連載 vol.84「つながる」力 所属を超えたつながりを持つことで得られる新たな気付き 【五味正治(三重・紀北町職員)】

地方自治

2023.10.02

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2021年3月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     三重県紀北町は県南部に位置し、世界遺産熊野古道が南北に走り、自然豊かで、夏は涼しく冬は温暖な地域である。2020年12月末現在の人口は1万4927人、高齢化率は45.0%で、ちょい減らし+10(プラス・テン)を健康づくりの合言葉に事業を展開している。私は保健師として、介護予防や、健康マイレージ、糖尿病性腎症重症化予防プログラム開始に向けた調整や実践等を経験し、現在は高齢者福祉全般を担当している。

     わが国の保健師に占める男性の割合は2018年12月末現在2.6%である。三重県内の男性の行政保健師は現在10人で、男性保健師が複数名配置されている自治体は少ない。私が8年前に入職した際は、県内の男性の行政保健師は3人で、直接連絡や交流する機会はなかった。2018年度、県内に男性保健師が5人入職したことで、男性保健師が互いにつながりをもち、交流できたらとの思いが急速に高まった。人数が増えたことで、研修等でも男性保健師が顔を合わせる機会が増え、連絡先を交換し、LINEや会食を通じて気軽に情報交換ができるようになった。このつながりは、自分にとっても意欲や自信など、こころの健康にも良好な影響を与えている。

     私は保健師の業務において、男性だからできないというものはないと考えている。しかし、実際は男性保健師に母子保健事業や女性がん検診等を担当させてもよいか躊躇し、経験させてもらえない自治体もある。当町も、出産後の母子の健康観察や保健指導を行う赤ちゃん訪問は、私を除く女性保健師のみで担当していた。2018年度からの男性保健師のつながりによって、赤ちゃん訪問を経験している男性保健師の取組みを知り、所属内で共有したことにより、私も担当できるようになったのである。

     他の取組みを知り、異なる視点で物事をみることは、目の前の当たり前が当たり前でないという気付きを与えてくれる。自らの成長や、業務の質を高めていくためには、自分の担当や所属を超え、同じ領域や、多様な専門性や強みを持つ人とのつながりから学んでいくことが必要である。

     

    (三重・紀北町職員/五味正治)

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