霞が関情報
霞が関情報「地方財務」2021年7月号(ぎょうせい)
地方自治
2021.12.03
※2021年6月時点の内容です。
霞が関情報
(「地方財務」2021年7月号)
業務量に応じ定員確保を(人事院)
人事院は、2020年度の「年次報告書」(公務員白書)をまとめ、国会と内閣に提出した。白書は、国家公務員を対象にした意識調査の結果を紹介した。それによると、人員配置や業務効率化といった働き方について、おおむね否定的な評価であり「業務量に応じた定員が確保される必要がある」などとして、改善を促している。
意識調査は21年2月5〜26日に各府省庁の一般職の国家公務員(常勤職員)約28万人を対象に、ウェブサイト上で実施した。職員の意識や職場の実態を聴き取り、魅力・課題を把握した上で、改善に向けた方策を探るのが狙い。有効回答数は6万1532件で、対象の2割を超えた。主な設問は、評価が高い順に5〜1点と5段階の評定で回答する方式とし、平均点を出した。
回答の総平均値は、3.51点で、「セクハラの防止度」(平均4.40点)、「法令やルールの理解度」(同4.34点)、「法令や倫理の遵守度」(同4.32点)といった設問には肯定的な評価が見られた。
一方、「業務量に応じた人員配置」(同2.72点)、「人事評価の能力伸長への活用」(同2.76点)、「公務の将来性」(同2.84点)、「業務の効率化」(同3.01点)と、組織マネジメント面での評価は低かった。
今回は、同様の対象・内容で実施した16年度から、新型コロナなどを含め、公務を取り巻く状況の変化が生じているため、改めて調査することにした。
白書は、公務職場の課題を改善するには、継続的な現状把握と不断の検証が必要だと強調。こうした意識調査に今後も取り組むとしている。
96%で納入完了(文部科学省)
文部科学省は、小中学生に1人1台パソコンを配備する「GIGAスクール構想」の実現に向けた端末の整備の進ちょく状況(確定値)をまとめた。対象となった公立小中学校などの設置者1812団体のうち、96.5%に当たる1748団体で、目標だった2020年度内に納品を完了する見込みだと回答している。
残りの64団体(3.5%)は、21年度にずれ込むとした。このうち44団体は1学期中に、残りの20団体は年度中に納品を完了の予定だ。
20年度内に終わらない理由に挙がったのは「端末への需給のひっ迫などによる納期遅延」が34団体、「入札の公示などはしたが不調になった」が6団体、「その他」(「OSの選定や仕様の決定、関係者との調整に期間を要し発注時期が遅くなった」など)が24団体だった。
防災道の駅を選定(国土交通省)
国土交通省は、大規模災害の際に広域的な防災拠点として使われる「防災道の駅」の初の認定対象に、北海道のニセコビュープラザ(ニセコ町)や千葉県のやちよ(八千代市)など36道県の39駅を選んだ。ハードとソフトの両面で重点的な支援に取り組む。
防災道の駅は、広域的な防災拠点として都道府県の地域防災計画などに位置付けられている「道の駅」の中から選定した。
選定に当たり、広域的な防災拠点であるほか、災害時に求められる機能に応じた施設や体制が整っていることを要件とした。
災害時に求められる具体的な施設・体制について
▷建物の耐震化や無停電化、通信や水の確保によって災害時でも業務実施可能な施設となっている
▷災害時の支援活動に必要なスペースとして、2500平方メートル以上の駐車場を備えている
▷道の駅の設置者である市町村と道路管理者の役割分担が決まったBCP(業務継続計画)が策定されている
──ことを挙げた。
これらの要件が整っていなくても、今後3年程度で必要な機能や施設、体制を整えるための具体的な計画がある場合でも認める。
サプライチェーンを強じん化(経済産業省・厚生労働省・文部科学省)
政府は、2021年版「ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染拡大などにより製造業が影響を受ける中で「レジリエンス」(サプライチェーン強じん化)「グリーン」「デジタル」の三つの観点が、今後の生き残りを懸けて経営戦略を立てていく上で最も重要だと位置付けた。
白書は、今後も「世界的な不確実性の高まりが想定される」と指摘。レジリエンス強化のため、自社や直接の調達先の被害想定にとどまらず、サプライチェーン全体を俯瞰(ふかん)し、多面的なリスク対応を講じていかなければならないと訴えた。