東西南北デジデジ日記 vol.4 今週の担当:【南】今村寛

地方自治

2021.11.04

東西南北でそれぞれ奮闘する自治体職員4名によるリレー日記。行政のデジタル化加速が迫られるなか、「そもそもどこから始めたらいいの?」とお悩みの皆さんに捧げるIT系ほっこり日記。デジタルのアレコレを起点にしつつも、派生するアレコレにも焦点を当てていきます。いよいよ4人目・アンカーの初登場、南日本・福岡市の今村寛さんです。

―――――2021年11月4日 Thu.―――――――

 

しんがりを務めます

 今村です。「西」の加古川市・多田さんよりも「西」に位置する九州・福岡から東西南北の「南」として、このおっさん4人による色気のない交換日記(笑)のアンカーを務めます。

 千葉さん、多田さん、山形さんはいずれも全国の自治体DXをけん引する方々でその世界では輝かしい功績を残し今も走り続ける有名人ですが、そのラインナップに完全にDX素人の私が加えられているということでいささか緊張しています。
 それなのにお三方とも謎かけのような言葉を残し「後の人が回収してくれるでしょう」という無茶ぶり(涙)。
 まったく人を何だと思っているのか。激おこぷんぷん丸であります。

 まあしかし、3人ともDXの激流のど真ん中に立たされて「中の人」だからわかる、中の人だからこそ言いたいという気持ちが言葉の端々や謎かけに現れていますよね。
 今回の交換日記での私の役割はきっと、そんな彼らの思いをDXの外側で傍観している多くの公務員諸氏に伝達する橋渡しの役なのだと思っています。

財政課を嫌いにならないで

 ご存じの方もおられるかと思いますが、私は福岡市で財政畑を長く歩み、その時の経験を生かした「財政出前講座」で全国行脚しています。
 自治体財政の構造や状況、将来見通しなどをわかりやすく解説し、どの自治体にも共通する「お金がない」という悩みを解決する方策を説き歩く伝道師として全国でお話ししているのも、私が財政課時代に経験した現場と財政課の交わらない平行線の議論を終わらせたいという思いからです。

 財政課がいくら「お金がない」と言っても、事業を抱えている現場からは「要るものは要る」という声が上がります。
 現場と財政課の双方が理解し合うためには「なぜお金がないのか」「誰がどこで使っているのか」といった「情報の共有」を図り、お金がないと言う財政課とお金が必要な現場との「立場の共有」が必要です。

 そのうえで限られたお金を使って自治体全体がどこに向かっていくのかという「ビジョンの共有」によって、組織の論理を振りかざす縦割り構造を脱却し、相互理解と信頼を基礎とした建設的な政策議論ができる関係を作る。
 そのためには組織間での「対話」が必要だと私は考えていますが、DXもまた財政と同じような処方箋が必要なのだろうな、と感じています。

ひとりじゃないから

 市民から税金を徴収する意義やそれを有効に使わなければいけないという意識は大切な概念であり、それらの概念を体現する財政というテーマは私たち公務員にとっては知っておかなければいけない基礎的な知識のはずですが、日々の職務の中では自分の所管する事務事業のことに精通することが優先され、財政は財政課の所管だと割り切り、任せきりになってしまいがちです。

 DXも同じで、業務のデジタル化そのものやそれに伴う業務、市民サービスの変革というのは、これだけ高度な情報化社会になった今、すべての業務の中に含まれる基礎的なこととして誰もが理解し、日々の仕事に日常的に反映していくべきことになっているのに、少しとっつきにくくて難しい、今までとやり方を変えるのが面倒なのでやる気が起きない、ということで、情報化担当などの専門組織の所掌事務として自分ではない誰かがやることなのだと考えがちなのです。

 そんな風にDXを遠巻きに眺めている多くの公務員諸氏に対して、千葉さん、多田さん、山形さんから投げかけられた言葉は、DXのことをDX専門家だけに任せないでほしい、DX担当はひとりで抱え込まないでほしい、我々公務員業界全体で、一人一人がそれぞれの職場、立場で取り組んでほしいし、取り組めることなのだというメッセージだと思います。

 この交換日記では,そんな「中の人」の声をどうすれば遠巻きに眺めている我々「外の人」がジブンゴトとして受け止められるようになるのか、といった視点から筆を進めていこうと思います。

 あ、のび太くんの伏線を回収しようと思ったら字数が足りない!
あとは千葉さんにお願いします。それではまた来週。デジデジ!

 

★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』(ぎょうせい)という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885

★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』(公職研)という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/

★そのほか、自治体財政の話、対話の話など、日々の雑感をブログに書き留めています。
https://note.com/yumifumi69/

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千葉大右・多田 功・山形巧哉・今村 寛

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