議会局「軍師」論のススメ

清水 克士

議会局「軍師」論のススメ 第85回 「議員との付き合い方」はどうすべきか?

地方自治

2023.12.14

本記事は、月刊『ガバナンス』2023年4月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 

 新年度を機に、多くの議会(事務)局では人事異動で新体制になる。

 私も3月末で定年退職し、議会局長ではなくなったが、個人的に自治体議会には関わっていくつもりである。ついては、この連載も継続になったので、8年目もよろしくお付き合い願いたい。

■議会特有の研修テーマ

 さて、先日、ある地方の議長会からの依頼を受け、議会事務局職員研修の講師を務めた。依頼された研修テーマは「議会事務局職員の役割」であったが、それに付随して「議員との付き合い方」とのテーマが特出しされており、その意図について主催者にあらためて確認した。

 それは、各議会から議員の行動にどう対応すべきかとの切実な相談が多数あり、議長会事務局としてもその対応に苦慮している事情があるようであった。

 だが、行政職員研修では、「首長との付き合い方」などという研修テーマは聞いたことがなく、公選職が任命職よりも多数を占める自治体議会(注)ならではの研修テーマと感じた。

(注)東京都議会を除く

■普遍的な正解がない課題

 主催者から提示された相談例の一つは、議会運営委員会で確認済の本会議運営について、開会直前に個別に局職員に異議を唱える議員や、議運決定事項を順守せずに単独行動する議員のように、機関決定を無視する議員が全体秩序を乱すパターン。

 もう一つは、新旧議長の仲が悪く、議会改革が進まないケースや、ベテラン議員が議長を含む他議員に自説を押し付けるケースのように、議員間の関係性によって議会活動が阻害されるパターンに大別された。

 前者の機関決定に従わないパターンは、組織統治上の問題なので議長主導によって公式の場での議論に委ねるべきであり、局職員としてはむしろ個別対応すべきではないだろう。

 後者のパターンのうち、前段の新旧議長の人間関係によって議会改革が停滞するケースでは、「議会改革推進委員会」のような議長の諮問機関を設置する組織的対応も考えられるが、悩ましいのは後段のケースである。

 一般社会でも「何を言ったかよりも、誰が言ったかで決まる」ことはありがちであるが、政治の世界ではより顕在化する。そして、そのパラダイムでは、組織上の立場よりも個人の力関係が優先されるので、多くの場合、正論は通用しなくなり、建設的議論などできなくなるからだ。

■「チーム議会」の実現を目指して

 残念ながら人間関係に起因するトラブルに万能な解決策などないように、「議員との付き合い方」についても、普遍的な正解などあり得ず、ケースバイケースの判断とならざるを得ない。その際の個別判断の拠り所は、経験に裏打ちされた嗅覚や勘でしかないが、それを醸成するのは日常的な議員との距離感である。24時間365日公選職としての立ち振る舞いを求められる議員との距離を縮めるには、「働き方改革」が叫ばれるご時世ではあるが、サラリーマン的な9時5時感覚では難しい。ここで具体例に紙幅を割く余裕はないが、あえて言うなら、決して「公私混同」ではない「公私一体」の精神で臨むことが、正解への近道である。

 いずれにしても、議員と局職員が協働できる関係性にある「チーム議会」の成否が、議会活動の成果をも左右する。局職員の皆さんには、是非とも議員と良好な関係を構築し、議会を楽しんでもらいたい。

 

*文中、意見にわたる部分は私見である。

 

第86回 『本当の「DXできない理由」とは何なのか?』 は2024年1月18日(木)公開予定です。

 

 

Profile
早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員・前大津市議会局長
清水 克士 しみず・かつし
 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長、局長などを歴任し、20233月に定年退職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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清水 克士

大津市議会局長・早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員

しみず・かつし 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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