【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 vol.51 今週の担当:【東】千葉大右

地方自治

2022.10.06

「自治体×デジタル」を多彩な切り口からゆるっと考えてみる、現役&元自治体職員4名によるリレー日記。先週の【北】山形さんからテーマは「お金」に。DX分野のみならず、業務上、情報収集と勉強は大切ながら、「動きにくさ」の壁もある。そこで…、と【東】の千葉さん。(※本連載は毎週木曜更新です)

―――――2022年10月6日 Thu.―――――――

 

今回のお題は「お金」

10月に入り今年度も折り返しを迎えました。
月日が経つのは本当に早いですね。

10月といえば10月1日付けの異動があったり、人事評価の中間面談があったりと、節目を感じさせる出来事が続きます。

もうひとつ、本市では通称「意向調査」と呼ばれる人事に関する個人調査も10月に行われます。
4月の異動に向けた準備(?)はもう始まっているのです。

ということで、今回のテーマはみんな大好き人事異動の話かと思いきや、天の声は「お金」でした。

役所とお金、公務員とお金というと、「公金」と「公金ではないお金」の話に分かれるかと思いますが、私は皆さんの関心が高いであろう「公金ではないお金」の話をしたいと思います。

 

NPO法人は人とお金の「器」

前回(vol.47)少し触れましたが、私はとあるNPO法人の代表を務めています。
なぜ現役公務員がNPO法人を設立したのかは、自治体通信ONLINEの記事で紹介していますので、少し引用します。

  役所の外に飛び出し、民間の方も参加する勉強会などに参加するようになると、人のつながりが増えて活動の幅が広がっていきます。しかしながら、活動の幅が広がるのと同時に「動きにくさ」を感じることも多くなります。活動経費は個人の持ち出しですし、所属する自治体の肩書が常について回ります。こうした「動きにくさ」を「動きやすさ」に変えるひとつの答えがNPO法人の設立だったのです。
――自治体通信ONLINE 自著書評「自治体×ベンダー 自治体システム導入の「そういうことだったのか」会議」(https://www.jt-tsushin.jp/article/book-jichitaisystem_dgl/)より一部抜粋

お金の関係でいうと、「活動経費は個人の持ち出し」という現実が、NPO法人設立のきっかけでもあります。

皆さんの中にも同様に感じている方は多いのではないでしょうか。
「動きにくさ」の解決策として設立したNPO法人は、人とお金の「器」であるといえます。

 

気兼ねなく活動するために

例えば勉強会に参加するために交通費が必要だとします。
1回1,000円程度なら大した負担ではありませんが、遠方に出向くとなると結構な額になります。
飛行機や新幹線を使うとなると、交通費だけで数万円の出費です。

勉強会を主催する場合はもっとシビアです。
まず会場代が必要です。
参加者に会場代を負担してもらうとしても、参加人数によっては赤字になることもあります。

さらに勉強会終了後の懇親会を企画したとしましょう。
事前に参加者を募り、その人数でお店を予約します。
そしていざ当日になると、必ずキャンセルとドタ参が発生します。
ドタ参がキャンセル人数を上回れば問題ありませんが、下回るとこれまた赤字です。
もちろんキャンセルの方からキッチリ徴収すればトントンにできますが、商売ではないのでそこまでの対応はなかなかできません。

こうした「なるべく考えたくはないけれど避けては通れないお金の話」から解放され、気兼ねなく活動するための手段がNPO法人だったのです。

 

NPO法人による活動のスキーム

実際にNPO法人ではどのようなスキームで活動しているかというと、それはとても単純です。
収入は正会員と団体賛助会員の会費です。
これを元手に年度当初に事業計画を立て、事業を実施していきます。

先に例に挙げた勉強会を行うとして、それに必要な会場代は当然事業費から出すことができます。
会場代だけではなく、必要な機材や消耗品を買うこともできます。
個人活動だと手を出しにくいアイデアも気兼ねなく試すことができます。
気兼ねなく試せますから、よりよいアイデアが出て事業のクオリティが上がります。

結果として参加者の満足度が上がり、次回の集客につながります。

こうして事業がうまく回ると、団体賛助会員の支持を得ることができ、翌年度の事業費につながるのです。

公務員個人がスポンサーを見つけて同様のことをすれば、おそらく様々な問題が生じるでしょう。
これは、公務員個人とは別人格であるNPO法人があればこその活動だと思います。

 

法人活動のススメ?

簡単ではありますが、NPO法人による活動の一端をご紹介しました。

もしあなたが仲間となんらかの活動をしており、お金の面で「動きにくさ」を感じているとしたら、こうした法人活動へのシフトが解決策になるかもしれません(もちろん所属先への確認は必要です)。
もっと詳しく聞いてみたい! という方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

来週もまたデジデジしてくださいね~。

 

~次回の日記は10月13日(木)に更新予定です!~

 

バックナンバーのご案内


バックナンバーはコチラから。

執筆陣のプロフィールはコチラから。

 

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

閉じる