連載 コミットメント ── 他責から自責文化の自治体職員 第17回 「ジブンゴト」の先にあるもの【片山久美(神奈川・小田原市職員)】
地方自治
2022.05.17
本記事は、月刊『ガバナンス』2017年10月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会の修了生(マネ友)のメンバーがリレー形式で執筆します。
「ジブンゴト」にするためには
今、私のまわりで自主研があふれている。一自治体単独で行う勉強会や、広域のネットワークを活かした大規模なワークショップなど、内容も人数も様々だ。かくいう私も、神奈川県内の若手職員による自主研究グループ「K33ネットワーク」の立ち上げに関わりすでに9年が経とうとしている。
自主研で得られる充実感や、前向きで意欲にあふれる仲間とのつながりは何にも変えがたい。しかし一方で、「勉強だけしていても本業に活かせなくては意味がないのではないか」という自問自答が常に頭の中を付いて回っていた。
そんな時、参加したのが「人マネ」だった。漠然とした地域や組織の「あるべき」論は語ってきたが、自らの市の「ありたい姿」を本気で考え、それを実現するために実際に行動し、組織にぶつけることは初めてだった。若手職員とともに小田原市の未来についての提言を考え、市長に発表した。自分が変わり、組織も少しではあるが変わったと思う。これを続けていくことがゴールだと思っていた。
しかし、市役所の外に目を向け地域活動に参加してみると、それがゴールではないことに気づいた。
地域では、活動に必要な資金を調達する人、課題解決に必要な斬新なアイデアを提供する人、人の心を動かすようなチラシやウェブをデザインする人、いろいろな考えを持つ人々や組織をマネジメントする人など、多くの人材を必要としている。
そのような中で今の自分にできることは驚くほど少ない。「地域の魅力をアップするような企画を10個考えて実現して」と言われても自分一人では何もできないのである。それは、私が地域のことを「ジブンゴト」化できていないからだと思う。
「ジブンゴト」にするためにはどうすれば良いか。「人マネ」で学んだように、まずは地域を知り、人を知り、地域のあるべき姿を考え、公務員という立場を超えて一住民として自分にできること、やるべきことを見つけていくことが必要だと思う。日々試行錯誤する毎日である。
(神奈川・小田原市職員/片山久美)