたい。

■「ウェルビーイングなまちづくり」の時代が来た
──居住先として選ばれる自治体になるために

保井俊之 叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部学部長・教授)
ウェルビーイングを、まちづくりや地域活性化政策の政策目標の中心に置く。この動きはここ数年、主要先進国の中央政府及び自治体で大きな流れになっている。日本でも、国が打ち出した「スーパーシティ構想」の政策目標のひとつがウェルビーイングであることから、ウェルビーイングという言葉が大きな脚光を浴びるようになった。しかしその背景には、ウェルビーイング中心のまちづくりへの、本格的な政策シフトを長年にわたり地域住民が自治体に求めていることがある。ウェルビーイングとは何か、そして政策変化が求められる背景とその方向性について、長いタイムスパンと広い視野で俯瞰してみよう。

■ウェルビーイング政策とまちづくり・AI/広井良典
今後は、いわば〝コミュニティ醸成型の空間構造〞という、「ソフト」と「ハード」を融合した視点がまちづくりや都市政策・環境政策・地域経済政策等において非常に重要になっていくだろう。そして、こうしたまちづくり・地域づくりを進めていくことが、他でもなく人々の「ウェルビーイング」を高めると同時に、「環境」、「福祉」、「経済」のいずれにとってもプラスに働く。

■「子育て罰」の国・日本は、子どもたちを幸せにできるのか?
──こども基本法という「わずかな希望」/末冨 芳

子どもたち、若者たちは日本でもっとも排除されてきた存在である。子どもにも子育てする家族などにも冷たい「子育て罰」の国が日本である。「子育て罰」の国・日本を、子どもたち、若者たちが幸せな社会に変えていくのはたやすいことではない。私はいまのままの日本では、子どもたちは幸せにならないこと、このまま衰亡の道を歩んでいくことを確信している。

■自治体組織は職員の「ウェルビーイング」を高められるか
──ジェンダー視角からの考察/佐藤直子

自治体組織の雇用環境は、ジェンダー中立的な法律と例規で規定されているため公務セクターでは、男女に処遇差は表れにくいと考える人もいるかもしれない。しかし実際には、処遇の男女差がある。ここでは、自治体職員が置かれている状況について考察したうえ、自治体職員が個人の福祉=ウェルビーイングを向上させていくには何が必要かを検討する。

■〈取材リポート〉ウェルビーイングを総合計画の基本理念として位置づけ/福井県越前市
福井県越前市は、今年度からスタートした総合計画の基本理念を「幸せを実感できるふるさと〜ウェルビーイングの越前市」とした。山田賢一市長は、福井県の総合政策部長や副知事として同県を幸福度日本一に押し上げた立役者。今度は首長として、地域に根ざした幸せのあり方を追求しようとしている。目標にどれだけ近づけたかを測るウェルビーインrグの指標についても、独自に構築していく考えだ。計画のスタートと同時に、ウェルビーイング推進室も新設された。

 

●特集2:アンコンシャス・バイアスと向き合おう

「ふつうは○○するものだ」「女性/男性はこうあるべき」「だから今時の若者は…」。こうしたアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)は、私たち一人一人の中に存在しています。自分では気づきにくい認知の偏りは、そのまま放置しておくと、人の生き方を否定し成長を阻んだり、職場環境を悪化させたりなど、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。そこで本特集では、アンコンシャス・バイアスとの向き合い方について掘り下げ、よりよい働き方、よりよい生き方を追求していくためのヒントを考えます。

■一人一人がイキイキとするために、「アンコンシャス・バイアス」を意識する/守屋智敬
アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)に向き合い続けることの根底にあるのは、「一人一人がイキイキとすること」だ。私たちは、一人一人に違いがある。ただ、こうした「違い」は「異なること」であって、けっして「間違い」ではない。一人一人、その時々と向き合うことを大切にしていただければと思う。

