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自治体最新情報にアクセス|DATABANK2022 月刊「ガバナンス」2022年3月号
地方自治
2022.03.31
目次
自治体最新情報にアクセス DATABANK
(月刊「ガバナンス」2022年3月号)
●抗原検査キットの市内事業所への配付事業を実施
埼玉県戸田市(14万1000人)は、濃厚接触者となったエッセンシャルワーカー(社会機能維持者)の早期復帰に必要となる抗原定性検査のためのキットの配付事業を1月18日から開始した。エッセンシャルワーカーが濃厚接触者となった場合、抗原定性検査等の実施で自宅待機期間を短縮できることになった厚生労働省発出の一部改正事務連絡を受けて実施したもので、入手困難となる可能性がある検査キットを市が確保して配付する取組み。また、希望に応じて一定量の検査キットの常備用としての配付もあわせて行った。市内事業所の事業継続を支援して社会機能の維持を図るのがねらいで、全国市町村初の取組みとみられる。
対象事業所は、検査キットの配付を希望する事業所で、厚生労働省の抗原定性検査に関するガイドラインや検査キットの説明書等の内容を理解し、検査の実施や結果判定等を行う検査実施管理者を置く事業所。濃厚接触者の従業員に対しては、陽性者と最終接触した日から6日目と7日目に検査し、検査結果が陽性の場合は医療機関を受診させ、両日とも陰性の場合には自宅待機期間は解除される。ただし、10日目までは業務従事以外の外出や通勤時の公共交通機関の利用をできる限り控えるよう指示する。体調不良者に対しては、迅速に検査を実施し、陽性者は直ちに医療機関を受診させ、地域での新型コロナウイルス感染症の蔓延を防止するとともに、陽性者の重症化リスクを低減する。従業員の体調管理に対する意識の向上も図っていく。
富士レビオ㈱の検査キット「エスプライン® SARS-CoV-2」
(月刊「ガバナンス」2022年3月号・DATA BANK2022より抜粋)
●「飲酒運転の根絶を実現するための条例」を制定
千葉県(632万2900人)は、「飲酒運転の根絶を実現するための条例」を制定した。21年6月に八街市内で下校途中の児童の列に飲酒運転のトラックが衝突し、5人の児童が死傷する交通事故が発生したことを受け、県・県民・事業者などが一体となって飲酒運転の根絶に取り組むことをめざして制定したもの。
条例は、飲酒運転の根絶に取り組む決意を表明した前文と全18条で構成。飲酒運転根絶のための施策を総合的に推進し、飲酒運転のない地域社会の実現を目的としている。その実現に向け、知事・県議会議員・県の特別職と職員など公職にある者が率先して飲酒運転根絶に取り組むことを明記するとともに、県、県民、事業者、飲酒店営業者、酒類小売業者、タクシー事業者及び運転代行業者、駐車場所有者等、イベント等主催者の責務等を規定。その上で、県民が飲酒運転者を発見したときや飲食店営業者等が客等の飲酒運転を確認したときなどは警察官に通報するよう努めることなどを定めている。また、教育及び知識の普及、再発防止措置、情報提供、千葉県飲酒運転根絶連絡協議会の設置、表彰について規定しており、22年1月1日から施行した。
(月刊「ガバナンス」2022年3月号・DATA BANK2022より抜粋)
●仮想空間で中学生消火隊の訓練を実施
東京都足立区(69万1000人)は、NTT東日本東京事業部東京東支店とともに仮想空間(DOOR™)を活用した「中学生消火隊」の合同訓練を実施した。DOORはNTTが提供するVR空間プラットフォームで、合同訓練はGIGAスクール端末を用いて行った。
区は次世代の地域防災リーダーの育成に向けて区内全37中学校で中学生消火隊を結成し、09年度から消防署と協働で中学生消火隊の合同訓練を行ってきた。だが、20年度は新型コロナウイルスの感染拡大によって中止となり、21年度も感染拡大が続いていたことから、新たな合同訓練のスタイルとして仮想空間で訓練を行うことにした。訓練は、仮想空間内に「区役所」「学校」「体育館」「消防署」「警察署」「災害発生地域」をイメージするエリアを作成し、各エリア内で生徒がアバター(分身)を操作。中学生消火隊の活動や消防士による実際の救助活動などの動画を配信し、災害に関する謎解きやクイズも出題しながら進めた。また、区長や消防隊員のアバターも作成し、消防士との質疑応答を行うなど、仮想空間でのコミュニケーションも図った。当日は11校88人の生徒が参加した。
(月刊「ガバナンス」2022年3月号・DATA BANK2022より抜粋)
●WEBサイト「財政見える化ダッシュボード」に公民連携提案機能を実装
横浜市(375万9900人)は、市のWEBサイト「横浜市財政見える化ダッシュボード」に機能を追加し、民間事業者が各予算事業に対して公民連携の提案ができるようにした。公民連携提案が可能な財政情報ダッシュボードWEBサイトの実装は全国初という。
