議会局「軍師」論のススメ

清水 克士

議会局「軍師」論のススメ 第78回 議会は「唯我独尊」でいいのか?

地方自治

2023.05.18

本記事は、月刊『ガバナンス』2022年9月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 

 筆者は7月末の「政策サイクル推進地方議会フォーラム」キックオフ・シンポジウム(注1)で、パネリストとして登壇した。今号では、その場で語ったことに補足して、議会活動評価全般について論じたい。

注1 公益財団法人日本生産性本部主催。

■政策立案と議会改革の必然性

 議会の監視機能発揮の手段としては、検査権、監査請求権、調査権等が地方自治法に定められるほか、一般質問等が標準会議規則に規定され、ある程度定型化されている。

 しかし、議会の政策立案機能については、条例制定権や専門的知見の活用などが法定されるものの、そのプロセスについて定型化されたものはなく、個々の議会で独自に制度構築する必要がある。

 そのため政策立案の前提となる調査研究や広聴手法の確立等、様々な議会改革が求められる。つまり議会改革を進めることが、元来、立法機関である議会の根本的理念を作動させ、「機関としての議会」の活性化と政策立案体制の確立を実現するのである。

■大津市議会の評価モデル概要

 大津市議会では、政策立案機能強化に重点を置いた議会改革を進めており、両者は一対のものと認識している。それゆえ通任期の議会版実行計画である「大津市議会ミッションロードマップ」においては、「政策立案」と「議会改革」の検討テーマを、行程表化し明示している。

 同時に「大津市議会ミッションロードマップ」は、有識者による外部評価をプログラミングした議会活動評価制度でもある。評価で抽出した課題を「次期議会へのメッセージ」として引き継ぎ、新ミッションロードマップ策定の指標とすることによって、議会活動評価を政策サイクルにリンクさせている(注2)。

注2  詳細は、清水克士「『未来を語る議会』であるために~『大津市議会ミッションロードマップ』の目指すもの~」(地方議会人2016年9月号)を参照。

■議会活動評価の必要性

 他議会でも多様な取組みがされているが、議会活動評価が一般化したとまでは言えない。それは公選職の評価は、選挙によって総括されるものであり、評価制度など不要との考えも根強いからだろう。

 確かに首長は、執行機関の意思決定権者としての審判を直接受ける。だが、議事機関で選挙の審判を受けるのは、意思決定権のある議会ではなく、権限を持たない議員個人である。つまり、選挙は議員活動に対する評価とはなり得ても、機関としての議会の活動に対する評価とは言い難いのである。

■評価結果公開と標準化の必要性

 自治体は二元的代表制とされ、執行機関と議事機関が対等、独立の関係にあるが、議会は執行機関の活動の監視を担うものの、議会を監視する機関は制度上存在しない。

 監視機関がないなかで、議会活動の正当性を市民に示すには何らかの客観的評価が求められるが、法的にはそのような制度も想定されていない。したがって、議会自ら評価制度を構築し、その結果を公開してこそ、有権者に対する説明責任が果たされるのではないだろうか。

 また、地方議会は国会や議会間相互の法的関係性がないがゆえに、独尊傾向にあることは否定できない。したがって、自分たちの議会を客観視し、全国における立ち位置を直視できる制度の必要性も感じる。

 その観点からは「政策サイクル推進地方議会フォーラム」の前身の研究会(注3)で策定された「地方議会成熟度評価モデル」は、経営品質の考えも取り入れ、標準モデルとなる可能性を秘めている。個人的にも今後の展開に期待している。

注3 「 地方議会における政策サイクルと評価モデル研究会」。

 

*文中、意見にわたる部分は私見である。

 

第79回 「政策をつくれる議会」に求められるものとは? は2023年6月15日(木)公開予定です。

 

 

Profile
早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員・前大津市議会局長
清水 克士 しみず・かつし
 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長、局長などを歴任し、20233月に定年退職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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大津市議会局長・早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員

しみず・かつし 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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