■〈取材リポート〉他者が尊重される、誰もが働きやすい職場づくりへ──女性活躍推進会議「フジェンヌ」と男性職員による合同会議が具体的取組みを提言/静岡県藤枝市 静岡県藤枝市は、「職員は宝」と捉え、人づくり改革と働き方改革を両輪とした人財育成を推進している。その一環として女性活躍推進会議「フジェンヌ」がボトムアップで職場改善案を毎年市長に提案。21年度からは男性職員との合同会議へと進化し、多様な視点から働きやすい環境づくりを探求、アンコンシャス・バイアスとも向き合い続けている。

■ジェンダー・バイアスを払拭するための誌上ワークショップ/荒金雅子
ジェンダー・バイアスやアンコンシャス・バイアスはよどんだ空気のようなものだ。女性や若手、マイノリティほど息苦しさを感じており、放置するとハラスメントやメンタルダウン、離職率の増加にもつながりかねない。ここに紹介する三つのワークを実践し、バイアスのない活力ある職場を実現してほしい。

 

●キャリアサポート連載

■管理職って面白い! マインドセット/定野 司 ■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ ポストコロナにおける自治体業務改善の新たな潮流/後藤好邦 ■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇 ■〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな〜れ!/岩﨑寿美子 ■自治体DXとガバナンス/稲継裕昭 ■自治体職員なら知っておきたい!公務員の基礎知識
職業としての公務員に必要な専門知/高嶋直人
■そうだったのか!! 目からウロコのクレーム対応のワンヒント
人は自分にとって不利な話は聞きたくない/関根健夫
■自治体法務と地域創生──政策法務型思考のススメ/大石貴司(関東学院大学地域創生実践研究所) ■キャリアを拓く!公務員人生七転び八起き/堤 直規 ■〈リレー連載〉Z世代ズム~つれづれに想うこと/青木悠太 ■ただいま開庁中!「オンライン市役所」まるわかりガイド/廣澤由貴 ■寺本英仁の地域の“逸材”を探して/寺本英仁

 

●巻頭グラビア

自治・地域のミライ
中阪雅則・和歌山県かつらぎ町長
住民が希望を持てる、すべての世代が住みやすい町に

中阪雅則・和歌山県かつらぎ町長(60)。住民が「いい町」と誇りが持てるまちづくりをめざす。そのためには「職員が頑張って輝けば、住民に伝わるし、その積み重ねが町を良くしていく」と力を込める。

 

●連載

□童門冬二の日本列島・諸国賢人列伝
天下のフィクサー一橋治済──源頼朝たち転生者(六)

 

●取材リポート

□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎 たった1社の帰還が漁港を支える──汚染処理水放流⑷浪江町の仲買人
原発事故、続く模索㊳

魚の身質がいい「常磐もの」の水揚げで知られる福島県浪江町の請戸漁港。津波で壊滅し、さらには原発事故による避難が続いたため、魚市場が再開されたのは被災から9年も経ってからだった。競りは仲買人がいて初めて成り立つ。だが、請戸に帰還した仲買は1社しかない。入札は他地区の仲買人も参加して行われているものの、そもそも港の水揚げが激減しており、「請戸産」の生産基盤は極めて脆弱だ。

□自治体政策最前線──地域からのイノベーション
「i‒都市再生+3D都市モデル」──都市構造を可視化して最適なまちづくりを推進(長野県茅野市)

長野県茅野市は、内閣府の「i-都市再生」を活用し、様々な統計データを可視化して効果的なまちづくりを実践。また、国土交通省の「3D都市モデル」のユースケースの開発と活用にも取り組んでいる。デジタル技術を駆使して、市民や関係者の納得感の高い最適なまちづくりを進めるのがねらいだ。さらにはDX推進の一環としてAI乗合オンデマンド交通の運行を開始し、国の指定を受けた「デジタル田園健康特区」の実現も目指している。

 

