自治体DXといわれましても…とまどいながら自治体の情シス担当になった皆さんへ

地方自治

2023.04.07

『自治体情シス担当のシゴト』
編著者・自治体DX研究会 代表
遠藤芳行(東京都大田区職員)

「DX」の追い風をおさらい

新型コロナ禍は、「新しい生活様式」などさまざまな言葉を生み出しました。
その中で、日本が他の先進国に比べて新型コロナによる急激な社会状況の変化に対して、柔軟に対応できないことが明らかとなってしまいました。
その混乱ぶりは「デジタル敗戦」などとも呼ばれ、デジタル技術を使った業務改革、いわゆるDXという言葉が広く浸透し、その必要性が一般国民にも強く認識される大きな契機ともなりました。

特に、新型コロナ対策のための給付金支給、マスク配布、ワクチン接種などの対応のまずさが連日のように報道され、今まで職員自身も薄々疑念を抱いていた現在の行政サービスの仕組みが、先進国の中でも大きく立ち遅れているものだったとして、自覚させられたことと思います。

「我々は正確で公平な行政サービスを実現するために日々汗をかいてきたはずなのに、なぜこうなってしまったのか?」
などと、改めて自分のシゴトを見つめ返した自治体職員も多かったのではないでしょうか?

自治体の情シス部門の職員は、e-Japan戦略から今日までシステムを効率効果的に活用した行政サービスの実現に向けて、これまでも、時に庁内で孤立しながらも地道に努力してきました。
しかし、このコロナ禍によってDXがいきなり突風のような“追い風”となったのです。
いきなりの天変地異に戸惑いながらも、ようやく「情シスのシゴト」が脚光を浴び、DXを実行に移す時代が来たと感じたことは間違いありません。

全国の各自治体では、さっそく従来の「情シス担当」から「DX担当」へ衣替えを図り(別組織を立ち上げたところもあります)、業務内容を見直して組織を強化、なんて話を耳にしてきました。

 

これが自治体情シスのホンネ

そんな追い風とは関係なく、日本列島各自治体の東西、規模の大小にかかわらず、いずこの団体も人手不足の真っただ中。
特に、D(=デジタル)人材は、およそ行政職員が耳にしない謎のIT用語をしゃべる謎の宇宙人扱いされてしまう時代が長く続いてきた庁内で、そうそう簡単に即戦力が見つかるはずがありません。

さらに、従来の情シス人材はその特殊性から長期間人事異動もなく固定化、業務俗人化されている団体が多く、この上、X(=業務改革)の素養をあわせ持つ人材を求められてもとても無理というのが実情のようです。

仕方なく、外から専門家を迎え入れ、外部人材の活用だ! と、意気込んで民間から招聘したけれど、自治体のことに理解がなくてうまく活用しきれないなんて話を聞くことになる。
そもそも民間だって人手不足ですからね。

これは一朝一夕で解決する問題ではありませんが、少なくとも、まずは情シス部門に新しい血(人材)を入れてシゴトを廻し、新たな需要に対応する体制を構築しなければなりません。
感染症対策などの事態はいつまた深刻化するかもしれず、2040もすぐそこに迫っており、柔軟かつ効率的な行政システムの構築は急務なのですから!

しかし、自治体の異色職能集団=情シス担当に新人を送り込もうと思っても、そういった職員向けの入門書(外部人材の方々にとっては自治体の情シスのことを予習できる本)ってないのではないか? 
では、作ってしまおう!

ということでできあがったのが本書です。

 

バラエティーに富んだ執筆陣

今回の書籍のために集合した全国自治体の選りすぐりの「変態(←内輪のホメ言葉です)」たちは、出身自治体の人口規模は数千人規模の小規模から、数万人の中規模、そして大規模自治体とさまざまで、特に中小の規模の少人数担当部署を意識したメンバー構成としました。

さらに、情シス担当としての実績はもちろん、近年活躍が目覚ましい女性職員、さらに民間での職務経験も考慮して、多様な考え方を反映できるよう布陣を敷きました。

ただし、この執筆陣で1点だけ共通することがあります。
それは、いずれもSNSなどのネットワークを通じて全国の仲間を持ち、その人的ネットワークをフルに活用して活躍しているメンバーだということです。

そのためか、本書の中では何回か仲間づくりの大切さを訴える熱い想いがあふれてしまっていますが、その点はご容赦ください。

 

情シスのシゴトは総合格闘技!

熱い想いといえば、本書では細かな業務知識を伝えることには重点をおいてはいません。

各自治体によってシステム構成や置かれた業務状況、条件は千差万別ですし、技術動向は日進月歩ですから、それは研修やOJT、セミナー受講や自己研鑽を通じて必要な知識を日常的に手に入れていくしかありません。

むしろ、本書では、これから情シス担当、その担当の上司となられる管理職の方々に業務知識を取得する方法や学習するうえで前提となる基礎知識など、通常の技術書ではあまり入手できない情報をなるべくやさしくわかりやすくお届けすることに注力しました。

そして、著作陣が語り合い、執筆しながらたどり着いた結論。それは…、

“情シスのシゴトは庁内業務の総合格闘技である!”

なぜ総合なのか?
なにが格闘技なのか?
他の「シゴト」シリーズとは一味違う、型にはまらないシゴトだからこそほとばしる熱い想いを、文中で「あなた」や「皆さん」と語りかけてみました。

本書を通じて、この想いをぜひ感じ取っていただけたらと思います。
そして、想いを共有する自治体の仲間が一人でも増え、明るく愉しく前向きに共に手を携え、“風”に翻弄されることなく前進していけたらと、心から願っています。

 

書籍案内

『自治体情シス担当のシゴト』

自治体DX研究会/編著(発行年月:2023年4月、定価:2,530円(税込み)

ご購入はこちら

 

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