自治体最新情報にアクセス DATABANK

ガバナンス編集部

自治体最新情報にアクセス|DATABANK2021 月刊「ガバナンス」2021年1月号

地方自治

2021.01.29

自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2021年1月号)

●LINEアプリを活用した新型コロナ対策を実施

 沖縄県(148万1500人)は、県民や観光客の新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて、20年10月16日からスマートフォンのLINE公式アカウント「RICCA(リッカ)」の運用を開始した。「RICCA」は、Real-time Interactive CORONA Catch Applicationの略で、「県民や観光客と県が、双方向にやりとりし、コロナの情報をキャッチするアプリケーション」と、しまくとぅば(県内各地域で受け継がれてきた、地域の伝統行事等で使用される言葉)で「一緒に」「共に」を表す「りか」を掛けたもの。

 具体的には、①県民や観光客が「RICCA」で施設やイベント会場などに掲示されたQRコードを読み取ると利用した施設等の場所・日時が登録され、②施設等の利用者に新型コロナウイルスの感染が確認された場合、必要に応じて同日同じ時間帯の利用者に県から感染者との接触可能性のお知らせをLINEメッセージで送信、③受信者に対して健康管理を十分に行うことと、体調不良の場合の相談窓口を案内する。利用には事前に「RICCA」の友だち追加が必要。

 一方、各施設やイベント事業者は、県HPもしくは「RICCA」のLINEトーク上から事業者登録を行い、発行されたQRコード付き「シーサーステッカー」をダウンロードして施設内に掲示する。

 LINEによる同種の取組みは全国各地で進められているが、利用者に観光客も含めたことや、QRコードを読み込めば感染症防止対策を徹底した施設の商品割引を受けられるクーポン機能を付加したのは全国初(1アカウントにつき1回のみ使用可)。県は感染拡大防止と社会経済活動の両立をサポートするインフラとして期待を寄せている。

(月刊「ガバナンス」2021年1月号・DATA BANK2021より抜粋)

●市内のホテル・旅館を避難所として利用

 熊本県人吉市(3万2300人)は、令和2年7月豪雨で被災した市内のホテル・旅館を応急的に補修し、20年10月1日から避難所として利用している。被災した市民の長期にわたる避難所生活を支援するとともに、新型コロナウイルス感染症対策として3密を回避するのが目的。避難所設置施設としたのは、ビジネスホテルあおやぎ、松屋温泉ビジネスホテル、丸恵本館、まちなかホテル丸一の4施設計56部屋。災害救助法に基づいて熊本県が応急補修し、市が避難所として借り上げたもので、管理運営は各施設が行う。市はその委託料として6000万円を予算化した。

 入所対象者は、①市の指定避難所への避難者で、自宅を応急修理中か、建設型応急住宅(仮設住宅)の申込みが済んでいる人、②指定避難所以外(自宅等)への避難者で、▷自宅応急修理の際に一時的に自宅を退去する必要がある▷賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)に入居が決まっている▷仮設住宅の申込みが済んでいる――のいずれかに該当する人。避難期間は20年12月31日までで、同日までに自宅または新たな住宅に移動できる人が入所できる。また、住宅が再建できた段階で速やかに移動してもらう。

(月刊「ガバナンス」2021年1月号・DATA BANK2021より抜粋)

●全国初「デジタル予算書」の運用をスタート

 新潟県柏崎市(8万2900人)は、デジタル技術を活用した「デジタル予算書」システムを日本で初めて開発し、20年11月より運用を開始した。これまで紙で作成していた予算書などをより分かりやすく、使いやすくするのがねらい。

 システムの特徴は以下の通り。

・予算・決算、事務事業評価などの情報を統合

・庁内各課で管理されていた情報を一元化

・予算の詳細情報や査定状況が簡易に閲覧可能

・「施策」「事務事業」「予算項目」など様々な角度から閲覧が可能

・「検索」や「絞り込み」により利便性を向上

・「地図情報」や「写真」など数値以外の情報で、分かりやすさを向上

・総合計画の進行管理情報と連携し事業内容や成果を同時に閲覧可能

 今回のプロジェクトでは、市の構想に基づき、オプテージ社が提供する行政経営管理コンサルティングサービスを適用。紙やPDFでの配布公開が一般的な予算書のデータ活用およびデータの可視化を通じ、高度な行政経営を実現するためのデジタル化を目指した。また、ウイングアーク1st社のBIダッシュボード(データ可視化ツール)「Motion Board」を採用することで、各情報の見やすさやアクセス性を向上。市職員や議員、住民が同一データを共有することで、住民行政間コミュニケーションの活性化を促進できるようにした。

 デジタル予算書は、21年2月中旬から市HPで公開予定。市では、このシステムを利用し、予算・決算、行政評価などの行政情報を統合データベース化することにより、統制の取れた行政経営を行っていくとしている。また、住民へ積極的に情報を公開することにより、住民の行政への関心を高め、まちづくりへの参加も促進していくとしている。

