東西南北デジデジ日記 vol.23 今週の担当:【北】山形巧哉

地方自治

2022.03.17

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。自治体の人口や文化でサービスの濃度が違うから、と切り出す【北】の山形さん。そのときに大事なものって何でしょう。

―――――2022年3月17日 Thu.―――――――

 

自治体はいろいろだから

昨年末まで地方公務員だった僕ですが、規模も小さく、また職員もだいたい顔と名前が一致するような職場で働いていました。

その一方で、北海道という場所では、いわゆる「e-Japan構想」が掲げられた頃から、道内自治体は数(当時は212市町村)も多いし、小規模な自治体も多いことから、とにかく共同化・共通化が進んでおり、その運営方針などを決める協議会にも参加させてもらい、広くさまざまな自治体の状況なんかを見てきたつもりです。

これに加え、現在は国内の自治体のみなさんとお話しさせていただく機会も相当多くなり、土地柄や文化、人口規模などさまざまな要因によって、地域っていうのは成り立っているのだなあとあらためて認識を深めていっております。

 

デジタル化さっぱりわからん

人口1万人前後の市町村と200万人の市では、そもそも住民ニーズの濃さが違うでしょう。さらには、北と南では気候や災害の種類も違うので、一見同じような仕事でも、実はその重要度やアプローチの仕方も変わります。

前職時代、僕も縁あって総務省といった行政機関が運営する委員会などに参加させていただくことがありました。
同じように、いろいろな地域の市町村職員も参加されますが、その地域特有の視点を持ちながら話を行うため、割と空中戦になりがちなイメージ。

そこで実感するのは、僕たちの小さな町の考え方は実はマイノリティであるのだということ。
会議のなかで初めて、「そうか日本のスタンダードはこっちだったのか」と知ることもしばしばありました。

さて、ここであらためて、地方自治体のデジタル化。
この「デジタル化」と言ったときにすぐさま、

●デジタルファースト
●ワンスオンリー
●コネクテッド・ワンストップ

というデジタル手続き法に基づく3原則が頭に浮かぶ職員や首長のみなさん、どのくらいいらっしゃるでしょうか。

A:「いや、そんなん、自治体でデジタル活用をやっている部署なら常識でしょ」
B:「いや、地域で考えたときにそんな概念言ってたってどうすんの。知らんわ」

まあいろんな考え方はあるにしても、大きく分けるとこの2つの考え方に集約されるのではないでしょうか。
ええ、間違いなく僕はBのほうです。

首都圏や大きな自治体・議会の方とのお話で驚くことは、もうすでに「デジタル原則」が浸透していることです。

電子申請や電子マネーの利用に関しては、小さな自治体ではまだサービス提供が推進できていないところが多いなか、首都圏や大きな自治体では「住民サービスとしてやっていないとおかしい。これ以上の利便性を求めるにはどうしたらいいのか」まで話が進んでいます。

情報の公開をとっても、「原則的にはしっかりと情報を出しておかないと」の「原則的」の幅が、僕たち小規模自治体とは大きく異なっています。

そして、実はこのような発想を持っている大規模自治体に住んでいる人たちのほうが人口的には多いんですよね、日本って。当たり前ですけど(笑)。

 

ゆがみ

いろいろな議論や想定をされるとき、数の多いほうに合わせていくほうが当然効率的です。その考えには、小さな自治体であってもさほど異論はないと思います。

が、みなさん、口を揃えて「都会だとできるけど田舎じゃそこまで無理だよ」と言うことが多い。

わかります。
職員数も少ないしドキュメントの読み込み大変だし。
他にやらなければならない施策もあって予算も人員も本当にギリギリ。
無理ですよね。

でも、だからこそ、デジタルをうまく使えば、むしろ都会水準のサービスをどこでも提供できると言うこともできる。
本当はメリットたっぷりな気もするんですよ。

とは言いつつも、1,741の市町村の多くを構成する小規模自治体において、どうやって負担なく――いいえ、住民サービスの向上のための負担はどんとこい(ですよね? みなさん!)ですが――いかにその負担へ対する納得感を持って取り組みができるのか。苦手意識を克服できるのか。

むしろデジタル化は小さな自治体のためにこそ重要なんだという感覚をもてるのか。

事例や参考が多ければという話も聞きます。
僕もとりわけ「横展開」という話はしますが、純粋にまったく同じことを展開できるわけではないことに気をつける必要があります。
結果として肝になるのは、「どうしてこれをやったのか」、「どうやって成功に向かっていったのか」というような、「話」を聞く・することに大きな意味があるとは考えています。

……が、いやはや、そこまで考えられる余裕ってなかなか小さな自治体だとないよなぁ。
うーん。

 

まあ座りなよ

モヤモヤ悩むということは、それだけいろいろな自治体の状況を見ることができている証拠なのかなと、前向きに考えています。
でも、このモヤモヤを少しでも晴らすためには、小さな自治体と国と一緒に膝突き合わせて(適度な距離を保ちながら)話をし、できるだけみんなが納得感をもって進めていけるようになればいいのになあと考えている次第です。

いろんな条件や状況はありますが、まあみんなで座って話ができたらちょっとだけでもいい流れにならないかなあ。
なってほしいなあ。

それでは、4月の年度替わりを控えるなかでメンバーチェンジはあるのか???
次回もお楽しみに。デジデジ!!

 

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千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

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