東西南北デジデジ日記 vol.28 今週の担当:【南】今村寛

地方自治

2022.04.21

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記です。今ターンの日記は、公務員界の新年度の風物詩「人事異動」を切り口にお届け中。執筆陣が自身の公務員史を振り返りつつ、「庁内の人材」についても考えます。

―――――2022年4月21日 Thu.―――――――

 

また異動してしまいました

この春の人事異動でまた職場が変わってしまいました。

一昨年の交通局、昨年の教育委員会に続いて、この度、福岡地区水道企業団という組織で福岡都市圏の水道水を供給する卸売業を営むことになりました。
平成3年の市役所入庁以来、32年目で16か所目の職場で、行政分野でいっても水商売は初めての経験です。

しかし、それにつけても公務員というのはオールマイティのゼネラリストを求められるのだなと改めて感じますね。

私は行政事務という職種で市役所に入りましたが、まさかこんなに多岐にわたる分野で仕事をすることになるとは入庁時に思っていませんでした。

公務員業界では恒例の人事異動について、千葉さん多田さん山形さんとそれぞれこの交換日記のなかで触れられていますが、私も自分の異動遍歴を振り返ってみたいと思います。

 

20代の私が過ごした職場

私の最初の職場は、環境局環境保全部産業廃棄物指導課。
産業廃棄物の収集運搬・処分に関する業の許可や業者指導、不法投棄事案への対応などを行う職場でした。

水質や騒音、大気汚染などの環境監視や環境アセスメントを担当する課と席を並べるこの環境保全部は、衛生管理職と呼ばれる化学を専門とした職種の方々が大半を占め、文系の私が苦手とする化学物質の名前が連呼される職場でした。

事務屋が少なかったので、「あんた法学部やろ」と廃棄物処理法その他業務に関する関係法令を読みこんで上司にレクチャーするのは私の仕事。
六法すらまともに勉強していない私にとって、環境関連の個別法はちんぷんかんぷんでしたが、新人の私に任せてもらったおかげで3年も経つとそれなりに読めるようになり、法律のことを語れるようになりました。

3年経って異動した2つ目の職場は都市整備局都市計画部都市計画課。
都市計画法に基づき、用途地域等による土地利用の規制・誘導や、道路、公園、下水道等の都市施設の計画的配置・整備、区画整理や再開発などの都市計画事業の施行のための都市計画決定手続きを担当しました。

たくさんの土木職、建築職の皆さんに囲まれ、都市計画決定が必要な施設や事業の青焼きの図面と格闘する毎日。
ここでも門前の小僧はたくさんの習わぬ経を読み、福岡のまちづくりの骨格がどうやってできあがったか、これからどんなまちにしていこうと思い描いているのかを体感するとてもダイナミックな4年間で、その後区役所の保護課にケースワーカーとして異動する際には「あんた、土木屋じゃなかったと?」と聞かれるほどどっぷりとまちづくりの血と汗が染みこんでいたのが今でも心に残っています。

 

マイノリティの立場が鍛えてくれた

考えてみると私は新人で採用されてから2つの職場で過ごした7年間、技術職の大勢いる職場でマイノリティの事務屋として鍛えていただいたことでとても知識や関心の幅が広がりましたし、自分の奥行を掘り下げることができました。

事務屋ばかりの職場では触れることがない技術的、専門的な話題に常に触れ、そういう職種独特の世界観、価値観に触れながら育ててもらったことで、私にも普通の事務屋にはないものの見方が身に付き、それはその後、事務屋ばかりの職場、特に財政課で予算査定や施策事業の調整をするうえで最強の武器になりました。

また、事務屋が少ないという環境下では、自分の専門分野として期待されている法律や行政事務について他人に頼ることも新人だからと甘えることも許されず、自分で掘り下げていかざるを得なかったことも、仕事のなかで関係する法令等を自分で勉強していく術を身に付けることができ、どんなに知らない分野の職場でも適応できる今の自分をつくってくれたと思います。

そしてなんといっても、技術職の先輩方と一緒の釜の飯を食い、その仲間として認めてもらえたことが私の役所生活の財産になりました。
若いころは事務屋の先輩後輩が少ないことがやや気になっていましたが、そんなのはあとでいくらでも増えていきます。

それよりも、若いころにご一緒した技術職の先輩方がその後市役所のあちこちで活躍し、私が財政課の係長や課長になり全庁的な調整をしなければいけない局面でずいぶんと助けてもらいました。

それは決して、昔の縁でただ知っているからということではなく、

「今村は若いころに一緒の釜の飯を食い、技術職の理屈や感覚がわかっている。だから、あいつの言うことは信用できる。あいつならちゃんと話せばわかる」

そう思ってもらえたことで、たくさんのアドバイスをもらい、私の調整案も聞いていただき、助けてもらったということだったと思います。

 

混ぜ込みごはんは好きですか

役所にはいろんな職場があって、分野によっては専門職集団として人材を抱え込む事例もたくさんありますが、前述のような経験を踏まえて思うのは、「混ぜ込む」ことで互いの味が絡み合い、それぞれの味を引き立てることになるということ。

デジタル人材もまた同じ。
旗振り役として、あるいは技術的助言を行う立場として一定の専門人材を固めることも組織論としてあり得る話だと思いますが、それぞれの職場に少しずつ混ぜ込み、その場所で多様な人材が頼り頼られ協力し合い、互いに刺激しあうことで個人も職場も成長していく。
この春の人事異動で新たに誕生した全国の職場で、そんな職場づくりが進んだらいいなと思っています。

今回は春の人事異動スペシャルということで、前回少しだけ触れていた新しいネタは次回展開したいと思います。

千葉さん、多田さん、山形さん、新たなネタをふりますよ。
ちゃんと受け止めてくださいね。ではまた次回。デジデジ!

 

★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/

★そのほか、自治体財政の話、対話の話など、日々の雑感をブログに書き留めています。
https://note.com/yumifumi69/

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千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

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