1800を超える市の各予算事業ページに「公民連携提案ボタン」が追加されたことで、民間事業者が事業に寄り添った提案ができるようになった。市では、公民連携提案機能の追加により、各予算事業の目的や必要性を踏まえた、より受け止めやすい提案を呼び込めることを期待しているという。
財政見える化ダッシュボードは、行政分野ごとに、どのくらいの予算が使われているか、どういった事業が行われているのか、なかなか知りたい情報にたどりつかないといった声に応えるべく、また市の予算や取組みについてより身近なものとして感じてもらうために、WiseVine社と連携して新たに開設したもの(21年9月に予算情報などを先行公開)。
市では今後、3月末を目途に、22年度予算の情報をWEBサイト上に反映させる予定。
(月刊「ガバナンス」2022年3月号・DATA BANK2022より抜粋)
●ごみ排出に関するAI電話相談の自動化に向けた実証実験を開始
大阪府守口市(14万3500人)は、官公庁・自治体のDX推進支援を行っている専門組織「GovTech(ガブテック)開発センター」と連携し、AI電話自動応対サービス「ごみの窓口AI電話エージェント」を活用した実証実験を開始した。公民連携の取組みによるごみ排出に関する応対の自動化の実証実験で、ごみの分別に関する電話応対においてAI音声対話サービスを導入するのは、全国初の取組みという。
「ごみの窓口AI電話エージェント」は、ごみの排出に関する電話の問い合わせに対して、分別方法や、収集日の案内をはじめ、年末年始の収集スケジュールなどに関する回答をAIによる音声対話形式で自動応答する。いつでも問い合わせ対応が可能となり、複数回線の同時接続によって待ち時間なく電話接続ができる。
市では現在、ごみの分別等の相談に対してチャットボットを活用するなど、DXによる情報発信の拡充を推進している。しかしその一方で、電話による相談件数も依然として多い状況にある。こうした問い合わせについて、24時間対応を可能とすることで、市民サービス向上を図るとともに、対応における事務の効率化も図ることを目指している。
(月刊「ガバナンス」2022年3月号・DATA BANK2022より抜粋)
●ビッグデータを活用した健康予測AI等の新機能を府提供の健康アプリに追加
大阪府(883万9500人)は、府が提供する健康アプリ「アスマイル」に、健康予測AIや体温・体調記録機能など、いくつかの新機能を追加した。
アスマイルは現在約26万人が登録している健康アプリで、今回の新機能追加は、一人でも多くの住民に利用され、健康づくりを行ってもらうとともに、自身の特定健康診査の結果により関心を持つきっかけとなることを目指している。
新機能のうち健康予測AIは、アスマイル国保会員向けの機能となる。健康予測AIは、府が大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターに委託し、開発したもので、生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧)の将来の発症確率を健康予測AIが算出する。ここでは、約6年分の大阪府域の市町村国民健康保険被保険者の特定健康診査データ等のビッグデータを活用しており、機械学習(AI)によって構築した3疾病の発症確率の予測モデルを用いている。
また体温・体調記録機能は、全てのアスマイル会員向け機能であり、毎日の健康記録に「体温」「体調」の記録項目を増やし、体調変化への気づきと、自身の健康・新しい生活様式への意識を高めるきっかけづくりにしてもらう。
(月刊「ガバナンス」2022年3月号・DATA BANK2022より抜粋)
●CO₂削減を目指しカーボンニュートラルLNGの受け入れを開始
松江市(20万800人)は、市ガス局とENEOSとの間でカーボンニュートラルLNGの売買に関する契約を締結し、その受け入れを開始した。
カーボンニュートラルLNGは、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスを、環境安全プロジェクトにより創出された「CO₂クレジット」で相殺することで、地球規模では、この天然ガスを使用してもCO₂が発生しないと見なされる液化天然ガスのこと。市ガス局が購入予定のカーボンニュートラルLNGは、海外の森林保全プロジェクト由来のCO₂クレジットを活用しており、採掘から燃焼までに発生するCO₂を、植林や保全を行った森林のCO₂吸収量で打ち消す。CO₂クレジットは、環境保全等のプロジェクトにより創出されたCO₂削減効果を、信頼性の高い検証機関が認証したもの。
今回の契約では、都市ガス製造設備等で使用する都市ガス1年分に相当する量の受け入れを予定しており、約86tのCO₂排出量削減に貢献するという。市では今後、CO₂排出量削減に取り組む公共施設や事業所等の環境対策の一助となるよう、カーボンニュートラルな都市ガス販売の検討を進めていくとしている。
(月刊「ガバナンス」2022年3月号・DATA BANK2022より抜粋)