東西南北デジデジ日記 vol.27 今週の担当:【北】山形巧哉

地方自治

2022.04.14

東西南北のそれぞれで奮闘する現役自治体職員と元自治体職員4名によるリレー日記。タイトルに冠しているとおり、テーマはデジタルなれど、小難しいこと抜きに、多彩な切り口で「自治体×デジタル」を考えてみよう、な日記で公務員の人事異動をめぐる是非がありながら、今って実は新陳代謝が必要なんじゃ…?  と【北】の山形さん。

―――――2022年4月14日 Thu.―――――――

 

人事異動

千葉さん多田さんも、人事異動の話題かあ。

そういえば僕も、1年前は「今回は異動あるかな?」と考えていた一人でしたが、むしろ今は自分から何かに首? 手? 足?を入れてみないことには何も始まらない立場になってしまいましたが、人事異動って結果としてなんだったんだろ。

 

短いほうがいい? それとも長いほうがいい?

デジタル界隈だけではないと思うのですが、この時期には、

「●●町の○○さん、異動になっちゃったから、しばらくの間、事が進まなくなりそうだねえ」
「▲▲市は△△さんが異動になってから話が噛み合わなくてつらい」
「今の■■町はやる気が感じられない」

といったような話をよく聞きます。
この人事異動の話と一緒に、ここ数年は、

「行政は異動があり、そこでリセットされてしまうから、スペシャリストを養成するためにもう少し人事を考えたほうがよい」

という論もセットで聞こえることもあります。

僕は18年という期間、役所で情報担当をしていたおかげで、ある一定程度以上の知識と経験を積ませていただいた一方、組織の新陳代謝を阻害してしまっていた側面も持っていたんじゃないかなと感じています。

 

情報担当って物知りだよね

多田さんも言及していましたが、役所の人事異動はジャンルの全く異なる仕事をすることもあるので、転職に近い感覚というのは僕もそう思っています。
(もしかすると民間企業でも同じようなものかもしれませんが、役所の場合は主語が「住民の生活」というそもそもが広い分野の仕事なので、よりこう感じてしまうのかなとも思います。)

そのくらい、やっていることは多岐にわたるということです。まあ当たり前ですよね。人の生活なんですから。

役所にはこのような前提があるため、いろんなところで「行政のデジタル化」は叫ばれますが、実は簡単なものではなく、「デジタル化」といってはさまざまな部署に呼ばれる情報部門の人たちは、「デジタル化」するために、その業務や制度をある程度理解するのに必死で学んでいます。

こうして情報担当は「庁内の物知り・便利屋」的な立ち位置を確保していくわけです。

自治体の規模による業務手法の違いはあれど、大体のところはこんな状況になってるんではないかなと想像してます。

 

新陳代謝は必要っぽい

前述のとおり、僕は18年間情報担当だったおかげで、さまざまな相談が来ました。

最初のうちは知識が少なく、議論が発生させつつもよりよいものを作れていた気がしていました。
しかし、公務員キャリア終盤になると、「とりあえず、あいつが言ってるんだから間違いないだろう」「あいつに任せとけば大丈夫だろう」、また、逆に「あいつに言うとすぐネットとか効率とかの話になるから、言うのやめとこう」などと、いろんなバイアスがかかってきた気がします。

退職後は、極力、町の行政には関わり合わない(というと語弊がありそうですけど笑)ようにしていますが、僕が退職してからは部署の増強が行われ、新しい取り組みも始まる話も聞きますし、なにより、各部署がそれぞれでデジタル化について考え出しているとも聞きます。噂ですけど。

くやしいかな、DXやデジタル化を阻害していたのは、僕だったかもしれない。笑

 

組織はどうあったらいいんでしょう

人事担当をやったことないのであくまでも私見ですけど、僕は、行政内の人事異動はやっぱりあったほうがいいと思っています。

一時的にはその知識量は減ってしまう(そうじゃないと僕がやってきたことも自分自身で否定してしまうし)でしょうが、そこから新しいことも生まれる、生まれようとするでしょうし。

ただ、今から話すことが一番重要じゃないのかなと思うんです。
人が足りないから配置する、部署に長くいるから変えるのではなく、しっかりと職員一人ひとりのキャリアパスを考え、ルートを定めるべきではないかなと思うわけです。

なんとなく、地方行政の異動って(とはいえ僕は小さな自治体しか知らないながら)そこを考えられずに行われているケースが多いのではないかなあと感じる次第です。

業務にしても、新しく生まれた芽を、どういう人だとどう育てていけるのか、また、その芽をどう育てていきたいのか。

人員が少ないなか、即戦力がほしいのも理解できますが、知識も乏しい新人職員をいきなり配置してなんの研修も行わずに、「背中を見て覚えろ」「OJTだ!」では厳しいものがあります。
むしろ、そこの研修で、デジタル化三原則などをちゃんと伝えておくといいんじゃないかなあと思います。

 

川の流れのように

今の行政の仕組みは紙と鉛筆に最適化された仕組みですが、もう時代は変わっています。
周りは変わっているんだからちゃんと新陳代謝しないとならないとなあ。

降り注いだ雨は山から川に入り、海に行き、また雲になって雨になり、地球レベルでもちゃんと循環しています(話デカイ)。
首都圏でのデジタル活用と地方部でのデジタル活用の差は開く一方ですし、地方部の人はもっともっと減っていきますし。

デジタル技術はちゃんと使っていかないとなりません。
あれ、なんの話だったっけ?
ああ、人事異動でした笑

ということで、新陳代謝が適正に行われると、新しい細胞や新しい芽が生まれます。
その芽が街を形成していくことになるんでしょうから、今すぐに変えるのは無理にしても、ちょっとずつ変化させていけたらいいですよね!

ではまた次回。デジデジ!

 

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千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

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