連載 vol.55「つながる」力 目の前の相手とのつながりや対話の大切さ 【宮崎真菜(静岡・牧之原市職員)】
地方自治
2023.02.07
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2018年10月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
ここでは、「地域における対話とつながり」について述べる。
私は、地域づくりは「市民皆で地域を良くすること。自分たちで決めたことに責任を持つこと」だと思う。その根底には「誰にも地域を良くする能力があり、権利が保障されている」という考えがある。答え合わせの教育で育ってきた私たちだが、社会に出ると、外から与えられる答えなどなく、幸せは自らの手でつくらないといけないし、一人では解決できないことに気づく。「一人暮らしのおばあちゃんをどうやって支えよう?」「幸せな子育て環境って?」という具合に。
地域で課題を考えようとするとき、そこには色々な人々が住んでいるが、まずはお互いに向き合い関係性を築くこと。そのプロセスに対話が起こる。対話とは、私自身は「異なる価値観を丁寧に共有すること」だと思う。普段気が合うと思っている人でも、違う意見を持つことは必ずある。違う人間だから全て分かり合うことは不可能でも、互いの異質性を受け入れ合うことで、関係性の質も対話の質も高まるのではないか。異なる他者がいてこそ対話が成り立つし、次のステップへ行けるのだと思う。
私は、今年3月までの3年間、市民協働の業務に携わり、2017年3月に小学校が閉校した片浜地区のまちづくりをお手伝いした。まちづくりに対する価値観等もこれまた人によって考え方が異なり、最初は、声の大きい地域の先輩に委縮する若者の姿も見た。しかし、区民同士あるいは区民と行政、時に喧嘩をしながら何度も対話を重ね、価値観の対立を越えて「片浜地区まちづくり計画」が完成した。現在は、空き家を地域の居場所として開放し子ども達が駄菓子屋を開店するなど、子どもと大人が楽しく取り組んでいる。
地域にも、個人にも、困り事は起こる。私たちは、困難を乗り越える力(レジリエンス)を育てていかなければいけない。地域を良くするための要素は非常に多くあろうが、私は、一人の市民としてできることとして、まずは目の前の相手とのつながりや対話を大切にしていきたい。
(静岡・牧之原市職員/宮崎真菜)