連載 vol.64「つながる」力 “できない”を“できる”に変える「つながり」のチカラ 【佐藤政直(北海道・美唄市職員)】
地方自治
2023.04.11
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2019年7月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
私は学生時代に台湾の元総統である李登輝氏の書籍に感銘を受け、地域活性化に尽力していくと決意し、美唄市役所に奉職した。今年度で奉職19年目を迎え、これまで幾多もの壁にぶつかり、諸先輩に助けられながら現在に至っているが、多くの皆様との〝つながり〟こそが、私の精神的支えになってきたことは言うまでもない。
若い頃は何か挑戦したいことがあっても、自分の身勝手な行動も災いし、それが実現に至らないことが多々あった。上司からは「佐藤は組織を理解していない」と言われ、「組織」を理解しようとすればするほど、「できない理由」ばかりが思い浮かぶようになり、考えが硬直して一層行き詰まった。
民間人出身で市長を2期8年間務めた髙橋幹夫氏は市民からの要望があれば、これまで「できない」とされたことでも、「どうすれば実現できるのか」という立ち位置から、財政健全化をはじめ数々の課題を解決してきた。モットーは「まちづくりは、ひとづくり」であり、美唄の明るい未来に情熱を注ぐ「人間」が集う「組織」の形成に力を注いだ。「組織」ありきではなく「人間」ありきの考え方に感化された。
志を持つ人は職場の外にもたくさんいた。民間企業で汗を流す同世代が美唄青年会議所(JC)で活動していることを知り、私も入会した。2017年度には第55代理事長という大役を担わせていただき、日本、そして世界各国の同志と〝つながり〟ができた。さらに、北海道内の基礎自治体のネットワークを強化させて、北海道の活性化を実現させようと活動する、道東は清水町職員である前田真さんとも〝つながり〟をいただいた。
結局のところ、「できない」という壁は、自分の中にだけあったのだ。〝志〟をとおして多くの人との〝つながり〟を形成し行動すれば、それは即ち「できない」という内なる壁が破られ、溢れんばかりの情熱とともに、地域活性化への価値ある一歩が刻まれた時に他ならないのである。何も心配することはない。見方を変えるだけ。同志は、すぐそばにいる。
(北海道・美唄市職員/佐藤政直)