(月刊「ガバナンス」2021年1月号・DATA BANK2021より抜粋)

●「4パーミルイニシアチブ」で農産物のブランド化を図る

 山梨県(82万6600人)は、地球温暖化防止対策の一環として、果樹園の土壌に炭素を貯留して二酸化炭素濃度を低減する「4パーミルイニシアチブ」の取組みを開始した。4パーミルイニシアチブとは、世界の土壌中の炭素量を年間0.4%(4パーミル)増加させれば、人間の経済活動によって増加する大気中の二酸化炭素を実質ゼロにできるという考え方に基づく国際的な取組みで、15年のCOP21でフランス政府が提案した。日本も参画しており、県は20年4月に都道府県で初めて参加を表明。果樹王国である県の特徴を活かし、果樹園内での剪定枝を炭化・貯留して温暖化の抑制に貢献することにした。

 具体的には、「4パーミルイニシアチブ農産物ブランド化推進事業」として実施。剪定枝のチップ化・堆肥化に加え、炭化が二酸化炭素貯留により高い効果を発揮することから、剪定枝で「バイオ炭」をつくって土壌に投じていく。また、認証制度を創設し、二酸化炭素低減に貢献して生産された農産物を「環境に配慮した農産物」として付加価値を高めてブランド化を目指す。剪定枝の炭などを活用するための試験研究を進め、20年12月から現地実証実験を開始した。

(月刊「ガバナンス」2021年1月号・DATA BANK2021より抜粋)

●顔認証システムの社会実験を実施

 富山市(41万5800人)は、顔認証決済システムの社会実験を20年10月1日〜21年3月31日にかけて実施している。実験では、市内の飲食店や観光施設等に顔認証技術を活用した決済システムを導入し、事業者や利用客に利便性を体感してもらうとともに、同システムが観光動向に及ぼす影響などを検証する。

 システムを利用するには事前登録が必要で、スマートフォンから登録用WEBサイトにアクセスし、顔情報とクレジットカード情報などを登録する(スマートフォン用のQRコードが表示されるので、PCからは利用不可)。登録の完了後は、顔認証決済を導入している施設などで支払いの際に、設置されたタブレット端末に顔をむけると料金決済が完了する。サービス提供店舗は市内30か所で、そのうち中心市街地に20か所、岩瀬地区に10か所となっている。

 また、富山駅総合案内所横に「おもてなしサイネージ」が設置され、登録者がサイネージに近づくと、“ウェルカムメッセージ”が表示される。

(月刊「ガバナンス」2021年1月号・DATA BANK2021より抜粋)

●「被災者支援ナビ」を導入

 広島市(119万5800人)は、大規模災害が発生した際、被災者が被災状況に応じて受けることができる支援策(見舞金、税等の減免等)の一覧をスマートフォンから確認できる「被災者支援ナビ」を導入した。当面は、現在でも新規の申請がある18年7月の豪雨災害に関する支援策の情報を提供し、大規模災害が今後発生すれば、その都度追加していくことにしている。

 ナビでは、「住宅被害・再建」と「生活再建・支援」の2項目が表示され、「所有または居住する建物が被災した」「被災証明書の交付を受けている」といった質問で該当する項目をチェックすると対象となる支援策が紹介されるようになっている。

(月刊「ガバナンス」2021年1月号・DATA BANK2021より抜粋)

●「特定地域づくり事業」認定を目指して複業協同組合を発足

 島根県海士町(2200人)は、20年10月9日に海士町複業協同組合の創立総会を開催した。「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律」に基づく特定地域づくり事業協同組合の全国初の認定を目指すため、食品加工業や水産業、宿泊業などの町内5事業者で設立した。

 海士町複業協同組合は、特定地域づくり事業を活用し、地域の担い手不足を解消するとともに、複数の仕事を組み合わせた職員の複業(マルチワーク)化に取り組み、年間を通じた雇用と新たな働き方を創出する。また、組合員間(派遣先間)の業務の新たなつながりや組合員の魅力の再発見によって新たな事業や価値を創出し、複業による多種多様で新しい働き方をデザインできる地域を目指す。12月4日に、特定地域づくり事業協同組合に認定され、年内に事業を開始する予定。

(月刊「ガバナンス」2021年1月号・DATA BANK2021より抜粋)

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

W/Aコロナ時代の自治体職員

お役立ち

月刊 ガバナンス

2021年1月 発売

本書のご購入はコチラ

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

ガバナンス編集部

ガバナンス編集部

株式会社ぎょうせい

「ガバナンス」は共に地域をつくる共治のこと――これからの地方自治を創る実務情報誌『月刊 ガバナンス』は自治体職員、地方議員、首長、研究者の方などに広く愛読いただいています。自治体最新事例にアクセスできる「DATABANK」をはじめ、日頃の政策づくりや実務に役立つ情報を提供しています。2019年4月には誌面をリニューアルし、自治体新時代のキャリアづくりを強力にサポートする「キャリアサポート面」を創設しました。

閉じる