霞が関情報
霞が関情報「地方財務」2021年4月号(ぎょうせい)
地方自治
2021.11.09
※2021年3月時点の内容です。
霞が関情報
(「地方財務」2021年4月号)
二地域居住の普及で協議会(国土交通省)
国土交通省は、都市住民が農山漁村などの地域にも同時に生活拠点を持つ二地域居住を進めるため、自治体などが参加する「全国二地域居住等促進協議会」を設立した。関連のさまざまな施策や事例などを共有・発信することで、二地域居住の普及促進と機運の醸成を目指す。
設立時に協議会に参加したのは、601自治体(正会員)と、移住支援機関や不動産関係団体、空き家・空き地バンク運営主体、交通関係団体、関連事業者など29団体(協力会員)。学識経験者が顧問として加わっている。事務局は、国交省国土政策局地方振興課が務める。
二地域居住を促進させるための主な活動内容として
▷関係の施策や事例の情報交換と共有、発信
▷具体的な課題への対応方策の協議や検討
▷ノウハウの周知や普及、機運醸成
▷実践的な政策検討、提言
──などを予定している。
同省は2021年度、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた新しい生活様式での二地域居住について、最新事例などの実態調査をする。その上で、二地域居住を希望する個人向けに実施方法や留意点を分かりやすくまとめたハンドブックを、自治体向けには推進施策展開の指針となるガイドラインを、それぞれ作成し、幅広く情報提供することにしている。
Webで3月9日に開催された設立総会で赤羽一嘉国交相は「コロナ禍により、テレワークの普及など働き方が変わり、住まい方にも変化があらわれ始めている。特に、複数の生活拠点での暮らしをもつ二地域居住は、東京一極集中の是正はもちろん、地方創生、人の流れや関係人口の拡大にも資する」と意義を強調している。
クレーマーへの対処でマニュアル(消費者庁)
消費者庁は「対応困難者への相談対応標準マニュアル」1)を公表した。消費生活センターなどで消費生活相談を受ける際、対応が困難なクレーマーへの対処の方法を提示した。相手の主張を聞き取った上で説明しても説得できず、主張の繰り返しや罵詈雑言によって消費生活相談とは言えない状況になった場合、「傾聴」から「相談終了」へと対応を切り替えるよう促している。
電話で主張を聞き取って説明するまでの目安の時間をおおむね30分、説明を尽くしても話が進展せず、相談を終了させるまでを、さらにおおむね30分としている。
マニュアルは、2020年度の「地方消費者行政に関する先進的モデル事業」による取り組み。同年7月から有識者による検討会で議論を重ね、名古屋市消費生活センターでの試行による実証検証をした上で作成した。
マニュアルは、初期対応について
▷先入観を持たず、平常心で
▷丁寧に聞く姿勢
▷できないことは「できない」と率直に伝える
──などと説明した。説明を尽くしても、主張を繰り返したり、大声を出したりするなど進展しないときは、相談終了の旨を伝え電話を終えるとした。
対応困難者が来訪した場合には、複数の職員や庁内の関係者と連携して組織的な対応が必要だとしている。要求を聞き入れないと帰らない状況になったときには、庁舎管理規則に基づいて退去を要請。それに従わない場合、警察に通報するよう促している。
日常での取り組みとして、相談員などが一人で抱え込まないように、職員全体の課題として共有するよう求めた。意見交換やロールプレイなどによる研修を開くことも提案している。
1)出典:消費者庁ウェブサイト (https://www.caa.go.jp/notice/entry/023232/)
食料システム戦略で中間まとめ(農林水産省)
農林水産省は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を、技術革新(イノベーション)によって実現するための「みどりの食料システム戦略」の中間とりまとめを出した。2050年までに目指す姿として、農林水産業の二酸化炭素(CO2)排出をゼロにする「ゼロエミッション化」の実現のほか、化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減させることなどを掲げている。5月までに戦略を策定する予定だ。
目標達成に向けた具体的な取り組みとして、ゼロエミッション化では、省エネ型施設園芸設備の導入などを提示。化学農薬低減では、主要病害への抵抗性を持った品種の育成などを挙げた。
このほかの目標として
▷2050年までに耕地面積に占める有機農業の面積を25%(100万ヘクタール)に拡大
▷2050年までに化石燃料などを原料とした化学肥料の使用量を30%低減
▷2030年までに食品製造業の労働生産性を最低3割向上
──などを掲げた。