【リレー連載】「自治体×デジタル」を考える 東西南北デジデジ日記

千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

東西南北デジデジ日記 vol.8 今週の担当:【南】今村寛

地方自治

2021.12.02

東西南北のそれぞれで奮闘する自治体職員4名によるリレー日記。行政のデジタル化加速とはいうものの、「そもそもどこから始めたらいいの?」。テーマはデジタルなんぞを掲げていますが、まあまあ肩ひじ張らず、コーヒーでも飲みながらどうぞ、な雰囲気でお届けしています。ふと思うことがあります。テレビとかパソコンとか“新種”がやってきたとき、「オソロシイもの」みたいな印象ってあったっけ、と。「なんかワクワク」みたいな気持ちが勝っていたような。

―――――2021年12月2日 Thu.―――――――

今週の日記担当 北 NORTH 山形巧哉 やまがた・たくや 森町 Mori/HOKKAIDO

 

伏線番長にお手上げ

おっさん4人による週一の交換日記も4人×2回=8週目。
4週間に一度の寄稿ということでずいぶんゆるく構えていましたが、回ってくるのはあっという間ですね。

おまけにみんなデジタルの技術やサービスの話には目もくれず、ひたすら謎の伏線を張るばかり(笑)。
伏線番長、多田さんの「のび太くん」はほぼ予想どおりでしたが、「5+2=7」に至っては全くのお手上げです。
嵐のメンバーが2人増えるのか、週7日働けってことなのか。

山形さんはこの謎解きに成功したようですが、やっぱりDXの第一線を走っている人たちとは頭の回路が違うのかな、などと思いつつ、頭をひねってもかすりもしそうにないので今回も独自路線を歩むことにしますね。

 

絶海の孤島に暮らす

連載開始から常に、千葉さん、多田さん、山形さんから投げかけられているのは、DXのことを専門家だけに任せないでほしい、DXは特別なことじゃないというメッセージです。

世の中はすでに電子データとインターネットなしでは生活できないデジタル社会。
私たちはその恩恵を当たり前のように享受し、そうでなかった時代に戻ることなど想像もできないほど社会は変わりましたが、その変革から取り残された絶海の孤島が我々お役所ムラ。
紙とハンコに支配された旧態依然の世界に我々は暮らしています。

ネット通販、テレワーク、SNS等を駆使し、自宅だろうと世界中どこにいようと、ほとんどすべての生活サービスを居ながらにして受け、情報発信することが可能な世の中なのに、役所だけは未だに「紙」と「ハンコ」と「窓口対面」が原則。

なぜ、我々お役所だけがこんなに変わらないのか。
変えることができないのか。それとも変わりたくないのか。
変わらない理由はどこにあるのでしょうか。

 

変わらない。変われない

公務員に染み付いた変化を嫌う保守的な体質。それは決して職員個人の資質ではなく、むしろ公務に対して市民が持つ期待感に由来する組織的体質です。

「役所のやることに間違いはない」
「役所は市民を公平公正に扱う」

市民の抱く公務の無謬性と公平公正性への期待は、時として我々公務員をきつく縛ります。
失敗への恐れが挑戦の意欲をそぎ、業務の正確着実な履行への責任感が、縦割りの壁を超えることを躊躇させる。

自らに与えられた,まるで精密機械のような役割分担を忠実にこなすことが市民の期待に応えることだと信じる公務員が大多数のお役所ムラでは、変革よりも安定が求められ、組織内でそれが正論として確固たる地位を築いていることが、変わらない役所、変われない公務員を生み出しつづけているのです。

しかし、市民は本当に変革よりも安定を求めているのでしょうか。

 

過剰な恐れを捨てて

役所が失敗してはいけないと頑なに現状維持にこだわることは、市民への過剰な恐れからくる誤解であって、市民の抱く本当の期待ではないのではないでしょうか。

千葉さんは、失敗を恐れる役所ではスモールスタートを行うことが難しいと語りました。

多田さんは、そんな中でも「のび太くん」としてできないこと、困ったことを明らかにすることで周囲の知恵を引き寄せることができると書きました。

財政運営がますます厳しくなる地方自治体においてサービス存続の岐路に立たされたときに行政がどんな舵を切るべきかという山形さんの問いは、市民がその岐路に立たされていることを自覚したときには、デジタルという変革の選択に失敗を恐れずに挑戦することを、市民はきっと支持してくれるはずだという信頼と期待がにじんでいます。

市民は変革による利便を求めているのではないか。

その変革のためであれば多少のトライ&エラーは許容してくれるのではないか。
それは実際に市民に聞いてみればわかる話です。

市民からの期待に応えようと肩に力が入りすぎて変革への挑戦を躊躇し、本当の期待に応えることができていない。
我々公務員は「コミュ障」だなーとつくづく思いますね。

といったところで今週もお時間がきてしまいました。
伏線番長の仕掛けた謎解きは千葉さんにお願いします。

それではまた来週。デジデジ!

 

★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
 https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
 https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/

★そのほか、自治体財政の話、対話の話など、日々の雑感をブログに書き留めています。
 https://note.com/yumifumi69/

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