●Governance Focus

□人々の「行動」の集積が水道水を枯渇させた
──石川県、寒波による大規模断水の理由/葉上太郎

寒波が来襲した1月末、石川県で水道管凍結による漏水が大量に発生し、大規模断水に結びついた。当初は空き家が原因と報じられたが、実際には多くの要因が関係していて、単純な構図ではなさそうだ。ただ一つ明らかなのは、自治体の水道施設が壊れたわけではなく、人々の行動や準備不足が断水を招いたという事実だ。空き家対策に新たな視点が必要という教訓になっただけでなく、社会の水道に対する考え方を改める時期がきているのではなかろうか。

 

●Governance Topics

□総合賞は熊谷市チーム。学生チームが躍進し、実践的なアイデアを提案──チャレンジ!!オープンガバナンス2022
市民/学生と自治体が協働し、公開データを活用して地域課題の解決に取り組む「チャレンジ!!オープンガバナンス(COG)2022」(主催/東京大学公共政策大学院科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」教育・研究ユニット等)の最終公開審査が3月5日、開催された。今年は最終審査に12チームが進出。グランプリの「オープンガバナンス総合賞」には、大学生と市民がタッグを組んだ埼玉県熊谷市の「立教大学 立教サービスラーニング『SOCIAL&PUBLIC』」が輝いた。

□自治体業務改善の学びを止めない──帰ってきたカイゼン・サミット2022 in 中野
全国都市改善改革実践事例発表会(全国大会)の翌日に運営メンバーの交流のために開催されてきた「カイゼン・サミット」(以下、「サミット」)。コロナ禍で発表会は中止されたが、カイゼン・サミットは2年間オンラインによる代替イベントを実施してきた。今年3年ぶりに全国大会が東京都中野区で開催されたことを受け、サミットも久しぶりにリアル開催。参加者同士の学び合いの場となった。

 

●連載

□ザ・キーノート/清水真人 □自治・分権改革を追う/青山彰久 □新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之 □地域発!マルチスケール戦略の新展開/大杉 覚 □市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照 □“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘 □地域経済再生の現場から~Bizモデルの中小企業支援/小杉一人(ココビズ) □自治体の防災マネジメント/鍵屋 一 □市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹 □公務職場の人・間・模・様/金子雅臣 □生きづらさの中で/玉木達也 □議会局「軍師」論のススメ/清水克士 □地方議会シンカ論/中村 健(早稲田大学マニフェスト研究所) □「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭 □From the Cinema その映画から世界が見える 『独裁者たちのとき』/綿井健陽 □リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『「おふくろの味」幻想 誰が郷愁の味をつくったのか』湯澤規子]

 

●カラーグラビア

□つぶやく地図/芥川 仁
築二百年、茅葺きの家を守る──広島県山県郡北広島町溝口
□技の手ざわり/大西暢夫
日本一小さな酒蔵が挑むこだわりの地酒──杉原酒造(岐阜県大野町)
□わがまちDiary──風景・人・暮らし
湊町の栄華と心意気を今に伝える三国祭(福井県坂井市)
□クローズ・アップ
加賀料理の「秘密」を探訪する──石川県金沢市・大野町。醤油蔵の町歩き

 

■DATA・BANK2023 自治体の最新動向をコンパクトに紹介!

【特別企画】
□DXによって自治体改革をどう進めるか?⑧
「情報公開」と「住民参加」をキーワードにICT化を強力に推進──北海道芽室町議会
□地域の課題解決に外部人材のスキルを活用
「ふるさとプロボノ」で農山漁村を活性化──長野県高山村・兵庫県丹波篠山市

 

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株式会社ぎょうせい

「ガバナンス」は共に地域をつくる共治のこと――これからの地方自治を創る実務情報誌『月刊 ガバナンス』は自治体職員、地方議員、首長、研究者の方などに広く愛読いただいています。自治体最新事例にアクセスできる「DATABANK」をはじめ、日頃の政策づくりや実務に役立つ情報を提供しています。2019年4月には誌面をリニューアルし、自治体新時代のキャリアづくりを強力にサポートする「キャリアサポート面」を創設しました。

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