【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 vol.29 今週の担当:【東】千葉大右

地方自治

2022.04.28

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。

―――――2022年4月28日 Thu.―――――――

 

ゴールデンウィークですね

明日からゴールデンウィークです。ゴールデンウィークは映画業界が作った言葉なので(諸説あり)、NHKでは「大型連休」と呼ぶそうです。いわれてみればそんな気がします。

そんなゴールデンウィークもwithコロナとなって3回目。コロナ禍での生活に慣れてきた世間では、きっとそれぞれが工夫して、コロナ禍なりにゴールデンウィークを楽しむのでしょう。人生、楽しみがないとつまらないですもんね。
ちなみにゴールデンウィークといえば、年末年始と双璧をなすシステム更新のタイミングなんですが、これはまた別の機会に触れたいと思います。

 

住民ニーズとは

「おいおい、ゴールデンウィークに誰もが休んでいると思うなよ!」

そう思ったあなた。はい、存じております。最近では休日開庁も増えてきました。ゴールデンウィークは意外と引越しも多いですから、連休の間に手続きを済ませたいというニーズは多いと思います。

民間事業者が行ったアンケート調査の結果(※)によると、行政手続きで感じる不便さの第2位が「休日や夜間に手続きができない」だそうです。

※トラストバンク、「行政手続きのデジタル化に関するアンケート」結果を発表【全国1,089名に調査】約7割が行政手続きに「不便さを感じた経験あり」行政手続きのオンライン完結サービスを約8割が「利用してみたい」
https://www.trustbank.co.jp/newsroom/newsrelease/press365/

ちなみに第1位は「自治体の窓口に行かなければならない」ですので、「いつでもどこでも手続きができる」ということは、地域や世代を問わない住民ニーズだといえます。

「自治体の窓口に行かなければならない」は、今後オンライン申請が普及するにつれて解消されるでしょう。とはいえ、どんな手続きでもオンラインで可能になるにはまだまだ時間がかかるでしょうし、窓口で説明を聞きながら手続きをしたいというニーズもあると思います。
したがって、「休日や夜間に手続きができない」という不便さの解消を、オンライン申請と合わせて進めていく必要があると感じています。

 

夜間休日開庁の是非

本市の船橋駅前総合窓口センターは、2003年の開設当初から、平日は午後8時まで、第2・第4土曜日とその翌日の日曜日及び祝休日は午後5時まで開庁しています。取り扱う業務数も本庁に引けを取らず、「ミニ市役所」との位置づけで市民サービスを提供してきました。

一方で、夜間休日開庁は従事する職員に結構な負担をかけます。経験者の方はおわかりいただけると思いますが、シフト勤務は勤務時間以上にツラいものです。
早番・遅番の繰り返しや5日を超える連勤は、トータルの勤務時間が変わらないとしても、通常勤務より体に堪えます。
また、代休が取れなかったり、シフトの穴埋めのため一日通しで勤務したりすることもありました。

こうした労務管理上の課題もあるためか、恒常的に夜間休日窓口を設けている役所はそれほど多くはありません。

 

リソースは有限である

そんな夜間休日窓口ですが、過去に埼玉県吉川(よしかわ)市の市民サービスセンターを知ったときは、目から鱗が落ちました。

吉川市の市民サービスセンターは、土・日曜・祝日を開館日とする一方で、月・火曜と祝日の翌日を休館日としています。
あくまで想像ですが、「土・日曜を開庁することで利便性を提供しますから、月・火曜に手続きをしたい方は本庁までご足労願います」という考え方なのでしょう。

住民サービスの向上=プラスアルファとしか考えていなかった自分には、とても新鮮でした。
同様に、負担を少なく夜間窓口を実現するならば、開庁時刻を遅らせるということが考えられます。営業時間が8時間を超えないようにすれば、早番・遅番のようなシフトを組む必要もありません。

今後、労働力人口は減少し、公務員の数も減っていくといわれています。
すでに確保が難しくなっている地域もあるでしょう。
このような状況下では、あれもこれもという従来のやり方を見直さないと、職員への負担はますます増えるばかりになってしまいます。

自分を大切にできない人は、知らず知らずに我慢を周りにも強いてしまうものです。
ゴールデンウィークに出勤される皆さま、お役目が済んだらぜひ休みを取って自分を労ってください。
きちんと休むことも、仕事をするうえでの大切なスキルですよ。

それではまた来週。デジデジ!


※次回vol.30は、2022年5月12日(木)公開です。

 

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